品定め
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/14 06:16 UTC 版)
サガの作者たちが残されたわずかなスカルド詩以上に戦いの正確で詳細な情報をもっていたとは考えにくい。にも関わらず、オッド・スノッラソンをはじめとするサガの作者たちは戦いについて詳細な文学的記述をのこし、主な人物の発言と行動まで記述している。 オーラヴ・トリグヴァソンの船が敵軍の長い停泊の列を超えるとき、攻撃は気配はなかった。オーラヴ船団をよく観察できる場所にいたエイリークと他二人の王は通り過ぎる船団に目をとめた。スヴェンとオーロフは戦いを始めようとしたが、エイリークはより注意深く、より良くノルウェー船団のことを知っていた。 やがて大きな船が現れると、デンマークとスウェーデンの王はいずれもそれを「長蛇号」だと思い、すぐさま攻撃をかけようとが、エイリークは機先を制して次のように述べた。 あれはオーラヴ王の船ではない。何度も見たことがあるから分かるのです。あれはエルリング・スキャールグスソン(英語版)の船です。この船を襲うなら船尾からの方がいいが、オーラヴ・トリグヴァソン王に出くわしたときには、エルリングの船などと戦わずにオーラヴ船団の隙を見つけた方がよかったと思い知ることになるでしょう。 エイリークがついに攻撃に同意した際、スヴェン王は夕暮れ前に長蛇号を制圧すると豪語した。だがエイリークはこう述べた。「スヴェンの話を聞いている者はいなかった。手下のデーン(デンマーク)軍を除いては。スヴェン王はこの船を制圧できまい。」。連合軍はオーラヴに攻撃をしかけ、サガ記述の視点はノルウェー船団に移る。 敵影をとらえたオーラヴは、櫂と帆とを使って奇襲を振り切り脱出することもできたが、逃げることをせずに足を止め11隻の船すべてに戦いを指示した。デーン船団がオーラブに向かって陣をかまえたのを見たオーラヴは「森の山羊は我々には勝てない。我々はあの軍団を恐れない。なぜなら奴らデーン人は船の上での戦いで我々に勝ったことなどないからだ」と述べ、スウェーデン軍も異教徒であることを揶揄して次の様に切り捨てた。 「長蛇号」を攻めて我らの武器で一掃されるよりも、国に帰ってお供え物の鉢でもなめていた方がスウェーデン人にとってはよかろうものを。あのような「馬喰い」どもなどは恐れるに足りん。 エイリーク・ハーコナルソンの姿をみとめたとき、ようやくオーラヴは厳しい戦いになることを悟った。「彼らは我々と同じノルウェー人だ」からである 。サガではエイリークの活躍が強調されているが、これはブレーメンのアダムやサクソ・グラマティクスらデンマークの歴史家がこの戦いをデンマーク軍のノルウェー軍に対する勝利として描き、エイリークらには触れていないのと対照的である。
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