和傘
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 10:23 UTC 版)
「からかさ」はこの項目へ転送されています。妖怪については「からかさ小僧」をご覧ください。 傘が日本に伝来した時期は不明であるが、欽明天皇の時代には百済が仏具の傘である幡蓋を献上して来たとあり、導入当初から「唐傘(からかさ)」と呼称されたとの説が一般的で、日本で独自に開閉式に改良されたものを、唐繰傘(唐繰は絡繰と同義語)と呼称したことから略して「唐傘」と呼称されるようになったとも。 和傘はおもに竹を材料として軸と骨を製作し、傘布に柿渋、亜麻仁油、桐油等を塗って防水加工した油紙を使った。 和傘には番傘(ばんがさ)や蛇の目傘(じゃのめがさ)、端折傘(つまおれがさ)などの種類があり、蛇の目傘は、傘の中央部と縁に青い紙、その中間に白い紙を張って、開いた傘を上から見た際に蛇の目模様となるようにした物で、外側の輪を黒く塗ったり、渋を塗ったりするなどの変種も見られる。 洋傘の骨が数本程度であるのに対して、和傘の場合、大きさにもよるが数十本の骨が用いられる。これは洋傘と傘の展開方法が異なるためで、余った被膜を張力で張るのではなく、竹の力により骨と張られた和紙を支える仕組みとなっているためである。すぼめた際に和紙の部分が自動的に内側に畳み込まれる性質を持つ。 和傘は防水性には大変優れているが、耐久性に優れているとは言えず、また自然素材を多用した結果、洋傘に比べて重いという欠点がある。そのため、上向きに展開するには重量が過大で、過度な力がろくろや骨にかかることを避けるよう、展開の際には一般的に下向きに展開し、その後上に向ける。洋傘のように逆さに傘を立てて保管すると雨水が頭頂部にたまり、浸水により破損する危険があるため、天井や軒先からつるすように保管する必要がある。和紙を多用するため、虫食い、湿気による侵食、多雨時の防水性にも問題が生じる。また、長期で利用すると素材の特性で色が移り変わる。雨傘の場合、長期使用しないと防水用の油がくっつき、展開に手間取る場合がある。 大相撲の力士は、幕下以上に上がらなければ和傘を差すことを許されず、三段目以下は洋傘となる。
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