医師ー患者の境界
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/12 00:56 UTC 版)
医師と患者の関係も同様であり、医療倫理の指針(AMA Code of Medical Ethics)には、患者との性的接触について独立した項目がある。そこには、「患者・医師関係と同時期に起こる性的接触は、不正行為(違法行為)に相当する。 医師と患者間の性的または恋愛的な交流は、医師と患者のあるべき関係を損ない、患者の弱い立場が悪用される可能性があり、 医師の客観的な判断を鈍らせる可能性がある。そのため、最終的に患者にとって有害になり得る」としている。また、ニューヨーク州の衛生局(Department of health)は、医師と患者の性的接触を禁じている。つまり、互いの同意で始まった付き合いでも、その事実が露見すれば、不正行為として懲戒処分をうける。 特に、精神科医と患者が私的関係を持つことは、嫌悪すべきタブー(禁忌)とされてきた。それは精神科では心理学用語でいう「転移」を利用して患者の治療を行う。そういう立場を利用して患者に付け入るのは近親相姦なみの幼児虐待と同じレベルの行為と見なされるのである。特に、精神科医と患者が私的関係を持つことは、治療者の中立性に違反しており、嫌悪すべきタブー(禁忌)とされてきた。精神科医熊木徹夫はその著書の序文で「私が精神科医になってから18年が経ちましたが、これまでに誰からも改めて『精神科医が患者さんを愛してはいけない』と戒められたことはありません。が、これは人類がどの文化においてもインセスト(近親相姦)タブーを堅持してきたのと同様、精神科医の職業モラルとして最重要なものの一つであり、かつ不文律です。この前提が崩されたとき、精神医療の正義は破綻します」と述べている
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