効果、評価、保険料割引
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 15:30 UTC 版)
「衝突被害軽減ブレーキ」の記事における「効果、評価、保険料割引」の解説
ユーロNCAPによると自動緊急ブレーキ(ユーロNCAPでは衝突被害軽減ブレーキを「Autonomous Emergency Braking(自動緊急ブレーキ)」と呼んでいる)によって最大で27%事故の発生を減らすことができる。そのため、ユーロNCAPでは自動緊急ブレーキがない車は評価が低くなり、2014年から最高ランクの5つ星を取得するためには、自動緊急ブレーキの搭載が必須となっている。2014年からは対車両性能の評価のみとし、2016年から対歩行者性能も加えた。 米国道路安全保険協会(IIHS)の安全評価でも衝突被害軽減ブレーキがない車は評価が低くなり、2013年(2014 Top Safety Pick+)からトップセイフティピック+(最高安全評価)を取得するには、衝突被害軽減ブレーキが必須となっている。 日本でも2014年度よりJNCAPの評価に衝突被害軽減ブレーキが加わった。予防安全アセスメントとして点数で評価され、衝突被害軽減ブレーキで最高32点満点、車線逸脱防止支援システムで最高8点満点で、合計40点満点となる。合計点数が2点以上の車は「ASV(先進安全車)」、合計点数が12点以上の車は「ASV+(先進安全車プラス)」として認定される。2016年度から対歩行者性能試験も加える事を予定している。 また日本国内において、インテリセーフティー(衝突被害軽減ブレーキやBLIS等)搭載のボルボ車は非搭載車に比べ事故率が69%減少、追突事故率が77%減少、対人事故率が59%減少(2009-2015年)しており、アイサイト搭載のスバル車は非搭載車に比べ事故率が61%減少、追突事故率が84%減少、対人事故率が49%減少(2010-2014年)している。 上記のように衝突被害軽減ブレーキによって事故が大きく減っているというデータが世界各国で出てきているため、衝突被害軽減ブレーキ搭載車に対する保険料割引制度の導入する国が多くなっている。スバル・アイサイトはオーストラリアで保険会社アリアンツが一部車種の保険料を2割引きしている。ボルボ・シティセーフティ搭載車に対してはドイツなど9か国で20~25%の割引されている。イギリスでは2012年より自動緊急ブレーキ搭載車に対して保険料レーティングが引き下げされる。 日本でも、2017年1月から衝突被害軽減ブレーキの保険料割引が開始される事が2015年末に発表された。平均で10 %程度の割引となり、装置や保険会社によって割引率は異なる。 早くから保険料割引が導入されていた欧米と異なり、日本では金融庁により衝突被害軽減ブレーキの保険料割引を規制されていたため、それまで保険料割引は行われていなかった。2013年にはアメリカンホーム保険会社が自社裁量で決定できる割引額の上限である5 %であれば衝突被害軽減ブレーキ装置割引を導入できると判断して、顧客からの申し込みを受け付けていたが、金融庁の勧告を受けて割引を中止するということが発生した。規制の理由は、海外では多くの保険金支払いが低減したというデータが出ていたが、日本にはそのようなまとまったデータが存在しなかったためである。しかし、2015年になって日本政府も衝突被害軽減ブレーキ搭載車と非搭載車の事故率の違いの調査を開始し、海外同様に衝突被害軽減ブレーキ搭載車は非搭載車より事故率が低い事が証明されたため、保険料割引が開始される事が決定した。
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