初期の電話機、交換手時代の電話機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/22 06:41 UTC 版)
「電話機」の記事における「初期の電話機、交換手時代の電話機」の解説
初期の電話機は技術的には多様だった。液体抵抗型送話機を使うもの、永久磁石の周りの電磁石(コイル)を振動板で振動させて電磁誘導によって信号を発生するもの(ムービング・コイル型)などがあった。電磁誘導の起電力を利用する方式は電源がなくとも通話可能という利点があり、20世紀後半になっても少数ながら軍用などに利用され続けた。しかし、主流となったのはエジソンのカーボンマイクで他の方式よりも音声が大きく、誘導コイルを必要とするが、それがインピーダンス整合用変圧器として機能し、信号線とのインピーダンスを整合させることができる。このエジソンの特許によってベルは20世紀に入るまで市場を独占することができたが、そのころには電話機自体よりも電話網の方が重要になってきた。 初期の電話機も電源を必要とし、その場で発電するか電池を使用した。当時は加入者宅を巡回して電池交換が必要かどうかをチェックする職業もあった。20世紀には「共電式」がよく使われるようになった。これは、電話交換機側から信号線を通して給電する方式である。 初期の電話機の加入者線は1本の導線であり、電信と同様に個々に接地することで回路を形成する。また最初期の電話機は、送話器と受話器が共用になっていてひとつしかなく、口と耳に交互にあてて使うようになっていた。送話器と受話器が別々の方が当然便利だが、そのような装置は高くついた。 当初電話交換の利点はあまり利用されなかった。初期の加入者は以前からの電信の利用者で、2台の電話機をリースし、例えば商店と自宅などに設置して使っていた。複数地点間の通信を必要とする場合は何台も電話機をリースし、各地点間にそれぞれ別個に回線をひく必要があった。 通話開始の合図は非常に原始的な方法から始まった。ユーザーは送話器に向かって口笛を吹くことで交換手(交換を経ない場合は相手)に電話をかけることを知らせた。電話交換が主流になると電話がかかってきたことを知らせるベルが電話機に装備されるようになり、当初は通常の電話線とは別の線をひいて、その信号でベルを鳴らした。その後電話線1本でベルも鳴らすようにするため、ベルとコンデンサを直列に繋いでベルを鳴らすための交流信号のみを通すようにし、直流信号がブロックされていることで「オンフック」状態だとわかるようにした。 共電式や定期的な電池交換が不可能な田舎では、マグネトーなどの発電機を手回しクランクで回して発電し、相手側(交換手)のベルを鳴らした。
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