再び始まった大規模噴火
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/28 17:04 UTC 版)
「箱根火山の形成史」の記事における「再び始まった大規模噴火」の解説
約8万年前から4万年前にかけて、箱根火山では再び大規模な噴火が繰り返されるようになった。中でも小原台軽石層、三浦軽石層、東京軽石層は大規模な火砕流を伴った活動であり、特に約6万5000年前に発生したと考えられる東京軽石層の噴火は、箱根火山の噴火の中でも最大級のものであった。 東京軽石層による噴火では、東京軽石と呼ばれるデイサイト、流紋岩質の軽石が降下した。軽石の層は東京付近でも約20センチに達した。その後、デイサイト質の大規模な火砕流が発生し、火砕流は西側は富士宮市周辺、東側は相模湾を渡って三浦半島にまで達するなど、高度の高い場所を除くと箱根火山から半径約50キロの範囲を火砕流が埋め尽くし、最後に安山岩質のスコリア流が派生した。この時の噴火の噴出物の総体積は、5-10立方キロメートルになる。 この6万5000年前の大噴火によって、現在の強羅付近に直径約2-3キロの強羅カルデラと呼ばれるじょうご型のカルデラが出来た可能性が高いと考えられている。現在、強羅カルデラは珪藻類の化石を含む湖成層と考えられる堆積岩などで埋め立てられてしまっているが、湖成層の存在はかつて湖が存在した窪地があったことを意味している。また湖成層で検出される化石の分析や、他の岩石の分析の結果、6万5000年前の大噴火時に強羅潜在カルデラが形成されたと考えられている。また箱根カルデラ内には他にも湖尻付近に潜在カルデラが存在し、仙石原付近、そして芦之湯付近にも潜在カルデラが存在する可能性が指摘されている。 6万5000年前の大噴火以後、短い休止期間の後、爆発的な噴火が続いた。そして現在の中央火口丘付近に成層火山が生まれたと考えられる。そして約4万5000年前から4万1000年前にかけて、爆発的な噴火によって成層火山の山体は崩されていき、最後には大規模な山体崩壊によって、早川泥流と呼ばれる大規模な土石流が発生した。約4万年前以降、箱根火山では規模の大きな爆発的なプリニー式噴火は起こらなくなった。
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