兌換紙幣
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 23:10 UTC 版)
下記の通り、二十円券から一円券までの5種類の券種が製造発行された。題号(表題)はいずれの券種も「大日本帝國通用紙幣」である。 いずれの紙幣もアメリカに製造を外注したため、「アメリカ札」とも呼ばれた。銘板には外注先のコンチネンタル・バンクノート・カンパニーの名が記載されている。 図柄の題材となった歴史画や風景については、日本で作成した原画をアメリカに送付し、それを基にアメリカにて彫刻するという方法が取られている。しかしながら、その原画が紙幣用の精密な凹版彫刻の下絵としては相応しくない出来栄えであったことや、日本の文化に詳しくない彫刻者により原版彫刻時に適宜修正が行われるなどした結果、図案によってはやや不自然な表現となっているものも見受けられる。 兌換文言として「此紙幣を持参の人𛀁は何時たりとも~圓相渡可申候也」、公債証書引当文言として「此紙幣の引當として日本政府の公債證書を東亰大藏省の出納寮に預候也」、法貨表示文言として「開港場輸出入税并に公債利息の外は此紙幣日本國中書面の金高に通用いたし政府𛀁可差出諸租税上納金或は政府より可渡俸給諸拂等にも無差支相用ふべきもの也」、偽造罰則文言として「此紙幣を贋造する者或ハ贋造の紙幣を通用する者或ハ贋造の版を所持する者或ハ此紙幣に用ふる紙肉を贋造する者ハ何れも皆國法を以て之を厳科に處すもの也」といった文言が券面に記載されているが、これらは当時のアメリカの紙幣にも記載されていた文言に倣ったものであり、内容を模倣し日本語訳したものである。 記番号については、兌換紙幣にはアルファベット記号とアラビア数字による記番号と、十二支の漢字記号と漢数字による記番号の、2種類の記番号が印刷されている。このうち、アルファベット記号とアラビア数字からなる赤色の記番号は「大蔵省記番号」と呼ばれ、アルファベット記号はAからJの10種類、アラビア数字は最大6桁で構成されている。一方、漢字記号と漢数字からなる緑色の記番号は「国立銀行記番号」と呼ばれ、漢字記号は十二支のうち子から酉までの10種類、漢数字は最大5桁となっている。 全券種とも透かしは入っていない。用紙の原料は木綿を主体とするものであったが、後述の通り紙質が弱く耐久性に難があった。 使用色数は全券種とも、表面は9 - 10色(内訳は凹版印刷による主模様1色、兌換文言等の文言類1色、印章3色、記番号2色、銀行名・所在地名1色、頭取・支配人の記名捺印1 - 2色(印章・記番号等で同色のものもあるが別版のため別色扱い))、裏面は3色(内訳は凹版印刷による主模様2色、印章1色)となっているが、各国立銀行にて印刷された部分については発行元により色数の相違が見受けられる。主模様および文言類が印刷された半製品の状態でアメリカから日本へ輸入し、その後紙幣寮により大蔵卿印・出納頭印・記録頭印の押印と大蔵省記番号の印刷が行われた。大蔵省から各国立銀行に交付後、国立銀行記番号および発行元銀行名・所在地名の加刷と、頭取・支配人の記名捺印等は各国立銀行により行うこととなっていたが、国立銀行から紙幣寮が委託を受けこれらの作業を代行したケースもある。
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「兌換紙幣」の例文・使い方・用例・文例
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- 兌換紙幣
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