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光学分野とは? わかりやすく解説

光学分野

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 05:36 UTC 版)

クラウディオス・プトレマイオス」の記事における「光学分野」の解説

古代においては現代光学相当する内容は、いくつかの分野分かれて研究されていた。光と視覚の関係が明らかにされてそれらの研究統合されるのは、中世中程以降のことである。その時土台提供したのは、古代幾何学的な視覚論、特にその最高峰たるプトレマイオス大著視学(光学)』であったプトレマイオス以前アリストテレスの頃、すでに幾何学的な視覚理論は、数学的な学問一つ分野として成立しており、ユークリッドヘロンによって発展させられていた。彼らの理論は、眼か放出される視線」が対象届いて視覚成立するとする、ある種外送理論であった。そして、視線幾何学的に分析して遠近法測量視覚にの明瞭さ、鏡による像の形成などを論じた当時幾何学的な理論家のみでなく、プラトンや、当時有力な哲学の学派であったストア派視覚論も、各々タイプ異な外送理論であった。ただし、アリストテレス外送理論否定して対象の「色」の眼への流入視覚説明して魂論(霊魂論心理学)の一部としての視覚形成プロセス論じた。これらの哲学者視覚論に対し幾何学者視覚論は、扱う問題限定される代わりに、厳密で強力だったプトレマイオスは、幾何学的な視覚論の伝統受け継ぎつつも、アリストテレス的な感覚の理論参考にし、錯視の原因さまざまな階層分類して論じるなど、より総合的な視覚論を展開した視線物理的な本性眼のどこで像が形成されるかなど、その他の数理的でない側面積極的に論じストア派議論一部取り込んだまた、ユークリッドはもちろん、ヘロン比べて経験論的な色彩が強い。ユークリッドヘロン視線基本的な性質仮定するか、あるいはより「基本的な仮定から演繹するに対してプトレマイオス経験実験訴えている。 プトレマイオス視学(光学)』は屈折本格的な理論展開されている、現存する最古書物である。簡単な実験器具用いた入射角屈折角の関係の計測について述べ、この二つの量の関係を空気ーガラス、空気ーガラスについて表にまとめている。これらの表は数値がある規則を完全に満たしているので、理論的な計算だと思われる。そして、表の数値スネルの法則用いた計算比較して極端な外れはない。イスラム圏では、この表はイブン・ハイサムやal-Farisinによって若干の値が用いられ欧州ではウィテロの『光学』に若干修正したものが掲載され流布した。さらに、大気層の上部の屈折で星の見かけ方向真の方向からわずかにずれることにも触れている。 反射による像の形成については、ユークリッド反射視学(反射光学)』が解釈難し仮定誤り思われる議論を含むのに対して論理的に明晰で、一段と込み入った問題論じられている。17世紀盛んに論じられた、球面鏡に関する難問アルハーゼンイブン・ハイサムラテン名)の問題」を最初に提起したも本書である。 これらの反射屈折研究は高度なものであるが、いずれも視線」の反射屈折であることに注意する必要である。基本法則確認する実験でも標的反対側から覗いたときに眼に入る角度計測しており、意識されているの飽くまで「視線」である。その上扱われる問題全て反射屈折通しての「像の形成」である。例えば、平面鏡での反射では、奥行き含めて反転した物体がそこにあるよう見える、といったことを導かねばならず、そのためには奥行き認識についての仮定が当然必要になる。つまり、現在で言うところの光学のは収まらない問題扱っている。その一方、光を一点集めるための鏡(Burning mirror)の研究当時かなり進んでいたが、プトレマイオスはそれには一切ふれない。 これら幾何学的な理論加え視覚論の書物ふさわしく本書様々な錯視扱い照度色彩大きさ、形、動き両眼視に関する多く現象説明加えている。また、錯視の原因については、「光学」的な要因よるものと、認識論的要因よるものとに分けて考えた太陽や月が地平線近くにあると見かけの大きさ大きく見える「月の錯視」については、後者分類しているが、それは方向性としては正しい。錯視扱った第二巻には、複数の色が塗られ物体回転させると、それらが混ざった色が観測されることが記されているが、後年ジェームズ・クラーク・マクスウェル混色実験用いるのは、正にこの方であった本書古代光学最高峰であったが、『アルマゲスト』『テトラビブロス』『ハルモニア論』などが早々に教科書的な地位獲得したのとは正反対に古代においては引用言及非常に少ない古代末期において、天文学教程にも組み込まれ広く学ばれたのは、ユークリッド光学』だっだ。この傾向は、中世イスラム圏にも引き継がれた。本書利用した研究10世紀にようやく現れる。まず、光のスネルの法則先取りしたイブン・サフル(en:Ibn Sahl (mathematician))の屈折に関する研究は、プトレマイオス影響抜きには考え難い。また、光学刷新したイブン・ハイサムの『光学の書(Kitab al-Manazir)』は、その構成が、(新たに眼球構造論じている他は)プトレマイオス光学』をほぼなぞっていることからもわかるように、影響顕著である。ただし、イブン・ハイサムが光を視覚の主要因特定して光学大きく書き換えたため、この後イスラム圏においてもラテン西欧においても、直接影響限定的である。 『視学(光学)』はラテン語訳のみで残るが、視覚論の基礎含んだであろう第1巻欠き屈折理論展開する第5巻は、後半部失われている。また、文意尽くさない章句もある。ラテン語への翻訳は、今は失われたアラビア語版から、パレルモのエウゲニウスにより1154年頃になされたイブン・ハイサム言及照らし合わせると、現存ラテン語版と、当時流布しアラビア語版は、基本的には同じ構造をしていたと思われるまた、視学(光学)』は『アルマゲスト』や『惑星仮説』よりも後に書かれとされる根拠一つは、これらの書における、月の錯視屈折議論比較議論である。『アルマゲスト第一巻では、この現象大気による屈折とし、誤って水の中にあるものは屈折大きく見える」としている。『惑星仮説』では、さらに心理的な要因加味され、『視学』では純粋に心理学的な効果だとしている。また、屈折議論もずっと正確で洗練されている。古代末期から中世にかけて、『アルマゲスト』と同様の誤った屈折理解は、広く見られる

※この「光学分野」の解説は、「クラウディオス・プトレマイオス」の解説の一部です。
「光学分野」を含む「クラウディオス・プトレマイオス」の記事については、「クラウディオス・プトレマイオス」の概要を参照ください。

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