先駆けと展開
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 19:02 UTC 版)
日本におけるコミュニティバスの先駆けは、1980年代に東京多摩地域から始まった。 1980年(昭和55年)7月1日に運行開始した、東京都武蔵村山市の武蔵村山市内循環バスがその先駆けであるとされる。武蔵村山市は東京都の市で唯一、市内に鉄道駅が存在しないため、交通不便地域が多数存在した。その解消のため、市がマイクロバスのいすゞ・ジャーニーLを購入し、立川バスに運行を委託したものである。 これに続いて1986年(昭和61年)8月20日、東京都日野市で日野市ミニバスが運行開始した。これは市が行政サービスの一環として、市内のバス路線のない地域にミニバスを運行するというものである。当初の車両は小型バスの日野・レインボーRBが使用された。市が直接バス路線を開設することは現実的でないため、日野市内で路線バスを運行していた京王電鉄バス(当時:京王帝都電鉄)が路線開設と実際の運行管理を引き受けた。 1990年代には、1995年(平成7年)11月26日、東京都武蔵野市でムーバスが運行開始した。計画段階から綿密な需要調査が行われた結果、循環経路・均一運賃・短距離間のバス停設置など、その後のコミュニティバスに共通する特徴を方向づける運行形態が採用された。運行は関東バスに委託され、車両は開発中であった小型バスの日野・リエッセが使用されることになり、日野自動車の協力も得られた。運行開始後、ムーバスは大きな成功を収め、テレビなどマスメディアでも相次いで取り上げられた。これに触発されて各地でコミュニティバスの開業が相次ぎ、「コミュニティバス」という概念が全国的に広まることとなった。 こうして東京多摩地域から始まったコミュニティバスは、ムーバスの成功によって全国各地に波及し、それぞれの地域のニーズに合った多様な取り組みがなされることとなった。 1997年10月1日、静岡県磐田郡豊田町(現:磐田市)のコミュニティバス「ユーバス」の運行開始と同時に、日本初のICカード乗車券である「ユーバスカード」が導入された(乗車カード#歴史も参照)。ユーバスは遠州地方で初のコミュニティバスでもあったが、市町村合併により磐田市バスに統合された後、2015年3月31日に廃止されている。 1999年3月28日、石川県金沢市の金沢ふらっとバスが運行開始(北陸鉄道が運行受託)。車両は輸入車のクセニッツCITY-IIIを使用し、国内で始めて小型ノンステップバスをコミュニティバスとして導入した。斬新な車体で商店街アーケードの中をトランジットモールとして走行するなど、従来のバスになかった運行形態も注目を浴びた。
※この「先駆けと展開」の解説は、「コミュニティバス」の解説の一部です。
「先駆けと展開」を含む「コミュニティバス」の記事については、「コミュニティバス」の概要を参照ください。
- 先駆けと展開のページへのリンク