せん‐せん【先占】
先占
先占
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 01:07 UTC 版)
「先占」も参照 先占とは、領有の意思を持って無主地を実効的に支配することである。18世紀以降、西欧諸国による植民地支配のための重要な手段であった。西欧文明に類する段階に達していない地域は先占の対象となる無主地とみなされていたが、1975年の西サハラ国際司法裁判所勧告的意見(英語版)では、西欧文明に属さない先住民だけが居住している地域であっても、固有の政治的・社会的組織があって、住民を代表する首長の権限のもとに置かれている地域は、無主地ではないとする国際慣行が19世紀末には成立していたと判断された。先占というためにはまず領域取得の意思が示されなければならず、その地域を自国に編入するという宣言や他国への通告によって行われるが、一般的には個々の国家活動や関連事実から推定されるものであり、他国への通告は絶対的な条件とは言えない。先占は実効的な占有を伴うものでなければならず、単に無主地を発見したり、主権を宣言したり、国旗を掲揚しただけでは不十分とみなされる。例えば1928年のパルマス島事件常設仲裁裁判所判決では、スペインによる島の発見は先占による同国の領域権原を認めるには不十分なものであり、アメリカによる継続的かつ平穏な主権の行使が優先されると判断された。このような実効的占有は自国の法秩序を維持し、他国の介入を有効に排除する程度の具体的な国家活動でなければならない。
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