伝導性
伝導性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/03 06:14 UTC 版)
「酸化ビスマス(III)」の記事における「伝導性」の解説
α相は室温でp型の電子伝導性(電荷が正孔により運ばれる)を示し、酸素分圧により550 ℃から650 ℃の間でn型の電子伝導性(電荷が電子により運ばれる)に変化する。β、γ、δ相の伝導性は酸化物イオンを主な電荷キャリアとするイオン性が優勢である。これらのうち、δ-Bi2O3が最も高い伝導性を持つことが報告されている。750 ℃でのδ-Bi2O3の伝導率は通常約1 S cm−1であり、中間相よりも約3桁大きく、単斜晶相よりも4桁大きい。δ-Bi2O3は単位格子内の8つの酸素サイトのうち2つが空孔である欠陥蛍石型の結晶構造を持つ。これらの固有空孔は、Bi3+の6s2孤立電子対の電子を持つ陽イオン副格子の分極性が高いため高い移動性を有する。Bi-O結合は共有結合の性質を持っているため、純粋なイオン結合よりも弱く、酸素イオンはより自由に空孔に入り込むことができる。 δ-Bi2O3の単位格子内の酸素原子の配置は、これまで多く議論の的となってきた。3つの異なるモデルが提案されている。Sillénは1937年、急冷した試料に粉末X線回折を使用し、Bi2O3の構造は酸素空孔が <111> に沿って、つまり立方体の対角線に沿って置かれる単純な立方相であることを報告した。GattowとSchroderは1962年、このモデルを否定し、単位格子内の各酸素部位(8c部位)は75%の占有率を持つと記述した。言い換えれば6つの酸素原子が単位格子内の8つの可能な酸素部位にランダムに分布している。現在、ほとんどの専門家は完全に無秩序な酸素副格子がよりよく高い導電性を説明するため、後者の説明を支持しているようである。 Willisは1965年、中性子回折を使用し蛍石 (CaF2) 系を研究した。彼は、理想的な蛍石結晶構造では記述できず、フッ素原子が規則的な8c位置から格子間位置の中心に向かって変位していることを決定した。Shukらは1996年に、Sammesらは1999年に、δ-Bi2O3では無秩序の程度が高いため、Willisのモデルを用いて構造を記述することも可能であると提案している。
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