事前放流
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 16:23 UTC 版)
洪水調節を行う前に、洪水調節容量以外の利水容量の一部を放流し、生じた容量を洪水調節容量に転化させることがある。これは事前放流と呼ばれ、洪水調節容量を増加させることで洪水調節の効果を向上させることが可能となる。 ただし、事前放流は本来利水目的である貯水容量を利水以外の目的で減ずる行為であり、放流量に見合った流入が得られない場合は利水の効用を無駄に落とすことになる。また、事前放流により洪水調節容量を確保するには一定の時間を要するとともに、この時間は通常よりも多い量の放流が必要となり、一時的に下流域への治水効果を減ずることにつながりかねないとも考えられる。このため、事前放流の運用に当たっては早い段階での精度の高い降雨の予測が必要となるなど、慎重な検討が必要となる。 このため、近年ではこうした事前放流を解消するために人造湖自体を掘削して新たなる貯水容量を確保したり、あるいは貯水池の有効貯水容量を変更して治水容量を増やすといったダム再開発事業が行われている。前者の例としては茨城県の藤井川ダム(藤井川/ふじいかわ)があり、後者の例としては宮城県の花山ダム(迫川/おいかわ)がある。
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