事前届出と不作為期間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/04 03:24 UTC 版)
「ハート・スコット・ロディノ反トラスト改正法」の記事における「事前届出と不作為期間」の解説
HSR法のもとでは、次のとおり、一定以上の規模の合併や一定以上の規模の当事者間の合併を行うにあたっては、事前に司法省と連邦取引委員会(独禁当局)に届け出る必要がある。 合併の規模(合併により取得される資産や株式その他の持分の価値)が6,520万ドル以下の場合 届出不要 合併の規模が6,520万ドルを超え、2億6,070万ドル以下の場合 合併の一方当事者の総資産または年間売上高が1億3,030万ドル以上、かつ、他方当事者の総資産または年間売上高が1,300万ドル以上の場合にのみ届出必要 合併の規模が2億6070万ドルを超える場合 合併当事者の規模にかかわらず届出必要 事前届出にあたっては、合併当事者の事業内容や合併の内容等について詳細な情報を独禁当局に提供する必要がある。届出から30日間は、不作為期間として合併を取り進めることは禁止される。この期間は、合併当事者の申請に基づき独禁当局が合意した場合には短縮することができる。独禁当局は、届出の内容を審査し、必要に応じて追加情報の提供を求めるとともに、不作為期間をさらに20日間延長することができる。 不作為期間中に、独禁当局は合併を差し止めるための法的手続を開始するかどうかを判断する。その間、上記のように合併当事者から追加情報を求めたり、他の競争者や顧客等の取引関係者の意見を徴する場合もある。不作為期間内に当局が合併を差し止めるための手続を開始しなかった場合には、当事者は合併を完了することができる。しかし、不作為期間を経過して成立した合併であっても、独禁当局や私人が事後に原状復帰を求めることを妨げるものではない。たとえば、事前届出を経て2001年に成立した合併に対して、その後独禁当局が異論を唱え、結局2005年になって、ビジネスの一部を分離すべしと 連邦取引委員会が最終命令を下したという例がある。
※この「事前届出と不作為期間」の解説は、「ハート・スコット・ロディノ反トラスト改正法」の解説の一部です。
「事前届出と不作為期間」を含む「ハート・スコット・ロディノ反トラスト改正法」の記事については、「ハート・スコット・ロディノ反トラスト改正法」の概要を参照ください。
- 事前届出と不作為期間のページへのリンク