レガシーシステムとしてのフロッピーディスク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 08:02 UTC 版)
「フロッピーディスク」の記事における「レガシーシステムとしてのフロッピーディスク」の解説
前述の自作機パーツとしての用途が廃れた後も、刺繍機、現金自動預け払い機、医療機器、航空機関連の機器など既存の機器を使い続ける業界では需要があったが、機材の更新により姿を消しつつある。 日本国内では2011年3月以前にソニーが生産と販売を終了した。官公庁では2022年現在もデータの受け渡しに利用されている。オンライン申請への切り替えが進んでいるが、フロッピーディスクにしか対応していない民間事業者が残っているなどの理由で利用を継続している。民間では西陣織では、織機に紋様の織り出し方を指示する紋意匠図の製作と製織の過程で、以前は「紋紙」と呼ばれる孔開き厚紙(歴史的には、コンピュータ以前の時代から使われていたパンチカードの由来である、イギリスで発明された織機のシステムそのものである)を使っていたが、1980年代に紋紙に代わって電子的な形式が制定され(コンピュータ柄システム)フロッピーディスクを使う機器が普及した。その後フロッピーディスクの生産打ち切りに伴い、ほとんどの織機が使えなくなるおそれを生じている。このような問題に対応するために京都市産業技術研究所でシステムが開発され、2011年から西陣織セミナーが開催されている。厚生労働省では医薬品や医療機器の承認審査の受付でフロッピーディスクを指定していたため、オンライン申請が可能となった2022年現在でも「FD申請」という名称で運用している。2020年時点ではオンラインかコンパクトディスクでの申請が大多数であるが、一部の企業からフロッピーディスクしか対応できないという申し出があるため、データの破損があることを通知した上で受付を継続している。銀行でもオンラインへの移行を促しフロッピーディスクによる受け渡しを廃止しているが、官公庁のみ特別に対応している例がある。エレコムではフロッピーディスク用のケースが2022年時点でも一定数売れているため販売を継続している。 アメリカ合衆国連邦政府でも、2016年になっても核兵器の運用部門にはフロッピーディスクが使われており、それらを始めとする旧式システムの維持管理に、年間600億ドル(約6兆6000億円)以上も費やされることが問題となっていた。2019年になり、戦略司令部は「フロッピーディスクデバイスを『セキュアなソリッドステートデジタルストレージソリューション』に置き換えた。」とアナウンスした。 アメリカ国防総省は、一刻も速くフロッピーディスクの使用を停止する方針を発表しているが、新システム構築のために用意された投資額は、旧システム維持費用の3分の1以下に留まっており、「簡単に言えば現在も機能しているため」旧システムは使われ続けている。これらは同省固有の現象ではなく、財務省やホワイトハウスでもフロッピーディスクや、1950年代のコンピュータプログラムが使われ続けている。 これら旧システムには、2015年ごろまではインターネットから遮断され、サイバー攻撃の影響を受けないこと、長年使用されてきた信頼性と確実性は、新規システムを上回るなどの利点が指摘されていた。ただし、2015年段階で新品のフロッピーディスクの入手は困難となっており、アメリカ政府も専門の業者を通じて中古品を購入していることが伝えられている。またメディアの耐久性や容量、セキュリティの高いオンラインストレージの登場もあり、上記のように置き換えが進んでいる。
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