メルセデス・ベンツ・770
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/25 07:35 UTC 版)
メルセデス・ベンツ・770(ドイツ語: Mercedes-Benz 770)は、メルセデス・ベンツが1930年から1943年にかけて製造していた大型高級車であり、「グロッサー・メルセデス(ドイツ語で「巨大なメルセデス」を指す)」という呼び名でも知られていた。 この車は、第二次世界大戦前から戦中にかけてアドルフ・ヒトラー、パウル・フォン・ヒンデンブルク、ヘルマン・ゲーリング、ハインリヒ・ヒムラー、ラインハルト・ハイドリヒ、イオン・アントネスク、ベニート・ムッソリーニ、そして、昭和天皇を含む枢軸国の高位級の要人たちによって用いられ、多くの記録映像に登場する事によって知名度の高い車種となっている。
- ^ a b c d e “Oldtimers Gallery - Mercedes-Benz 770 W07(K) Grosser”. Autogallery.org.ru. 2010年12月31日閲覧。
- ^ a b c d e f g h Robson, Graham (1990). The World's Most Powerful Cars. Quintet Publishing. pp. 100–101. ISBN 1-85076-254-6
- ^ a b c Ruiz, Marco (1988). The History of the Automobile. W.H. Smith Publishers. p. 57. ISBN 0-8317-6550-X
- ^ Rogliatti, Gianni (1973). Cyril Posthumus. ed. Period Cars. Feltham, Middlesex, UK: Hamlyn. pp. 94–95. ISBN 0-600-33401-5
- ^ Rogliatti 1973, p. 94.
- ^ Rogliatti 1973, p. 95.
- ^ a b c “Oldtimers Gallery - Mercedes-Benz 770 W150 Grosser”. Autogallery.org.ru. 2010年12月31日閲覧。
- ^ “Als der Fürerschein eine Mark kostet: B Busch blickt in den Rückspiegel: 1938”. Auto Motor u. Sport Heft 19 1976: Seite 76–82. (1976-09-15).
- ^ Samohýl Ladislav, Vacek Zdeněk, Fenomén Mercedes-Benz & Čechy, Morava a Slezsko, Grada Publishing, 2015, p. 34
- ^ Corneliu Leu, The Novel of a Great Day, "Realitatea" Publishers Ltd, 2005, p. 130
- ^ Klara, Robert. The Devil's Mercedes
- ^ Pulsifer, Cameron (Fall 1999). “"Hitler's Car" and the Canadian War Museum: Problems of Documentation and Interpretation”. Material Culture Review 50: 67–75 .
- ^ “Mannerheim's Mercedes Benz 770 F-Cabriolet”. Mannerheim.fi. 2010年12月31日閲覧。
- ^ “This Day In History: January 6”. History.com. 2007年10月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年12月31日閲覧。
- ^ “Hitler's car exerts grim fascination even if it just gave the Führer a lift to the airport”. The Guardian. (2015年9月13日) 2017年6月4日閲覧。
- ^ “Russian Billionaire Buys Hitler's Mercedes: Report”. Abc.net.au (2009年11月24日). 2010年12月31日閲覧。
- ^ “Mercedes-Benz 770K Cabriolet”. Sinsheim Auto & Technik Museum. 2012年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年2月29日閲覧。
- ^ http://www.conceptcarz.com/vehicle/z12046/Mercedes-Benz-770-K-Cabriolet-B.aspx 1939 Mercedes-Benz 770K Cabriolet B
- 1 メルセデス・ベンツ・770とは
- 2 メルセデス・ベンツ・770の概要
- 3 関連項目
メルセデス・ベンツ・770
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 07:49 UTC 版)
「御料車」の記事における「メルセデス・ベンツ・770」の解説
1932年(昭和7年)に導入されたメルセデス・ベンツ・770。既にイギリスとの同盟関係が失われており、当時満州事変への対応をめぐってイギリスやアメリカ合衆国などの自動車先進国との関係が悪化していた上、メルセデス・ベンツは他国の国家首脳専用車としても導入されていた実績が高い評価を受けたことから、ドイツ車で初めて導入されることとなった。また昭和天皇即位後、初めて導入された御料車となった。 なお、ドイツとの間の日独防共協定の締結などを受けて、イギリス製のロールス・ロイスが1936年(昭和11年)に御料車から外されたため、その後の第二次世界大戦期を通じて唯一の御料車として、またその後も長らく使用された。 全長5.6m、車重は通常仕様でも2.7tに達する巨大な車で、OHV直列8気筒7665ccの大排気量エンジンを搭載する。標準モデルの「770」および、スーパーチャージャー(Kompressor )を追加した「770K」が用意された。当時としては最新鋭の車種であり、ドイツやその友好国、同盟国の国家元首専用車として多用された車種である。 皇室が御料車として採用した車はスーパーチャージャー非装備の770(出力は150馬力)で、1931年(昭和6年)から1935年(昭和10年)の間に合計7台が輸入された。ボディは当時の上級メルセデス・ベンツの多くの例に漏れず、ダイムラー・ベンツ自社のジンデルフィンゲン工場が内製しており、後席内装には宮内省から供給された西陣織が使用されていた。7台のうち2台は、日本に到着後、陸軍砲兵工廠で防弾装甲ボディに改装され、4トンを超える重量級となり、橫濱護謨製造製の特殊タイヤが後に使用された。1台が戦時中に戦災焼失した。 第二次世界大戦後、「溜色のベンツ」、「溜色の車」と呼ばれ、戦後間もなくの昭和天皇の戦後巡幸でも使用され、昭和天皇と共に全国を周り、当時の日本国民の目に触れている。また、2台が車体後部を改造されランドレー型となった。この改造は富谷龍一のデザイン案に基づき、梁瀬自動車が請け負った。 これら御料車は、1959年(昭和34年)4月10日の皇太子明仁親王・正田美智子結婚の儀など、新御料車(4代目・5代目)が導入されたのちも引き続き、1968年(昭和43年)に至るまで長期間に渡って使用された。台数が6台と多く揃っていたこともあり、ランドレーへ改造された車を部品取り用に解体するなどの手段で、未改造車の延命策がとられた。なお、1971年(昭和46年)に1台がダイムラー・ベンツに寄贈され、現在も同社の博物館に展示されている。
※この「メルセデス・ベンツ・770」の解説は、「御料車」の解説の一部です。
「メルセデス・ベンツ・770」を含む「御料車」の記事については、「御料車」の概要を参照ください。
- メルセデス・ベンツ・770のページへのリンク