ペアポテンシャル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/25 06:58 UTC 版)
「原子間ポテンシャル」の記事における「ペアポテンシャル」の解説
広く用いられている原子間相互作用のモデルの中でおそらくもっとも単純なのは、次のレナード-ジョーンズ・ポテンシャルであろう。 V L J = 4 ε [ ( σ r ) 12 − ( σ r ) 6 ] {\displaystyle V_{\mathrm {LJ} }=4\varepsilon \left[\left({\frac {\sigma }{r}}\right)^{12}-\left({\frac {\sigma }{r}}\right)^{6}\right]} 上式の ε はポテンシャル井戸(英語版)の深さを、σ はポテンシャルの値がゼロとなる距離を意味する。1 / r6 に比例する項は、それぞれの原子に誘起された電気双極子どうしの古典的もしくは量子的な相互作用を表している。このポテンシャルは貴ガスに対して非常に正確な結果を与える。また化学的な力場の中の分子間相互作用を記述する場合など、双極子相互作用が重要な系で広く使われている。 モースポテンシャルもまたよく知られた単純な対ポテンシャルで、2つの指数関数を単に足し合わせた形をしている。 V ( r ) = D e ( e − 2 a ( r − r e ) − 2 e − a ( r − r e ) ) {\displaystyle V(r)=D_{e}(e^{-2a(r-r_{e})}-2e^{-a(r-r_{e})})} ここで De は平衡結合エネルギー、re は結合距離である。モースポテンシャルは分子振動や固体の研究に応用されてきた。近年ではほとんど使われなくなったが、結合次数ポテンシャルのような新しいポテンシャル関数に派生している。 イオン性物質を記述するには、バッキンガム・ポテンシャルのような短距離斥力項と、イオン性物質を構成するのに必要なイオン間相互作用を与えるクーロンポテンシャルとの和が用いられることが多い。イオン性物質の短距離項は多体効果を受けることもある。 対ポテンシャルには立方晶金属の弾性定数3つすべてを与えることができないなど特有の限界がある。したがって現代のMDシミュレーションは様々な多体ポテンシャルを用いて行われることがほとんどである。
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