PVC
別表記:ピーブイシー
PVCは、加工がしやすい点がひとつのメリットである。熱可塑性樹脂であるため、高温環境に置くことで簡単に形が変えられる。よって、様々な加工方法に対応しやすい。また、可塑剤を加えることで、柔らかい状態で仕上げることも可能だ。さらに、付加重合の度合いを調整することで、半液体状の接着剤にもなる。そのように、プラスチック樹脂の中でも、加工や材質の幅が広いのが特徴である。したがって、日常生活で使用する袋や、建物の建材など、様々な形となり、あらゆる場所で使用されている。
そして、耐久性が高いというメリットもある。PVCは加工方法次第で、金属に近い強度に仕上げることができる。それでいて、プラスチックであるので、金属のように錆びてしまうことがない。よって、長期間水に触れるような環境であっても、劣化がしにくい。そのため、液体を流すためのパイプとして使用されることが非常に多い。また、耐薬品性もあり、酸性とアルカリ性のどちらにも対応可能だ。したがって、化学薬品を流すパイプとしても利用される。
さらに、絶縁性もあり、電気を通す金属では対応できない場面でも使用することができる。その上、プラスチック樹脂の中では、燃えにくい性質をしている。一度火が付いたとしても、燃え広がるリスクが少ない。よって、安全性が重視される場所でも、PVCが使用されることが多い。
ただ、PVCは、どのような環境でも対応できるわけではない。温度変化に弱く、耐熱温度は60度から80度程度と比較的低い。さらに、常に熱を与え続けると、簡単に変形してしまう。また、5度以下の環境だと、メリットである耐久性がなくなり、簡単に割れてしまう。したがって、温度が安定している場所での使用に適している。
PVCは、1990年代には、環境に対する問題点が浮かび上がった。燃焼による廃棄を行った場合、有害物質であるダイオキシンが発生するという問題だ。そのダイオキシン発生量は、焼却設備が高性能になり、完全燃焼ができるようになったことで減少した。しかし、ダイオキシンの発生を完全に抑えることはできず、一部では問題視され続けている。
また、PVCを柔らかくするために使用する可塑剤の、人体への影響という問題点もある。フタル酸エステルやフタル酸ビスといった可塑剤は、生殖異常やアレルギーを引き起こす恐れがあるという理由で、EU圏内では禁止物質となっている。そして、フタル酸系ではない可塑剤が使用されるPVC製品も多い。そういったPVCは、「非フタル酸系塩ビ」や、「atbc-PVC(acetyl tributyl citrate-polyvinyl chloride)」と呼ばれる。
また、PVCは、医療分野では、不整脈の一種である「心室性期外収縮」という意味の言葉として扱われる。「premature ventricular contraction」を略して「PVC」となる形だ。本来人の心臓は、定期的な脈動を行っている。しかし、何らかの原因によって、心臓の下部、心室部分に電気刺激が生まれ、必要のない脈動が発生する。それを心室性期外収縮と呼ぶ。原因としては、体質的な高血圧や、飲酒、喫煙などが考えられる。心室性期外収縮は、心電図では通常の脈動とは異なる波形となるため、確認自体は容易である。医療分野におけるPVCは、「vpc」と呼ばれることもある。ただ、これは単語を入れ替えただけであり、PVCとvpcのどちらを使用したとしても、心室性期外収縮を指す点は変わらない。
PVCレザーとは、人工皮革の一種である。PVCを薄く延ばし、表面に動物の皮膚をモチーフとしたデザインを施す形で作られる。そして、土台にはポリエステルなどの繊維で作った布が使用されることが多い。PVCレザーは、天然の皮革よりも安価で作ることができるのが特徴だ。そのため、ソファや財布など、レザー調の製品で、コストを抑えるために使用される。また、PVC自体、加工が容易であり、顔料によって色を自由に変えられる。よって、天然皮革では実現が難しい形状や色の製品を作る際にも、PVCレザーが選ばれる。
PVCシートとは、PVC素材を薄く延ばし、シート状にしたものである。基本的には他の素材は用いることなく、PVCのみが使用される。PVCシートは、天井からぶら下げて仕切りにしたり、小さく切って装飾にしたりと、使い道が豊富である。また、濡れた衣類を入れておく鞄など、耐水性が必要なものの生地として使用されることも多い。無色透明なPVCシートであれば、ガラスの代用品にもなる。PVCは弾力性があり、ガラスのように割れてしまうこともない。そのため、安全性が重視される場所では、ガラスではなくPVCシートが選ばれることもある。
PVCフリーとは、PVCを使用していないことを意味する言葉である。PVCは、焼却する際にダイオキシンが発生する。その上、リサイクルがしにくいため、環境保護を重視する国や地域では規制されることがある。その規制に従って、PVCを使用していないことを証明する際に、PVCフリーという言葉が使用される。
また、医療現場では、点滴に使用するカテーテルなどの輸液セットで、PVCが使用されていないことを確認するために、PVCフリーという言葉が使用される。PVCを加工する際に使用される、フタル酸系可塑剤には、dehpという種類がある。そのdehpは人体に悪影響を及ぼすが、点滴の輸液に溶け込むことで、人体内に入り込んでしまう恐れがある。そのリスクをなくすために、可塑剤の種類に関係なく、PVC製の輸液セットではなく、PVCフリーの輸液セットが選ばれる。
PVCフィギュアとは、PVCを素材として作られたフィギュアのことである。他の素材と併用していたとしても、大部分がPVC素材であれば、PVCフィギュアとして扱われる。フィギュアは、人物や動物など、モチーフが複雑であることが多い。その複雑なデザインを、立体的なフィギュアとして忠実に再現するためには、加工がしやすい素材が必要となる。そのため、柔らかく、加工が容易なPVCが選ばれる。また、フィギュアは、きれいな状態を維持することが重要であるため、劣化しにくいPVCが適している。さらに、フィギュアの中には、関節が設けられ、一部が動かせるようになっているものもある。その関節部分に、弾力性があって耐久性が高いPVCが使用される場合も多い。
PVC加工とは、水に弱い繊維でできた布に、PVC素材でコーティングを施す加工のことである。PVCは、プラスチック樹脂の中でも、比較的柔軟性が高い。そのため、布へのコーティング剤として使用したとしても、布の柔軟性が失われにくい。そして、PVC加工を施すと、布に水分が染み込んでしまうのを防げる。さらに、PVCが接着剤の役割も果たし、繊維がほつれたり、破けたりすることの防止にも繋がる。よって、布の耐水性や耐久性を高めるために、PVC加工が用いられる。また、布へのコーティングとは別に、PVC素材で何らかの構造物を作り上げることを、PVC加工と呼ぶ場合もある。
軟質PVCとは、柔らかい性質を持ったPVCのことである。PVCは、強度が高い硬質PVCと、低い軟質PVCに分かれる。それぞれ比重や、引っ張った際の伸び率などが異なる。そして、比重が低く、伸び率が高いものが軟質PVCである。軟質PVCは、柔軟性が高いため、PVCレザーやPVCシートなどに使用されることが多い。また、PVCフィギュアでも、主な素材は硬質PVCでありながら、衣類など柔軟性が必要なパーツには、軟質PVCが使用される場合がある。
「PVC」とは・「PVC」の意味
PVCとは、合成プラスチック樹脂のひとつである、ポリ塩化ビニルだ。塩化ビニルを素材とし、付加重合という化学反応を起こすことで作られる。「PVC」は、「polyvinyl chloride」を略した形だ。そして、五大汎用樹脂のひとつとして数えられ、幅広い場面で使用されている。PVCは、加工がしやすい点がひとつのメリットである。熱可塑性樹脂であるため、高温環境に置くことで簡単に形が変えられる。よって、様々な加工方法に対応しやすい。また、可塑剤を加えることで、柔らかい状態で仕上げることも可能だ。さらに、付加重合の度合いを調整することで、半液体状の接着剤にもなる。そのように、プラスチック樹脂の中でも、加工や材質の幅が広いのが特徴である。したがって、日常生活で使用する袋や、建物の建材など、様々な形となり、あらゆる場所で使用されている。
そして、耐久性が高いというメリットもある。PVCは加工方法次第で、金属に近い強度に仕上げることができる。それでいて、プラスチックであるので、金属のように錆びてしまうことがない。よって、長期間水に触れるような環境であっても、劣化がしにくい。そのため、液体を流すためのパイプとして使用されることが非常に多い。また、耐薬品性もあり、酸性とアルカリ性のどちらにも対応可能だ。したがって、化学薬品を流すパイプとしても利用される。
さらに、絶縁性もあり、電気を通す金属では対応できない場面でも使用することができる。その上、プラスチック樹脂の中では、燃えにくい性質をしている。一度火が付いたとしても、燃え広がるリスクが少ない。よって、安全性が重視される場所でも、PVCが使用されることが多い。
ただ、PVCは、どのような環境でも対応できるわけではない。温度変化に弱く、耐熱温度は60度から80度程度と比較的低い。さらに、常に熱を与え続けると、簡単に変形してしまう。また、5度以下の環境だと、メリットである耐久性がなくなり、簡単に割れてしまう。したがって、温度が安定している場所での使用に適している。
PVCは、1990年代には、環境に対する問題点が浮かび上がった。燃焼による廃棄を行った場合、有害物質であるダイオキシンが発生するという問題だ。そのダイオキシン発生量は、焼却設備が高性能になり、完全燃焼ができるようになったことで減少した。しかし、ダイオキシンの発生を完全に抑えることはできず、一部では問題視され続けている。
また、PVCを柔らかくするために使用する可塑剤の、人体への影響という問題点もある。フタル酸エステルやフタル酸ビスといった可塑剤は、生殖異常やアレルギーを引き起こす恐れがあるという理由で、EU圏内では禁止物質となっている。そして、フタル酸系ではない可塑剤が使用されるPVC製品も多い。そういったPVCは、「非フタル酸系塩ビ」や、「atbc-PVC(acetyl tributyl citrate-polyvinyl chloride)」と呼ばれる。
また、PVCは、医療分野では、不整脈の一種である「心室性期外収縮」という意味の言葉として扱われる。「premature ventricular contraction」を略して「PVC」となる形だ。本来人の心臓は、定期的な脈動を行っている。しかし、何らかの原因によって、心臓の下部、心室部分に電気刺激が生まれ、必要のない脈動が発生する。それを心室性期外収縮と呼ぶ。原因としては、体質的な高血圧や、飲酒、喫煙などが考えられる。心室性期外収縮は、心電図では通常の脈動とは異なる波形となるため、確認自体は容易である。医療分野におけるPVCは、「vpc」と呼ばれることもある。ただ、これは単語を入れ替えただけであり、PVCとvpcのどちらを使用したとしても、心室性期外収縮を指す点は変わらない。
「PVC」の熟語・言い回し
PVCレザーとは
PVCレザーとは、人工皮革の一種である。PVCを薄く延ばし、表面に動物の皮膚をモチーフとしたデザインを施す形で作られる。そして、土台にはポリエステルなどの繊維で作った布が使用されることが多い。PVCレザーは、天然の皮革よりも安価で作ることができるのが特徴だ。そのため、ソファや財布など、レザー調の製品で、コストを抑えるために使用される。また、PVC自体、加工が容易であり、顔料によって色を自由に変えられる。よって、天然皮革では実現が難しい形状や色の製品を作る際にも、PVCレザーが選ばれる。
PVCシートとは
PVCシートとは、PVC素材を薄く延ばし、シート状にしたものである。基本的には他の素材は用いることなく、PVCのみが使用される。PVCシートは、天井からぶら下げて仕切りにしたり、小さく切って装飾にしたりと、使い道が豊富である。また、濡れた衣類を入れておく鞄など、耐水性が必要なものの生地として使用されることも多い。無色透明なPVCシートであれば、ガラスの代用品にもなる。PVCは弾力性があり、ガラスのように割れてしまうこともない。そのため、安全性が重視される場所では、ガラスではなくPVCシートが選ばれることもある。
PVCフリーとは
PVCフリーとは、PVCを使用していないことを意味する言葉である。PVCは、焼却する際にダイオキシンが発生する。その上、リサイクルがしにくいため、環境保護を重視する国や地域では規制されることがある。その規制に従って、PVCを使用していないことを証明する際に、PVCフリーという言葉が使用される。
また、医療現場では、点滴に使用するカテーテルなどの輸液セットで、PVCが使用されていないことを確認するために、PVCフリーという言葉が使用される。PVCを加工する際に使用される、フタル酸系可塑剤には、dehpという種類がある。そのdehpは人体に悪影響を及ぼすが、点滴の輸液に溶け込むことで、人体内に入り込んでしまう恐れがある。そのリスクをなくすために、可塑剤の種類に関係なく、PVC製の輸液セットではなく、PVCフリーの輸液セットが選ばれる。
PVCフィギュアとは
PVCフィギュアとは、PVCを素材として作られたフィギュアのことである。他の素材と併用していたとしても、大部分がPVC素材であれば、PVCフィギュアとして扱われる。フィギュアは、人物や動物など、モチーフが複雑であることが多い。その複雑なデザインを、立体的なフィギュアとして忠実に再現するためには、加工がしやすい素材が必要となる。そのため、柔らかく、加工が容易なPVCが選ばれる。また、フィギュアは、きれいな状態を維持することが重要であるため、劣化しにくいPVCが適している。さらに、フィギュアの中には、関節が設けられ、一部が動かせるようになっているものもある。その関節部分に、弾力性があって耐久性が高いPVCが使用される場合も多い。
PVC加工とは
PVC加工とは、水に弱い繊維でできた布に、PVC素材でコーティングを施す加工のことである。PVCは、プラスチック樹脂の中でも、比較的柔軟性が高い。そのため、布へのコーティング剤として使用したとしても、布の柔軟性が失われにくい。そして、PVC加工を施すと、布に水分が染み込んでしまうのを防げる。さらに、PVCが接着剤の役割も果たし、繊維がほつれたり、破けたりすることの防止にも繋がる。よって、布の耐水性や耐久性を高めるために、PVC加工が用いられる。また、布へのコーティングとは別に、PVC素材で何らかの構造物を作り上げることを、PVC加工と呼ぶ場合もある。
軟質PVCとは
軟質PVCとは、柔らかい性質を持ったPVCのことである。PVCは、強度が高い硬質PVCと、低い軟質PVCに分かれる。それぞれ比重や、引っ張った際の伸び率などが異なる。そして、比重が低く、伸び率が高いものが軟質PVCである。軟質PVCは、柔軟性が高いため、PVCレザーやPVCシートなどに使用されることが多い。また、PVCフィギュアでも、主な素材は硬質PVCでありながら、衣類など柔軟性が必要なパーツには、軟質PVCが使用される場合がある。
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