ピート・アンド・ダド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/14 04:52 UTC 版)
「ダドリー・ムーア」の記事における「ピート・アンド・ダド」の解説
「The Establishment」の後、ニューヨークに渡り、イギリスに帰国後、BBCで独自のシリーズ番組のオファーを受けた。『Not Only... But Also』(1965年)の枠がムーアに任されたが、ピーター・クックをゲストに招いたときから、2人のコンビに注目が集まり、番組内の定番となった。クックとムーアといえば、何といっても、2人の労働者を描いた「ピート・アンド・ダド(Pete and Dud)」が思い浮かぶ。レインコートに布帽子といういでたちで政治や芸術を語るのである。たいてい、クック演じる上流階級の変人にインタビューする役をムーアが演じるという、1回限りのキャラクターのシリーズものを作り上げた。二人は素材を脚本化するのに変則的な方法を編み出したが、その方法とはテープレコーダーを使って適当にアドリブを演じたものを録音し、そこから起こしたり編集したりするのである。この方法では出来上がった脚本を十分にリハーサルする時間がないため、カンペをよく使っていた。ムーアの死体役が有名で、番組はそのまま続行し、クックがムーアにスタジオの観客より大きいリアクションをさせようとでもするかのようにわざと笑わせるのであった。なお、こういった独創性に富んだテレビショーのビデオやフィルムは、多くが後にBBCに廃棄されてしまったが(たとえば『ドクター・フー(Doctor Who)』など、他のイギリスのテレビ作品の大部分も同じように失われてしまっている)、しかしながらサウンドトラックの一部(レコードとして発売された)は生き残った。 ムーアとクックは映画『悪いことしましョ!』(1967年)でエレノア・ブロンとともに共演し、さらに『Behind the Fridge and Good Evening』というツアーを行った。『悪いことしましョ!』は2000年にブレンダン・フレイザーとエリザベス・ハーレイの主演でリメイクされた。 1970年代の後半に「デレク・アンド・クライヴ」名義でリリースされた3枚のアルバムについては、卑猥な言葉遣いやショッキングかつ思いつき的な内容により、多方面から酷評された。この直後の『Ad Nauseam』においてムーアはクックと決別した。クックが映画の仕事に専念できないほどのアルコール依存症に冒されていたからである。ムーアに後に死に至る原因となった病(進行性核上性麻痺 PSP, progressive supranuclear palsy)の症状が現れ始めたとき、最初は彼にもアル中の疑いが向けられた。ムーアが初期に演じた役のうちの二つは、一つが名ばかりの酔っ払いプレイボーイ、アーサーであり、もう一つは『テン』のそれほどでもない大酒飲みジョージ・ウェバーであった。
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