パトカー専用モデルの詳細
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「パトロールカー」の記事における「パトカー専用モデルの詳細」の解説
ジープBJ、ランドクルーザー BJ型、20系、40系(1953年 - 1960年代) 初代のトヨタジープBJ型は警察予備隊の小型汎用車両の競争入札に参加する目的で設計された。結果として、競合車であった日産・4W60型と共にウィリス・ジープのノックダウン生産(後にライセンス生産で国産化)である三菱・ジープの前に敗れ、民需の道を模索することになる。そのような中、頑丈なシャシと強力なB型エンジンが評価され、国家地方警察(国警)の警ら車両として採用される。 二代目のJ20系では国警向けに力を注いだ結果、全ラインナップの半数が後輪駆動(2WD)となる。初代の途中で消防用シャシ向けに追加された、より新しいF型エンジンもすべてのモデルで選べるようになる。 J40系はジープBJやJ20系の置き換えや補充用として納入されてはいたが、この頃になると国産乗用車の性能や信頼性が高まり、道路舗装も進んだことから、機動隊や消防指揮車を除き、一般的な警ら車両はS40系クラウンをベースとしたトヨタ・パトロールへと移行してゆく。 トヨタ・パトロール BDR型、BHR型、BH/FH26型、FS20系、FS40系、FS50系 BDRはトヨタパトロールの試作車で、小型トラックと同様のはしご型フレームを持ち、サスペンションも全後輪ともにリーフリジッドである。型式からも判るように、エンジンは戦前に設計された大型トラック・バス用の、初代B型であり、これはジープBJや20系ランドクルーザーとも共通である。トランスミッションも小型トラック用の3速MTの歯車比を変更したもので、6.00-16のタイヤサイズもやはり小型トラックと共通である。 この時代のRS系クラウンは排気量1500cc、出力は48馬力と非力なため、白黒のパトロールカーは無かった。当時は犯罪者側がアメリカ車で逃亡を計る場合も多く、国産乗用車の性能では全く太刀打ちできなかったため、大型トラック用の大排気量ガソリンエンジンの採用に至った。この時代、日産やいすゞでも、同様な警ら専用車を納入している。 2代目となるH26系は、外観こそ初代クラウンのRS系に酷似するが、シャシやパワートレインはBHRと同様で、新設計のF型エンジンが追加設定されている。長大な直列6気筒エンジンを搭載するためフロントアクスルから前方にオーバーハングしており、クラウンに比べボンネットが長く、タイヤサイズが大きく車高も高い。この外観的特徴は先代にも共通する。右フロントフェンダー上に電動サイレンが装備されており、そのためアウターリアビューミラーはドアミラーとなっている。クラウンではBピラー埋め込みであった矢羽式方向指示器(アポロ)は、フロントカウル左右端にステーで直立しており、非常に目立つ。この他、H20系には2ドア・2シーターで、非常に短いクーペのようなキャビンを持ち、白黒の塗り分けも通常とは異なる仕様が少数存在する。 また、このシャシとエンジンの組み合わせは、四輪駆動の必要の無い地域向けの消防用シャシ(カウルシャシ)としても販売されており、これらはFA型大型トラックの縮小コピーのようなボンネットを持っており、パトロールカーとは全くスタイルが異なる。 3代目のFS20系からFS50系までは、クラウン(S20系、S40系、S50系)の各部を補強した上で先述のF型エンジンを搭載したものとなる。H20系までとは異なり、ボンネットの延長は無く、前輪がダブルウィッシュボーン式の独立懸架となり、車高も通常の乗用車と変わらないため、クラウンとの見分けは難しくなった。 なお、FS20、FS40、FS50系には、クラウンバンを大幅に設計変更した「トヨタ・救急車」も存在する。また50系には輸出用2.3リッターの2Mエンジンを搭載した物もあり、発熱量が増えたためか?フロントフェンダーにダクトが付く。 トヨタ・パトロールカー FS60系、FS80系 クラウンをベースとした専用車。制服車(白黒)、特殊車(覆面)、警護車、私服無線車(赤灯無し)がセダン、事故処理車、鑑識車、捜査用車、保全車がバンベースである。ここへ来てようやくトラック用エンジンと決別し、4M型と5R型という、クラウン縁のものとなり、タイヤも乗用車用となった。 トヨタ・クラウン トヨタ・クラウンセダン (130系、1987-1995) 交通取締り用、警邏用ともに排気量は3000cc(JZS133Z)の5速MTのみであった、1991年に後期型へのモデルチェンジ、その2年後の1993年に一部マイナーチェンジを行った、フェンダーミラーが標準だが覆面パトカー車にはドアミラーを装備している車体もあった、このモデルまでは全車MTである、基本的に交通機動隊と高速道路交通警察隊に配属させた警察本部が多かった。 (150系、-2001) 排気量は2000cc(GS151Z)と3000cc(JZS155Z)がある。ただし、積雪地域向けに2500cc・4WDも20台余り作っていた(JZS153改)。このモデルから80系マークIIセダンパトロールカーが生産終了したため、1クラス上のクラウンセダンに初めて2000ccの警邏仕様が設定された。ドア内張りやシートなどはビニールで、ホイールもスチールホイールにセンターキャップという組み合わせ。覆面パトカー仕様のみドアミラーが標準である。後期型(99年-)から警邏用の2000cc車に昇降機が装備された。覆面はオートカバーがフロントグリルの外側に付いた仕様も存在する。基本的にはMT仕様だが2000ccにはAT仕様もあった、クラウンパトカー初のATはこのモデルが最初である。2001年にベースのクラウンセダンがコンフォートベースになったため、クラウンセダンベースはこれが最終となった。なお、車名「クラウンパトロールカー」を対象とした2000年のリコールでは一般のクラウンは対象外であった。また小型タクシーに多く用いられるコンフォートは、パトカーでは愛知県警などごく一部でしか採用されていない。 170系(2001-2005) 2001年、クラウンのマイナーチェンジに合わせる形で170系クラウンパトロールカーの生産を開始。よって前期型は存在しない。ベースのクラウンセダンが1クラス下のコンフォートベースになったため、クラウンロイヤルがベースになった。これまでと異なりロイヤル系をベースとすることとなったため大幅に高級感が増し、デビュー当初はパトロールカーらしくない・高級車だと国民から酷評されたモデルでもある。シフトはATのみとなった。2000cc(GS171、2003年追加)と3000cc(JZS175改)の他に2500ccの4WDも正式に追加された(JZS173Z)。エンジンは各モデルとも市販車と同様だが、エンジンコンピュータのセッティングが専用となる。ホイールキャップも装備されて先代に比べると豪華になったが、シートは先代同様にビニール張りのアームレストなしの仕様と市販モデルには存在しないタイプであった。また、内装はアスリートと同じ黒内装、黒木目調ウッドパネルとなっていた(但しシフトレバーはロイヤル系と同じ形状)。オーディオはコントロールパネルこそ市販車同様のクラウン・ロイヤルサウンドシステムだが、AM/FMラジオ機能のみとなり、助手席側トリムに無線スピーカーを装着するため3スピーカーとなっている。左右独立フルオートエアコン、全席オートパワーウィンドウ、オプティトロンメーターなどは市販車同様に装備されていた。市販車同様、北海道警察に納入される寒冷地仕様車にはリヤフォグランプが装備されている。 また、東日本大震災で避難誘導後に津波によって被災した双葉31号車(2003年に配属)が、所属していた双葉警察署内で「震災遺産」として常設展示されている。 170系クラウン・2000cc(愛知県警) 170系クラウン・3000cc(警視庁) 170系クラウン(覆面) 180系 ゼロクラウン(2005-2010) 2005年10月、クラウンのマイナーチェンジに合わせ180系クラウンパトロールカーの生産が開始された。よって前期型は先代170系同様存在しない。白黒、白黒(昇降機付き)、覆面が存在しており、市販モデル(全車アルミホイール装備)には設定のないスチールホイールにマークXのホイールキャップを装着している。なお、ホイールキャップのエンブレムはトヨタCIエンブレムで、いわゆる「王冠」マークではない。エンジンは市販車で2000ccが廃止されたため、V型6気筒の2500と3000が設定される。新型のエンジンは随所で直噴機構なしのエンジンと誤記されているが、実際には市販車と同じ直噴機構を採用した4GR-FSEと3GR-FSEである。なお、2WDで2500ccのパトカー専用モデルの国費警邏車はシグマ以来である。ミッションは2500は5AT。3000ccはマニュアルモードであるシーケンシャルマチック付きの6ATが装備される。装備は市販最廉価グレードの「ロイヤルエクストラ」に準じており、ヘッドランプは市販車の後期モデルに全車標準装備のAFS付ディスチャージは設定がなく、前期のロイヤルエクストラと同じAFSなしのディスチャージが装備される。パトカー専用モデルでのディスチャージランプ装着はGRS18#系が史上初。これは180系クラウンにハロゲン式の設定がないため、ハロゲン式を搭載するとヘッドランプハウジングを再設計しなければならないためとされる。170系に装着されていた高級感のある黒木目調パネルは廃止され、艶消しブラックパネルとなり市販車に比べやや質素なインテリアとなる。ただウレタンステアリングに市販車同様オーディオスイッチがあり、この部分が微かに黒木目調パネルになっている。オーディオは先代同様にコントロールパネルこそ市販車同様のクラウン・ロイヤルサウンドシステムだが、AM/FMラジオ機能のみで、助手席側トリムに無線スピーカーを装着するため3スピーカーとなっている。左右独立フルオートエアコン、全席オートパワーウィンドウ、オプティトロンメーターが装備されている。シートとフロアも先代同様ビニールレザー仕様である。覆面仕様には前面赤色灯用のオートカバー設定だったが、08年度導入車からはグリル内埋め込みとなりより隠蔽性を向上している。2005年度末から全国で納車されており、市販車が2008年にGRS200系に切り替わってからもパトロールカー向けへはGRS180系を2009年度国費予算分までは投入し続けていたが、2010年度国費予算分からはGRS200系に切り替わった。寒冷地仕様車にリヤフォグランプが装備されるのは170系同様である。 180系クラウン・2500cc(埼玉県警) 180系クラウン・3000cc(神奈川県警) 180系クラウン(覆面・オートカバー) 180系クラウン(覆面・グリル内LED警光灯) 180系クラウン(覆面) GRS200系 クラウン(2011-2015) 2011年1月、ベース車である200系クラウンのマイナーチェンジから1年置いた2011年初頭から200系クラウンロイヤルをベースとしたパトロールカーの生産が開始された。よって前期型は先々代170系、先代180系同様存在しない。エンジンは先代同様警邏用無線車にV6の2500の4GR-FSEと交通・交通覆面用に3000の3GR-FSEがそれぞれ設定される。ミッションは先代では2500は5ATであったが、今モデルから2500・3000ccともにマニュアルモードであるシーケンシャルマチック付きの6ATが装備される。装備面で先代モデルとの大きな違いは、全タイプに純正アルミホイールが標準装備されたことで、2500cc警邏用に16インチ、交通・覆面用に17インチが装備されるようになった。アルミホイールの標準装着は、国費で大量導入されるパトカー専用グレード車としては史上初のことである。警邏・交通仕様の赤色灯が新型のものに切り替えられた。また外観上の市販車との違いはこれまで同様グレードエンブレムで、白黒はそれに加え先代まで存在したCビラーの王冠のピラーオーナメントと、トランクの「CROWN」エンブレムが廃止された。そのため「クラウン」としての王冠マークはステアリングパッド部のみとなる。その他装備は市販最廉価グレードの「ロイヤルサルーン・スペシャルパッケージ」に準じており、ヘッドランプはディスチャージが装備される。エンジンキーは2010年度予算分の1次車のみが従来のキーシリンダー式であったが、2011年度予算分の2次車から「キーシリンダー式ドア施解錠キー&キーレスプッシュスタートキー」が各5本付属となり、ドアの施解錠は従来同様マスターキーで、エンジン始動は専用のスマートキーで行うシステムが採用された。オーディオは先代同様にビルトインのコントロールパネルに、AM/FMラジオ機能のみで、助手席側トリムに無線スピーカーを装着するため3スピーカーとなっている。VDIM、左右独立フルオートエアコン、全席オートパワーウィンドウ、オプティトロンメーターを装備されている。シートとフロアも先代同様ビニールレザー仕様である。インテリアパネルも先代180系同様艶消しブラックパネルだがシフトレバー回りのみはシルバー加飾となる。覆面仕様には、5色のボディカラーが設定され、「シルバーメタリック」「ブラック」「ブラキッシュレッドマイカ」「シルキーゴールドマイカメタリック」「ダークブルーマイカ」が設定される。富士重工業(現・SUBARU)が落札した2013年度を除く2011年から2015年にかけて納車された。なお、ベース車の寒冷地仕様車にリヤフォグランプが標準装備されなくなったため、寒冷地仕様車にもリヤフォグランプは装備されない。 200系クラウン・2500cc(神奈川県警) 200系クラウン・3000cc(埼玉県警) 200系クラウン(覆面) GRS210系 クラウン(2016-2020) 2016年、ベース車である210系クラウンのマイナーチェンジを機に210系クラウンをベースとしたパトロールカーの生産が開始された。よって前期型は170系、180系、200系同様存在しない。今モデルからは外観が警邏系と交通・覆面系で外装を大きく変え前者がロイヤル系、後者がアスリート系の外観となった。エンジンは先代同様警邏用無線車にV6の2500の4GR-FSE形(203馬力)が、交通・覆面仕様にはV6の3500の2GR-FSE形(315馬力)が搭載される。180系・200系では整備性と点検性を重視し省略されていたエンジンカバーが170系以来復活している。アルミホイールは警邏系に16インチ。交通・覆面仕様に18インチアルミ(市販車で存在しないシルバー塗装の18インチアルミが交通・覆面ともに標準装備だが、さらに覆面仕様では市販車と同一のスパッタリング塗装18インチアルミもメーカーオプション設定され、一部都費予算車・県費予算車で見受けられる。デザインはアスリートの18インチスパッタリング塗装アルミと同一)が採用される。ミッションはシーケンシャルマチック付きの6ATが装備される。先代では装備を見送られたCピラーの王冠のピラーオーナメントと、トランクの「CROWN」エンブレムが210系では復活。その他装備は市販最廉価グレードの「ロイヤル」に準じており、ヘッドランプ・車幅灯・フォグランプ・テールランプは全てLED式が採用されている。ベース車においてリヤフォグランプが寒冷地仕様車対象のメーカーオプションとなっているため、寒冷地仕様車にもリヤフォグランプは装備されない。エンジンキーは先代同様「キーシリンダー式ドア施解錠キー&キーレスプッシュスタートキー」が各5本付属となり、ドアの施解錠は従来同様マスターキーで、エンジン始動は専用のスマートキーで行うシステムを先代に引き続き採用。オーディオは先代と異なり市販車がオーディオレス仕様を基本とする仕様となり今回はプロボックス等に装備されているトヨタ純正1DINサイズのAM/FM電子チューナーがセンターパネル下部にサイレンアンプと共に装備された。スピーカー数は助手席側トリムに無線スピーカーを装着するため3スピーカーとなっている。なお、本来オーディオを装備するスペースにはストップメーターを装備している。VDIM、左右独立フルオートエアコン(タッチパネル式ヒーターコントロールパネル「トヨタ・マルチオペレーションタッチ」)、全席オートパワーウィンドウ、オプティトロンメーター、室内LED照明を装備されている。シートとフロアも先代同様パトロールカー専用グレードの仕様書に準拠しビニールレザー仕様であるが今モデルから電動ランバーサポートはパトカー専用グレードについては廃止された。インテリアパネルは180系・200系と艶消しブラックを採用してきたが今回の210系から市販車のアスリートに標準のメノウ加飾木目調パネルが採用されたことにより170系以来の木目調パネルが復活したほか、インパネやドアトリムには市販車アスリート同様合皮の部分に赤いステッチ(縫い糸)が縫い込まれ再び内装の質感がパトロールカーとは思えないほど豪華になった。覆面仕様のボディカラーは「ホワイトパールクリスタルシャイン(062)」「シルバーメタリック(1F7)」「ブラック(202)」の3色が今回用意される。なお、市販車で全車標準装備のToyota Safety Senseはパトカー専用グレードには装備されない。2016年10月から導入が開始された。2020年12月をもって生産終了。 210系クラウン・2500cc(千葉県警) 210系クラウン・3500cc(警視庁) 210系クラウン(覆面) 220系クラウン(2021.06~ ) 2021.06.01 トヨタWEBページ「レスキュー時の取扱い」で図面が公開された。当該ページの情報から、ガソリン車とハイブリッド車のラインナップがあることが分かった。 警邏系と交通系パトカー仕様のボディカラーは、現行同様。覆面仕様のボディカラーは「ホワイトパールクリスタルシャイン(090)」「シルバーメタリック(1F7)」「ブラック(202)」の3色が今回用意される。 なお、当初指摘されていたトランクの容量不足の問題は、仕様書が無線警ら車がトランク容量450L以上、交通取り締まり用四輪車はトランク容量430L以上と改められ、トランク容量の計測方法を変更することにより解消している。 日産・セドリック(セドリックセダン)(YPY31、-2002) かつては刑事ドラマにも多く登場した車種。排気量は3000ccのみ設定。室内は170系以降高級になったクラウンとは対照的に質実剛健さに徹しており、総ビニール内装でエンブレム類はメーカーのものと車名以外全て撤去されている(クラウンでもフロントグリルとCピラーには付いている)。窓は全席手回し式となっている。また日産のエンブレムが楕円形となっている。MTが基本だがATもあった。YPY31は2度の大きなマイナーチェンジを受けているが中期型(91-95)はフロントグリルがオリジナル(営業車の最下級グレード)と同じだった。覆面の最終モデルはドアミラーが標準となり、オートカバーが装備された。また、中期型まではグロリアにもパトカー仕様があった(前期は5ナンバー枠で中期は3ナンバー枠)。こちらは2000ccで型式はYY31改であった。 セドリック(北海道警) セドリック(覆面) セドリック(皇族護衛) セドリック(皇族護衛) 日産・クルー(YHK30、-2002) 排気量は2000ccのみ設定。5ナンバーサイズで警邏用に使われた。赤色灯は初期モデルがバー型で後期セドリックパトカーが出た頃からブーメラン型となり末期モデルは昇降機が付いた。安価であったため、クラウン、セドリック同様に大量購入された。タクシー仕様がベースとなるために質素な造りが特徴であった。2002年に一般向けのガソリンエンジン車(クルーは本来タクシー専用モデルとして登場したがデビュー翌年に一般向けガソリン車が登場した)が生産中止となったため、パトカー仕様も消滅した。MT・バー型仕様の初期型は退役してしまったが、155系クラウンが生産終了となった。 三菱・ギャランΣ/ギャラン (3代目 1976年-1980年、4代目 1980年-1984年、5代目 1983年-1999年、6代目 1987年-1992年) 当時の警ら車両には直列6気筒エンジン車ばかりが採用されていたが、三菱ではデボネア用の直6エンジンの生産をすでに中止しており、適当なエンジンを持っていなかった。しかし、ギャランΣに搭載されたアストロン・80シリーズは、直列4気筒エンジンに付きものの振動を打ち消すサイレントシャフトを備えており、直4エンジンながら制式な警ら車両として採用された経緯がある。 三菱・シグマ(F13AK、-1996) 排気量は2500ccで駆動方式はFF。販売台数が少なく、パトカー以外にはあまり見られなかった車種である。実質的には同社のディアマンテの姉妹車であり、その外観も酷似している。1990年代前半に全国で大量配備されたがブーメランパトライトでないこともあった。市販車同様の2500ccV6エンジンで、室内も木目調パネルがそのまま残されるなど、コスト増となる箇所の変更は少なく当時のパトカーとしては比較的高級感ある造りが特徴であった。リアシート形状はアームレストなどを省略したパトカー専用仕様。トランスミッションは基本的にマニュアルだが、試験的に導入された4速オートマチック車も存在する。生産終了に伴う後継車はディアマンテパトカー。現在も愛知県警に現存車がある。 三菱・ディアマンテ(F31AK、-1999) 排気量は2500ccで駆動方式はFF。シグマパトカーの後継として登場した。パトカー用グレードとしては唯一のハードトップである。ホイールキャップこそないが、ドアミラーが装着されていた。先代のシグマとは違い、全国配備はされていない。市販では最初期のモデルにのみあった(1993年のマイナーチェンジで消滅)マニュアルが標準設定されていた。オートマチック車は市販車同様マニュアルモードがついていた。装備はシートはビニールだが、パワーウィンドウ、オートエアコン、ウッドパネルなど170系クラウンに近いものになっている。 スバル・レガシィB4(BM9-2012〜2014) エンジンはEJ25型水平対向4気筒2500ターボエンジン、トランスミッションはパドルシフト付き5速AT。駆動方式は4WD(VDC-4WD)。足回りは17インチタイヤ&アルミホイールに17インチフロントディスクブレーキを搭載。2012年度の国費の制服用無線警邏車(4WD指定)として国費で全国の警察に228台納入された車両。クラウン、クルー以外で昇降式警光灯を搭載した初のパトカーでもある。色は上部がサテンホワイトパール・下部がクリスタルブラックシリカとなっている。ベースグレードはD型の「2.5GTアイサイト」であるが、市販車には存在しない実質的なパトカー専用グレードであり、装備品のうち、アイサイト、キーレスアクセスプッシュスタート、両席パワーシート、アルミペダル、HIDヘッドランプ、濃色ガラス、オールウェザーパック等が省略され、左右独立オートエアコンを通常のオートエアコンに、中央カラー液晶付きエレクトロメーターが通常のメーターに変更されている。インテリアパネルは前期型2.5iと同様のシルバー塗装。クルーズコントロールやSI-DRIVEはそのまま装備。その一方で制服用無線警邏車のガイドライン仕様に従いビニールレザーシート表皮・警察車両専用装備品に合わせ型取りされた塩ビフロアマット仕様等を採用し、2012年度から納車が開始された。2013年度車では警邏用4WD指定枠だけでなく、警邏用駆動方式指定なし・交通用4WD指定枠でも富士重工業が国費分を落札したため全国すべての都道府県警察に大量導入された。2013年度車ではトランクリッドが全てホワイトパールで塗られ、前面警光灯がLEDに変更されているなど相違点がある。 2013年度には交通覆面仕様も登場した他、警護車、捜査覆面として採用実績がある。現行BS9型では日本向けの市販車が2.5のNA車のみとなった影響からか今のところ国費の警察車両としての採用実績はない。 スズキ・ソリオ(MA15S-2011〜) エンジンは1200cc直列4気筒エンジンで4WD。Gグレードをベースにドアサッシをボディ同色にしたり、ドアノブ・ドアミラーが黒色になるなどコストダウンが行われている。2015年度からはスイフトのXGをベースとした小型パトロールカーが国費導入されている。 スズキ・キザシ(RE91S-2012〜) エンジンは2400cc直列4気筒エンジンで、私服用無線警邏車として導入。市販車のキザシは1グレードで本革シート等が標準装備された仕様であるが、コストダウンのため本革・電動シートをファブリック・手動式シート、本革巻きステアリング・シフトノブをウレタン素材、BOSEオーディオをラジオレス、フロントフォグランプもレスとなり、チューニングが行われたパトカー専用グレードを設定。2012年度に国費分として908台が導入され、2013年度も大量導入が見込まれる。 神奈川県では制服用無線警ら車が県費にて導入されている。
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一般的に「ポリスパッケージ(Police package)」「ポリスインターセプター(Police Interceptor)」と呼ばれるもの。フォードは「P71」、GMは「9C1」「B4C」などといった商品コードを使用している。 土台となる車種からの変更点としてはエンジンの出力向上、ラジエーターやバッテリーの大容量化、電装品の耐久性向上、足回りの強化、内装の簡素化といったもの。メーカー出荷時にワーニングライトやサイレンなどを装備することもできるが、後述するように実際にはその警察ごとに装備の仕方は異なるので、購入後に緊急車両専門の架装業者に依頼することも多い。大きな自治体や警察組織では自前の工場を持っていたりする。
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