バーニア連続位相制御による高調波の低減
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「バーニア制御」の記事における「バーニア連続位相制御による高調波の低減」の解説
そこで、少ない素子数で位相制御幅を小さくし、高調波の影響を抑える仕組みがバーニア連続位相制御である。本方式では変圧器の2次側を不等分割し、容量の小さな2組のサイリスタブリッジと、その2倍の容量を持つブリッジによって構成される。図2-5に不等5分割の事例を示す。この事例では、ブリッジT1・T2を巻線比率の8分の1とし、残りのT3・T4・T5を4分の1とする。T1を連続位相制御しT2と組み合わせることで8分の1単位で位相制御を行い、5分割でありながら8分割相当の細かな制御ができ、高調波の影響を小さくすることができる。 バーニア連続位相制御は1973年、日本国有鉄道(国鉄)によって新幹線の試験車両である961形電車に不等5分割方式の試験が実施された。961形は全国新幹線網計画に基づき、東海道・山陽新幹線と東北・上越新幹線の直通運転を想定した車両であった。これらの新幹線は東京駅を境に電源周波数が異なっており(東京駅以西が60Hz、以東が50Hz)、両者に対する高調波フィルタを設けることが困難であったため、本方式を採用して高調波そのものの低減を図ることを目的とした。 さらに東北・上越新幹線の先行試作車である962形電車(1979年)に不等6分割(10分割相当)のバーニア連続位相制御が採用され、営業車両である200系電車(1980年)にも同方式が踏襲された。結局、東京駅を挟んだ新幹線の直通運転は行われることはなく、961形・200系は電源周波数50Hzのみの対応となったが、連続位相制御を行うブリッジが一つだけでよいことから、機器の簡素化に寄与した。 その後、サイリスタの高耐圧化や変圧器による高調波対策が進んだことから、東海道・山陽新幹線の100系電車(1985年)は素子数を減らした4分割の順次制御とされ、以来バーニア連続位相制御は採用されていない。 サイリスタの動作(バーニア制御)ステップ123456789T1 T2 T3 T4 T5 図2-5 サイリスタバーニア連続位相制御(不等5分割)の回路(左)と動作(右)。サイリスタブリッジのうちT1・T2は全巻数の8分の1、それ以外は4分の1である。T1のみを位相制御し、他はオンオフのみを制御する。8分割相当の制御が可能。
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