カシミール・シヴァ派
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/03 04:47 UTC 版)
「ヒンドゥー哲学」の記事における「カシミール・シヴァ派」の解説
カシミール・シヴァ派は8世紀あるいは9世紀にカシミールで起こり、12世紀終わりまで哲学的にも神学的にも長足の進歩を遂げた。多くの研究者によって、この学派は一元論的観念論(絶対的観念論、有神論的一元論、実在論的観念論、超越論的物質主義あるいは具象的一元論)に分類された。この学派はトリカやその哲学的明瞭化であるプラティヤビジュニャより成るシヴァ主義の一学派である。 カシミール・シヴァ派もアドヴァイタ・ヴェーダーンタも普遍的理性(チットあるいはブラフマン)を最高位とする不二元論哲学であるにもかかわらず、カシミール・シヴァ派においてはアドヴァイタに反して万物はこの理性の顕現だとされた。このことは、カシミール・シヴァ派にとって現象世界(シャクティ)は真実であり、確かに存在していて理性(チット)のなかにその位置を占めるということを示している。アドヴァイタではブラフマンは非活動的(ニシュクリヤ)で現象世界は幻影(マーヤー)にすぎないと考えられたのとは対照的である。カシミール・シヴァ派によれば人間の生の目的はシヴァつまり普遍的理性との融合、つまり既存の自己とシヴァとの一体化を、智慧・ヨーガ・恩寵といった方法により行うことである。
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