エンタブレチュアとは - わかりやすく解説 Weblio辞書

エンタブレチュアとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > エンタブレチュアの意味・解説 

エンタブラチュア

(エンタブレチュア から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/15 23:16 UTC 版)

エンタブラチュアの構造。上からコーニス、フリーズ、アーキトレーブ。

エンタブラチュア(entablature、エンタブレチュア)とは、柱頭の上部へ水平に構築される部分のこと。柱の上に載る水平材[1]モールディングや帯状装飾で飾られる。

エンタブラチュアは古代建築の重要な要素であり、一般的にはアーキトレーブフリーズコーニスの部分に分かれる。

アーキトレーブは、円柱と、円柱や各柱、壁との間に渡されたすぐ上の部分であり、フリーズとは装飾される場合もされない場合もある細長い部分、コーニスとは破風の下に張り出した部分である。

エンタブラチュアの構造は、ドーリア式イオニア式コリント式の、3つの古典的オーダーに分かれる。

それぞれ、アーキトレーブ、フリーズ、コーニス部分は、オーダーの柱部分の割合により定義される。

ローマやルネサンスの様式では、通常は柱の高さの約4分の1となるが、これに合致しない派生タイプも生じている。

ドーリア式

ドーリア式オーダーのエンタブラチュア
イオニア式オーダー。1.エンタブラチュア、2.コラム、3.コーニス、4.フリーズ、5.アーキトレーブ、6.柱頭、7.柱体、8.礎盤、9.ステュロバテス、10.ステレオベート

純粋な古典ドーリア式エンタブラチュアは簡素なものである。

最下部の帯状部分であるアーキトレーブは、下から上の順に、guttae 、regulae 、taenia に分かれる。 フリーズ部分はトリグリフ(トリグリュフォス)が特徴的である。

トリグリフとは垂直方向に取り付けられた飾り板状の部分で、トリグリフとトリグリフの間の部分はメトープと呼ばれる。

メトープは、装飾される場合もあれば何ら装飾のない場合もある。

トリグリフは、水平方向に平たく突出した taenia の上に位置し、アーキトレーブの最上部にあって guttae と呼ばれる雫状の装飾に接している。

トリグリフの最上部は、コーニスの出っ張りに接している。

この出っ張りの下部は mutule で装飾されているが、これは guttae で仕上げられていることの多い、飾り板状の部分である。

コーニスは、軒下端、コロナ、冠刳形(くりがた)に分かれる。

軒下端の下側は何の装飾もなく露出したままである。

コロナと冠刳形が、コーニスの主要な要素となる。

イオニア式

イオニア式オーダーの場合、アーキトレーブに幕面が加わるが、幕面とは水平方向に張り出した平らな部分をいう。 コーニスの下の歯飾りは、歯のような形状をしたモールディング部分をいう。

コリント式

コリント式オーダーのエンタブラチュア

コリント式オーダーには、かなり華やかな装飾が施される。下から上へ、サイマ・レベルサ(波型の刳形(くりがた)、cyma reversa)、歯飾り(dentil)、オブロ(ovulo)、モディリオン(軒蛇腹下の飾り持ち送り)、ファッシア(幕面)、サイマ・レクタ(cyma recta)の部分に分かれる。 モディリオンとは装飾された腕木のことで、歯飾り同様の目的で使用され、しばしばアカンサスの葉の装飾を施される。

フリーズは省略されることもある。その例として、エレクテイオン女人像柱ポルチコがあげられる。

フリーズはリュキアの墓所でも見当たらない。リュキアの墓所は、初期イオニアの材木構造様式を岩石で模倣したものである。

エンタブラチュアは基本的には、原初の楣(まぐさ)、つまり柱と柱に架け渡されて屋根垂木を支える横木が発達したものである。

エンタブラチュアが古典様式のコラム(円柱)と同時に構築されている例は、古典建築以外ではまれである。

エンタブラチュアは、コラムのない壁部分の上部を完成させるために使用されることもある。

ピラスター(片蓋柱。平らな柱が壁から突出した部分)や、独立していたり埋め込まれていたりする柱の場合は、エンタブラチュアはそれらの周りに施されることもある。

コラムと関わらないエンタブラチュアの使用は、ルネサンス期以後に見られる。

脚注

  1. ^ 戸谷英世・竹山清明『建築物・様式ビジュアルハンドブック』株式会社エクスナレッジ、2009年、146頁。 

関連項目


「エンタブレチュア」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「エンタブレチュア」の関連用語

エンタブレチュアのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



エンタブレチュアのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのエンタブラチュア (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS