エアバッグとリコール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 01:58 UTC 版)
「タカタ (企業)」の記事における「エアバッグとリコール」の解説
エアバッグの草創期から製造を進めてきた経緯から、トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車など日本の自動車製造各社、フォルクスワーゲン、BMW、メルセデス・ベンツ、フォード・モーター、GM、フェラーリ、テスラ、マクラーレンなど各国の自動車メーカーに納品し、世界シェアは2位であった。1セット数千円の単価ながら、2014年3月期決算で売上高の約4割がエアバッグであった。 (以下より抜粋) タカタのエアバッグインフレータに用いるプロペラント(火薬)は、元来ロケット推進技術に基づくアジ化ナトリウムをベースとしたものであったが吸入毒性があり製造現場の扱いが難しく、1996年にテトラゾールを使用したプロペラントが導入された。コードネームを"3110"とし市場シェアを拡大したが高価であった。デトロイトにある関連会社「オートモーティブシステムラボ」 (ASL) が簡単で安価なプロペラントを用いてエアバッグの小型軽量化に成功した中に "硝酸アンモニウム" があった。 元マーケティング部門の責任者によれば硝酸アンモニウムのコストはテトラゾールの約10分の1だが、硝酸アンモニウムは温度変化に伴い膨張と収縮を繰り返し最終的にパウダー状に分解される特性があり、パウダーはタブレットよりも速く燃焼するため、エアバッグが過度に展開する可能性があった。(以上より抜粋) 2008年頃から、重要部品で膨張ガスを発生させるインフレーター関連の不具合が相次いで判明し、米国とマレーシアでは破裂したインフレーターの金属片により死亡事故も起きている。2008年11月から断続的にリコールが行われ2014年11月時点で対象車の累計は1,700万台に達した。 2015年11月、アメリカ合衆国運輸省の国家道路交通安全局(英語版)(NHTSA) は、タカタのエアバッグの欠陥を企業の不祥事と位置づけ、同社が適切なリコールや情報開示を実施せずにアメリカ国内で被害を拡大した、として最大2億ドル(約240億円)の民事制裁金を科すと発表した。NHTSAが一社に科す制裁金として過去最高額で過去最大のリコールとなった。タカタと自動車メーカーに2019年末までにエアバッグの修理を完了するように命じた。制裁金に加えてリコール費用、訴訟費用が巨額に膨らむ可能性があり、会社存続の危機と指摘された。 最大顧客のホンダが11月に、タカタの提出データに不適切な報告の形跡があると指摘して今後は開発中の新型車にタカタ製インフレーターを用いないと発表し、マツダや富士重工業(現・SUBARU)など国内自動車大手もタカタが製造したインフレーターを使わないと相次いで表明した。日本経済新聞によると、2016年4月時点でリコール対象となるエアバッグ搭載車は世界で1億台以上で費用は総額1兆円とされる。自動車メーカー連名でのお詫びCMの放映にまで発展した。
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