イヴの創造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/01 01:37 UTC 版)
イヴはエデンの園でアダムの妻として作られた。神は「人が独りでいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう。」(創世記2-18)と決意した。創世記2章21-22節では次のように述べられている。 「神はアダムを深く眠らせ、アダムは眠った。神は彼の肋骨を1本取り、そこを肉で塞いだ。そして神はアダムから取った肋骨で女性を作り、彼女をアダムの元に遣わせた。」 イヴは、トビト記(viii, 8; Sept., viii, 6)でも言及されており、ここでは単にイヴはアダムの手伝いとして与えられたと述べられている。 6世紀に、東方からヨーロッパに伝わったイスラエルの書物『ベン・シラのアルファベット』によると、イヴではなくリリスがアダムと同時に同じ塵から作られ、アダムの最初の妻となったとされている。さらにリリスは平等を要求し、性交時にアダムの下になることを拒否したと記述されている。アダムが彼女を自分の下にしようとすると、彼女はエデンから空に逃亡し、そこで悪魔と性交して妊娠し、1日に100人以上の子を産んだ。神は3人の天使を遣わせ、天使は彼女がアダムの元に帰ることを拒否すれば子供を殺すと脅した。しかしリリスは拒否したため、神はアダムの肋骨からイヴを作り、アダムの後妻とした。 解剖学的に男女の肋骨の数は同じ24本である。この事実は1524年にフラマン人の解剖学者アンドレアス・ヴェサリウスによって指摘され、創世記の記述と矛盾するために大きな議論を巻き起こした。 この話のモチーフとして、女神ニンフルサグがディルムンの中に野菜や果物が繁るエディヌという美しい庭園を造ったとするシュメール神話を起源としているという主張もある。ニンフルサグは夫のエンキに野生動物の制御と庭園の手入れを担当させたが、エンキは庭園と手伝いのアルリムについて知りたがった。アルリムは7つの植物を選んでエンキに差し出し、エンキはそれらを食べた。このことでニンフルサグが激怒し、彼女はエンキを病気にした。エンキは肋骨に痛みを感じたが、シュメール語で"ti"は「肋骨」と「生命」の両方を意味する。別の神がニンフルサグをなだめ、怒りは収まった。ニンフルサグはエンキを治療するためにニンティという女神を作った。"Nin"は「女」という意味で、"Ninti"は「肋骨の女」または「生命の女」という意味である。ニンフルサグは全ての生物の母として知られ、イヴと同じ位置を占める。この話はアダムの肋骨からのイヴの創造の話と重なっているが、「肋骨」と「生命」が同じ単語で表されるのはシュメール語のみである。
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