イクティネオI
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/10/11 09:48 UTC 版)
イクティネオI(Ictineo I)は、ナルシス・ムントリオルによって1858年から1859年に建造された潜水艇である。潜水艦黎明期に登場した先駆的な潜水艇であり、またイクティネオIIの前型である。
- 1 イクティネオIとは
- 2 イクティネオIの概要
- 3 関連項目
イクティネオ I
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/16 09:18 UTC 版)
「ナルシス・ムントリオル」の記事における「イクティネオ I」の解説
イクティネオI(Ictineo I) は全長7m、幅2.5m、高さ3.5mで、珊瑚採りを安全に行なうことを目的に作られた。船体は水密で、水圧に耐えるために横断面は円形、外形はほぼ流線型で、排水量は10トンであった。ムントリオルの潜水艇は、ヴィルヘルム・バウアー(Wilhelm Bauer, 1822-1875)が1851年に試作した潜水艇「ブラントタオハー」にヒントを得た可能性がわずかにある。「イクティネオ」の革新性は、耐圧船殻(内側)と水密船殻(外側)を組み合わせるアイディアにあった。イクティネオ I は4人の乗員の筋力でスクリューを回して推進された。潜行・浮上は垂直のスクリューと、ポンプによる水の出し入れで行なわれた。船首には珊瑚採り用の道具が装着された。 船内の空気から二酸化炭素を除去するためには、水酸化カルシウムの入った容器に空気を通すという手法が用いられた。船内の照明には単なるロウソクが使われた。これは、空気中の酸素量を示す警報装置にもなった。 1859年の夏、ムントリオルはイクティネオ I で20回以上の潜水を行なった。乗員は、造船業者や組織の共同経営者であった。ムントリオルは潜行深度を徐々に増やしてゆき、最終的には20mまで到達した。また、耐圧殻の内部にある酸素だけで約2時間潜り続けられる事と、二酸化炭素吸収剤と圧縮酸素があれば潜水可能時間を倍に伸ばせる事を確かめた。イクティネオ I は操縦性は良好だったが、人間の筋力を動力源とする以上、速度に関しては劣悪であった。 1860年9月29日の公開実験では400人の観衆の熱狂を得たうえ、レオポルド・オドネル将軍からは好意的な評価と援助の約束を得られたが、それは空約束に終わり実際に政府の補助を受けることはできなかった。ムントリオルは国民に寄付を募り、スペイン本土およびキューバの市民たちから計30万ペセタの寄付金を集めた。 イクティネオ I は約50回の潜水試験に耐えたが、1862年1月、貨物船に衝突され、破壊された。バルセロナの海事博物館の前庭には、後年に作られたイクティネオ I のレプリカが飾られている。なお「イクティネオ」(Ictineo)は「魚」と「船」を意味する二語の合成語である。
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