べえ類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/06 23:48 UTC 版)
関東方言で広く用いる意志・勧誘・推量の「べえ」は、動詞には以下のように接続する(推量とは、共通語の「…だろう」にあたる表現である)。古くは意志・勧誘表現と推量表現はどちらも「べえ」で表現されていたと考えられているが、共通語の「う」と「だろう」の区別の影響を受け、昭和中期までには意志・勧誘を「べえ」、推量を「だんべえ」とする使い分けが群馬県・埼玉県などで生じた。意志の「べえ」は五段活用動詞の終止形、一段活用動詞の未然形に付き、カ変・サ変動詞には古語の終止形に付く場合と未然形(「ない」が付くときの形)に付く場合とある。「来る」の否定形に「こない」を使う吾妻郡では「きべえ」ではなく「こべえ」である。 動詞意志推量五段活用歩くあるく-べえ あるく-だんべえ 上一段・下一段立てるたて-べえ たてる-だんべえ/たてん-だんべえ カ行変格活用来るく-べえ/き-べえ くる-だんべえ/くん-だんべえ サ行変格活用するす-べえ/し-べえ する-だんべえ/すん-だんべえ 「べえ」は形容詞には「とおかんべえ」(遠いだろう)、「つよかんべえ」(強いだろう)のように、カリ活用語尾が撥音化したものに付けて推量を表す。利根郡・吾妻郡では「とおかっぺえ」「つよかっぺえ」のように促音化が起きて「ぺえ」となる。このような「ぺえ」は関東では他に栃木県・茨城県で使われるものである。 1980年から2010年までの若年層を対象にした調査によると、2010年には意志・勧誘(べえ)と推量(だんべえ)の区別は衰退して再び「べえ」一本となるとともに、1980年頃から東毛で使われていた新方言「んべえ」が群馬の広範囲に広がり始めた(例:見んべえ、見るんべえ、おもしれんべえ)。また一段動詞での未然形接続(例:見べえ)や形容詞でのカリ活用形(例:おもしろかんべえ)の使用頻度は著しく低下し、単純な終止形接続の「見るべえ」「おもしれえべえ」が広がった。2010年の若年層では主に関東・東北で広く使われる「終止形+べえ」、ついで群馬独自の形である「終止形+んべえ」が使われている。終止形接続の「見るべえ」が「る」の音変化で「見んべえ」となり、ここから新たに「んべえ」が取り出されて「見るんべえ」という形ができたと考えられる。
※この「べえ類」の解説は、「群馬弁」の解説の一部です。
「べえ類」を含む「群馬弁」の記事については、「群馬弁」の概要を参照ください。
- べえ類のページへのリンク