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大阪IR(日本版カジノ)は必ず失敗する、そして事前調査している関係者は絶対にそれを知っているはず

大阪IR(日本版カジノ)は、必ず失敗する。これから述べる論拠は、素人が検索すればすぐわかることばかりで、もっと詳細かつ正確な事前調査を行っている関係者が絶対に知らないはずはないのだが、不思議でたまらない。

 

カジノはすでに世界中で解禁が進んでいるレッドオーシャン。その中でも規模が大きいと言われるのは、韓国とシンガポールのカジノである。

韓国の外国人向け大規模カジノは仁川国際空港の敷地内にあり、シンガポールのカジノはチャンギ国際空港と地下鉄直結である。

仁川国際空港、チャンギ国際空港とも、世界で名だたる国際ハブ空港である。日本でかろうじて比肩できるのは羽田空港しかない。

関西国際空港と仁川、チャンギ両空港を比較するのは「やめたげてよ~」感すらある。

しかも関空から大阪カジノ予定地の夢洲までは、JRと地下鉄を乗り継いで1時間以上かかる(現在存在するコスモスクエア駅まで約1時間20分

大阪・関西万博をめぐって「空飛ぶクルマ」計画がよく話題に上るのは、このあたりの帳尻合わせではないかと勘繰っている。しかし「そもそもなんでヘリではいけないのか?」という疑念は免れない。ヘリで料金検索すると1万円以上という額が出てくるが、そのあたりと関係があるのだろうか? 空飛ぶクルマが実用化されたとしても、鉄道並みに運賃が下がるとは思えないのだが。

この記事によると、東京駅前ー青海の運賃は1万7600円とのこと。

news.tv-asahi.co.jp

 

だがもっと注目すべき論点は、韓国、シンガポール両国のカジノとも、蓋を開けてみれば主な顧客はインバウンドではなく自国民だったことだ。

韓国カジノは、唯一自国民に解禁された江原道のカジノの売り上げが、仁川含む他の10数か所の外国人専用カジノの売り上げの合計を上回るという。

古い記事しかヒットしなかったが貼っておく。

wpb.shueisha.co.jp

 

シンガポールカジノについては、そのことを直接的に示す記事はヒットしなかったが、180年の歴史をもつシンガポール競馬が今年(2024年)秋に廃止されるというニュースが傍証になるだろう。検索して出てくるどの記事も、原因の一つにカジノとの競合を挙げている。

www.sankei.com

 

ひるがえって日本であるが、表向きギャンブルは禁止されているというものの、実態は世界有数のギャンブル大国であることは論を待たないだろう。

以下、データのタネ本として帚木蓬生『やめられない ギャンブル地獄からの生還』 (集英社文庫) を多く参照するので、先に書影を掲げておく。

この本は第1章にギャンブル主にパチンコが原因で犯罪や家庭崩壊に至った主婦、元医学生、元牧師ら6人の手記が掲げられ、第8章には2006~2019年にギャンブルが原因で引き起こされた殺人、自殺、誘拐、育児放棄致死など重大犯罪の長いリストが載せられている。この本はこの本で、独立した書評エントリーを書くべきだったかも知れない(そんなでカテゴリーに「読書」も入れた

 

同書はギャンブルのデータブックとしても利用できそうである。「文庫版へのあとがき」P290~に、日本の公営ギャンブルとその所轄官庁が記載されているので抜き書きする。

競馬…農水省

競艇…国交省

競輪、オートレース…経産省

宝くじ…総務省

スポーツ振興くじ(TOTOなど)…文科省

ここは書かれてないが、パチンコ・スロットを実質的に管轄するのは警察庁である。有名な(悪名高い?)「三店方式」「四店方式」の黙認など警察庁と公安委員会による統制を述べた第4章P138~など、パチンコ・スロットと警察の関係については随所にページが割かれている。

 

日本が世界有数のギャンブル大国であることが表れた数字の一つが、「文庫版へのあとがき」P292~に書かれたギャンブル障害の有病率である。

厚労省委託の研究所が2013年に最初に調査して現れた数字(男性9.6%、女性1.6%、全体で4.8%)の大きさに政府が驚き再調査が繰り返された経過がやや詳しく述べられているが、ここでは結論だけ、すなわち2017年に実施された再調査の結果と、他国の数字の比較をP293から抜き出す。データはいずれも全体の数値である。

日本…3.6%

ドイツ…0.2%

英国…0.8%

韓国…0.8%

フランス…1.2%

米国…1.6%

シンガポールの数字は載っていなかった。

しにせのカジノが国内のラスベガスにある米国、隣接するモナコに所在するフランスをはるかにしのぐ数値というのは、日本がすでに深刻なギャンブル漬けになっている証拠の一端であろう。

そして同書第1章に載せられた手記の数々は、直視のためらわれる悲惨なものばかりだが、第8章の重大犯罪リストと引き比べるとこれらは「ハインリッヒの法則」で言うところの「1件の重大事故の背後にある29件の深刻な事故」であることが強く推察される。さらにその背後の「300件の異常」まで考え合わせると、日本の社会がすでにどれだけギャンブルによってダメージを受けているかが、よりリアルに想像できる。

 

本稿の本題ではないが、日本が一人当たりGDPなど様々な経済指標で世界ランキング中の順位を落としていることには、もちろん複合的な原因があるだろうが、その一端に「ギャンブルに対する甘さ」もあるのではないかと述べておきたい。

 

さきほど世界の後発カジノで規模の大きい韓国、シンガポールのカジノは、蓋を開けたら上得意は両国とも自国民だったと述べた。両国とも伝統的にギャンブルへの規制は厳しかったと言われる。検索してヒットした関連記事を読むと、韓国のカジノは失敗、シンガポールは成功とするものが多かった。韓国ではギャンブル依存症が増加し、シンガポールはケアが手厚く比較的アンダーコントロールという意味であろう(なお日本政府はほぼ放置

 

日本版カジノは自国民の潜在的顧客層が薄いのではないか? すでに払底しているのではないか?

百歩譲って(ヘンな譲り方の気もするが)もし新たに顧客になる層が出現したら、それはそれでギャンブル障害罹患率をさらに上乗せすることになり大問題ではなかろうか?

 

上掲書から、もう一つ数字を引こう。第4章「地獄へいざなうギャンブルの種類」P134からである。

パチンコ台は、日本にしかないそうだ。比較可能なのはスロット台で、どこのカジノでも主力であろう。

これらをまとめてゲーミング・マシーンとすると、日本には世界の6割が集中しているという。

国・地域別に人口比を出すと

1位…セントマーチン島(12人に1台)

2位…モナコ(26人に1台)

3位…日本(28人に1台)

1位のセントマーチン(サンマルタン)島というのはカリブ海に浮かぶ島で、しにせのカジノが立地する。2位は言うに及ばないだろう。順位は示されていないが「あのマカオですら」として46人に1台という数字が載せられている。

 

繰り返すが、日本社会がすでにギャンブル漬けであるという現状自体が、大いに憂うべきものである。

それはそれとして、大阪IRの主力がやはりゲーミング・マシンであるとしたら、大阪都心からさえ遠いと言われる夢洲まで、わざわざパチンコやスロットのようなものを打ちに来る客がどれほどいるだろうか?

 

本稿冒頭で述べたことを繰り返す。これまで書いてきたことは、誰でもネットで検索したり書籍を参照したりすれば、すぐに手に入るデータばかりである。大阪IR計画の関係者は、もっと詳細でもっと新しいデータを大量に参照できる立場にいるに違いない。

去年の5月の記事だが、読売新聞グループの広告会社が、大阪IR関連事業を辞退したというニュースがあった。ただしその穴は関西資本の会社がすぐに埋めたそうだが。

www.sankei.com

 

大阪の政党、自治体、企業、マスメディアは、今やどれだけ犠牲を払っても引き返せない「インパール症候群」とでもいうべき状態に陥っているのではないだろうか?

あるいは彼ら自身が「ギャンブル依存症」ならぬ「カジノ計画依存症」を発症していると言うべきかも知れない。一発逆転の幻想から逃れられなくなっているという意味だ。そしてそれは、まさしくギャンブル依存の症状と同じものである。

 

大阪IRは、このまま進めば大阪・関西万博以上の大失敗に陥るだろう。

だがあえて言う。そのとき誰も助けてはいけない。助けるべきではない。

カジノそのものが、他人の不幸の甘い蜜を吸おうという産業である。なぜその産業の主体が不幸に陥ったとき、助けてやらねばならないのか?

政府・自民党からは「(万博にしろカジノにしろ)成功したら維新の手柄、失敗したら政府の責任」という意味のボヤキが聞こえてくるという。だが日本版カジノを実質運営する米国企業には「成功したら米国企業の儲け、失敗したら日本側の損」と言うべき契約を結ばされているとも聞く。この件に関しては、私の力不足のため調べきれなかった。

帚木蓬生『やめられない』には、ギャンブル依存症に陥った者を立ち直らせようとして、身内が何百万円、何千万円という借金を肩代わりした事例が複数紹介されている(第3章「ギャンブル地獄の二大症状は借金と嘘」P116~他

尻拭いをしてもらった依存症患者は、例外なくふたたびギャンブルを再開したそうである。著者ははっきりと「放置が一番」と書いている(P120

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