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早稲田大学の地域社会貢献
特集:地域社会のより良い未来を目指して
Thu 31 Oct 24
特集:地域社会のより良い未来を目指して
Thu 31 Oct 24
人間的力量の育成を目指す早稲田大学では、ボランティアプログラムや専門科目、実習など、教育を通じた地域社会への貢献を推進しています。平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC) 所長・松居辰則教授が、地域貢献における方針と取り組みを説明します。
WAVOCの理念
1 教育・研究・実践を通して社会貢献を行います
2 社会課題に対して当事者意識をもって取り組む人材を育成します
3 新しい社会貢献のあり方を創造します
学術知と現場体験の往還によって地域に寄与する人材を育てる
早稲田大学では、教育・研究のポリシーとして、「人間的力量」を持った人材の育成を掲げています。人間的力量とは、地球上のどのような地域に行っても、多様な価値観や文化的背景を持った人々をまとめあげ、リードする力量です。この考えの下、本学ではさまざまな施策を通じて、学生の教育と地域社会への貢献に努めています。
国内外でのボランティア活動を展開・支援しているのが、2002年に設立したWAVOCです。WAVOCでは教育・研究・実践を通じた社会貢献、社会課題に対して当事者意識を持って取り組む人材の育成、新しい社会貢献のあり方の創造を目指し、多彩なボランティアプログラムを提供しています。特に2011年の東日本大震災以来、宮城県気仙沼市をはじめ東北地域との関係を強化してきました。活動の内容もがれき撤去など震災直後の支援から、イベントの補佐など地域振興を目指す支援へと、各地の課題に対応する形で変化しています。また今年1月に発生した能登半島地震では、9月時点で8回の学生派遣を行っており、今後も支援を強化していく方針です。
WAVOCが主催する活動以外にも、ボランティアに取り組む約30のサークルを支援しており、新歓でのブース出展やプレゼンコンテストなどのイベントを開催しています。また、社会貢献の持続可能性を高める上では、起業や産学連携でソーシャルビジネスに挑む学生をバックアップするなど、新たなモデル創出にも取り組んでいます。
WAVOCのボランティアに参加した学生は、「体験の言語化」という教育手法により、自身の体験を言葉にしながら振り返り、自己を社会の中で文脈化する思考プロセスを養います。また全学部の学生が履修可能な全学副専攻※「社会貢献とボランティア」の指定科目を履修することで、基礎知識を身に付けることも可能です。こうした環境により、学生は「学術の知」と「現場体験の知」を往還し、自己を成長させていきます。
地域への理解を体系的に深める全学副専攻を新設
WAVOC以外でも、本学は教育を通じた地域貢献を強化しています。地域の課題解決や発展について主体的に学ぶ意欲のある学生に向けた「地域探究・貢献入試」を実施しているほか、2024年度には全学副専攻「地域連携・地域貢献」を新設し、地域に関する専門科目や実習を体系化しました。例えば「法学×地域」「工学×地域」というように、学部の専門性と地域活動をかけ合わせることで、より実践的に地域社会に貢献することが可能になります。
当該副専攻の実習の一つ、「地域連携ワークショップ」は、自治体の協力を得ながら、本学の職員が企画・運営をしており、地域住民や関係者へのヒアリングをはじめ、現地でのフィールドワークに取り組むことができます。全国の自治体が直面する課題に対し、学生が解決策を直接提案するワークショップです。
WAVOCのボランティアや地域連携ワークショップは、地域の皆さまの協力によって初めて実現します。そして早稲田大学の強みは、全国に広がる卒業生のネットワークです。近年は在学中に活動した地域へ、卒業後に移住するといったケースも増えてきました。長年にわたり培われた地域とのパートナーシップは、各活動において力を発揮しています。今後も教員、職員、卒業生の連携によって未来を担う人材を育て、地域社会に貢献してまいります。
全学副専攻とは
学部の専攻分野を問わず、特定のテーマを追究できる制度です。専攻分野を補強、応用する分野を学ぶ、第二の強みを作るべく新たな分野に挑戦する…など、活用方法はさまざまです。在学中に修了必要単位数を修得し申請すると修了が認定され、卒業時に修了証明書が発行されます。