中学生で漫画家デビュー! アニメや原作にも活躍の場を広げる若手実力派 – 早稲田ウィークリー

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中学生で漫画家デビュー! アニメや原作にも活躍の場を広げる若手実力派

「自分とは違う強みを持った人と協力して一つのものを作るのが楽しい」

文化構想学部 3年 花 まみも(はな・まみも)

戸山キャンパス 33号館前のベンチにて

中学2年生で第81回小学館新人コミック大賞の少女・女性部門で佳作を受賞し、漫画家デビューを果たした花まみもさん。大学でも学業と両立しながら漫画を描き続け、小学館発行の少女漫画雑誌『Sho-Comi』にて『元カレが声優になって現れた!』を連載するなど精力的に活動しています。また、最近では千葉県のご当地アニメ『とーがね! クロニクル』(千葉テレビ)のアニメ原画や脚本、児童書の挿絵など、漫画以外の分野にも積極的に取り組み活躍の場を広げています。そんな花さんに、漫画家を目指したきっかけや今後の展望について聞きました。

――漫画家になろうと思ったきっかけは何ですか?

小学2年生の時に両親に買ってもらった漫画がきっかけです。幼い頃から絵を描くことは好きだったんですけど、漫画はあまり買ってもらえなくて。でもどうしても読みたくて、誕生日プレゼントにねだって初めて漫画を手に入れました。その時に、コマを割って1ページにたくさんのシーンを配置する漫画の手法に衝撃を受けたんです。「これなら大好きな絵がいっぱい描ける!」と思い、漫画を描き始めました。

それからは漫画の描き方や必要な道具に関する本をたくさん読んで、知識を目いっぱいつけていましたね。そうして小学6年生の時に、初めて小学生まんが大賞(※)に応募したんです。結果として参加賞の一つ上の「将来はまんが家で賞」をいただけて、それがすごくうれしくって。自分にはもしかしたら才能があるのかもしれないと思い、本格的に漫画家を目指すようになりました。

(※)集英社が主催する小学生を対象にした漫画賞。

『Sho-Comi』にて連載していたエッセイ漫画『ハチャメチャ漫画奮闘記』(2023年、小学館)では、漫画を描き始めた当時のエピソードを描いている

――学生漫画家として活動する中で、うれしかったことやつらかったことについて教えてください。

中学2年生の時に佳作を受賞し、漫画家デビューのきっかけになった第81回小学館新人コミック大賞授賞式での一枚

やっぱり自分の作品に対する反響をいただいた時が、すごくうれしいです! ファンレターやSNSで一言でも感想をもらえると本当に原稿を描くモチベーションになりますし、自分の中でとても支えになっているなと思います。少女漫画誌のイベントなど、読者の方にお会いできる機会で直接「好きです!」と言ってもらえた時の感動は、何にも代え難いです。

その一方で、学業との両立はやっぱり難しいですね。中学生時代に、応募したい賞の締め切りと高校受験前の期末テストが重なってしまった時には、夢を応援してくれている両親にさえ「今は勉強の方を優先した方がいいんじゃない?」と心配されるほど追い詰められていました。でも、そんなときでもデビューしたいという強い思いから、とにかくがむしゃらに原稿を仕上げていました。

今も大学の授業期間に締め切りが重なると、朝大学に行って、帰ったら夜中まで漫画を描き続けるハードな生活になります。それでも描くことが好きなので、つらくてやめたいと思ったことは一度もありません!

―― どのように物語を考えていますか?

実は、物語を作るのがすごく苦手なんです。だからこそアイデアを見つけるために、普段の生活から友達との日常会話で「これ面白い!」と思ったことは携帯のメモにすぐ書き留める癖をつけています。そのメモをジャンルごとに分類して、ストーリーを考えるときにすぐに参考にできるように整理してあるんです。

担当の編集者さんとの打ち合わせを通して展開を考えることも多いですね。物語のアイデアをざっくばらんに話して、読者目線の感想や時にはダメ出しをもらっています(笑)。そうすると、自分だけでは思い付かないような面白いストーリーができるので、いろんな人の意見を素直に取り入れながら自分の作品に生かしています。

愛猫の隣で描いている様子。別の場所にいてもアシスタントと作業を分担できるなどのメリットから、コロナ・パンデミックを機にデジタルでの作画に移行したそう

――文化構想学部に進学した理由を教えてください。

漫画やアニメを扱う授業が多数開講されているところに魅力を感じたからです。コンテンツを学術的に分析・研究してきた教授から学びを得たいと思って、文化構想学部に入学を決めました。また、家族が早稲田大学出身で、小さい頃から一緒に箱根駅伝で早稲田を応援したり、親が早稲田にあるお店の話で盛り上がったりしていたので、愛着があったのも理由の一つです。

――具体的にどのようなことを学んでいますか?

ゼミでの議論の様子。この日のテーマは「2次元や2.5次元に対する『ガチ恋』という言葉は、『恋愛』と何が違うのか」

文芸ジャーナリズム論系の、市川真人先生(文学学術院准教授)の「編集と批評」ゼミに所属しています。ゼミにはアニメや漫画が好きな人が多く、同じ趣味を持つ仲間が研究をしている姿を見るとすごく刺激になります。

これからは、自分で苦手意識がある漫画のストーリーやキャラクター作りについて研究したいと思っています。最近は読者が共感できるキャラクターがすごく重要視されると思っているので、どんなキャラクターがそれに当てはまるのか、また、そもそも共感とは何かということについて考察していきたいです。

――今後の展望について教えてください。

原稿を仕上げた直後に、息抜きで別のイラストを描いてしまうほど絵を描くことが大好きなので、これからも漫画家として精進していきたいです。「人を傷つけない」「締め切りは絶対守る」を信条に、たくさんの人に読んでもらえる作品作りを実現することが目標です!

また、最近はアニメの原画や脚本、児童書の挿絵、ネーム原作提供など、誰かと一緒に作品を作っていく機会にも恵まれ、自分とは違う強みを持った人と協力して一つのものを作る楽しさに気付きました。漫画はもちろん、これからもさまざまな分野の仕事にチャレンジして、幅広く活動していきたいですね。

第885回

取材・文・撮影:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ
文化構想学部 4年 田邊 紗彩

【プロフィール】

戸山キャンパス 30号館学生会館 所属する漫画研究会(公認サークル)の部室にて

千葉県出身。早稲田大学本庄高等学院卒業。好きな漫画は『犬夜叉』(高橋留美子作、小学館)で、特に作中のキャラクター・殺生丸がお気に入り。趣味は食品サンプル集め。漫画研究会(公認サークル)に所属している。声優としての活動も行っており『とーがね! クロニクル』では城野ひめこ役を演じた。

X:@hana_mamimo
Instagram:@hana_mamimo

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