~早稲田からフィンランドへ~憧れの国で、生活を通して学びを深める – 早稲田ウィークリー

Waseda Weekly早稲田ウィークリー

News

ニュース

~早稲田からフィンランドへ~憧れの国で、生活を通して学びを深める

フィンランドの文化の一つが「ありのままのコミュニケーション」

文化構想学部 5年 後藤 菜南(ごとう・なな)

タンペレという都市にあるムーミン博物館の銅像に思わずハグ

私は、2021年8月〜2022年5月までフィンランドの首都・ヘルシンキにあるヘルシンキ大学に留学しました。幼い頃からムーミンが大好きだった私にとって、フィンランドは憧れの国でした。また、福祉先進国であるフィンランドならば、関心のある福祉や共生社会について生活を通して学ぶことができると考え、留学を決意しました。実際に生活してみると、私が滞在したヘルシンキは英語が広く通じ、多様性を感じる国際的な環境でした。さらに、スリや強盗などの日常的な危険が少なく、治安の良さも魅力的でした。

ヘルシンキ大学では社会学部に所属し、障害・ジェンダー・福祉学など、関心のある分野の授業を幅広く受講しました。授業はディスカッション中心で、英語が苦手な私は毎回苦戦していましたが、能動的に学ぶことで得られる知識はとても濃いものでした。

一番印象に残っているのは「都市と不平等」という授業です。フィールドワークでは、空港やカフェ、カジノなど街のあらゆる場所・人を対象に、「不平等」に着目して1枚の写真を撮り、発表しました。教授からは「フィールドに出て、歩き回るのを楽しむことが大切だ。間違っているかどうかは気にしないで」とアドバイスをもらいました。あるクラスメートは、校舎の階段の写真を撮影していて、一見何が不平等なのか分からなかったのですが、「エレベーターがないから、車いすの人にとって上の階への移動が困難だという、移動の不平等」と指摘していました。このように、1枚の写真からヘルシンキにおける不平等や格差を読み取る中で、さまざまな発見がありました。

学生と教授がお互いの意見を肯定的に受け止めて、議論する様子も印象的でした。人の意見を尊重する風土はフィンランドの文化的特徴だと思います。

夏季休暇には友人の家でのホームステイや養蜂農家でファームステイをし、サマーコテージ(※)にも招待してもらいました。サウナやカヌーなどフィンランドならではの「自然と近い暮らし」を経験できて本当に幸せでした。親しい人と一緒に、森や湖の中で何もせずただぼんやりと「余白時間」を楽しむことも、フィンランド式の夏の過ごし方です。

(※)夏を過ごす別宅。自然豊かな場所に建ち、湖畔や海に面していることが多い。

写真左:サマーコテージのある湖にて。思った以上にすごく広い湖です
写真右:夏のメジャーなアクティビティ、カヌー(右が筆者)

留学中は多様なバックグラウンドを持つ留学生6名でルームシェアをしていたのですが、お互いの国の料理を振る舞って仲良くなりました。時には生活習慣の違いから話し合ったこともありましたが、どれも忘れられない思い出です。また課外活動では、日本語講義の授業アシスタントや学生団体のメンバーとしてパーティーを開催するなど、ヘルシンキ大学の学生と仲良くなるために奔走しました。フィンランドでは自分がやりたいと主張しない限り物事が進まない環境だったので、自己主張の大切さを学びました。

卒業後は民間企業への就職を検討しています。留学で培った「自ら考えて動く主体性」はあらゆる場面で生かせると考えています。卒業後もフィンランドと接点を持ち続けることが理想です。

写真左:参加していた学生団体のクリスマスパーティー(左から2人目が筆者)
写真右:ルームメイトとお別れ前の集合写真(右から2人目が筆者)

~フィンランドに行って驚いたこと~

留学中お世話になった親友とフィギュアスケート観戦。フィンランド語が分からなくて困った際、「友人は助け合うものだから、素直に頼ってね」と何度も助けてくれました。本当に感謝しています

フィンランドで驚いたことは、「うそやお世辞を基本的に言わない」正直な文化があることです。日本語を学ぶフィンランドの友人と盛り上がったのですが、日本は文化的に会話において本音と建前があると思います。例えば、たまたま道端で会った友人に「また今度遊ぼうね」と言えば日本では社交辞令に近いニュアンスになるけれど、フィンランドではそれはもう立派な「約束」です。軽い気持ちで交わした口約束をフィンランドの友人がずっと待ってくれていたというすれ違いがあって、申し訳なくなった経験があります。フィンランドでは、人を褒める際もお世辞ではなく、心から褒めるため、人からの言葉を信頼できます。留学を通して、フィンランドの文化の一つが「ありのままのコミュニケーション」だなと感じました。とってもIhana(フィンランド語で“すてき”)です!

フィンランド・ヘルシンキはこんなところ

フィンランドの首都で同国最大の都市。また、バルト海東部のフィンランド湾に面した同国南部のウーシマー県の県庁所在地。面積は214平方キロメートル、人口は約65万人(2021年12月)。ヘルシンキ市の公式言語はフィンランド語とスウェーデン語。時差は日本より-7時間(夏時間は-6時間)。

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日はほぼ毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/inst/weekly/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる