早稲田大学は、教職員等が産学官連携活動等を行う中で日常的に発生しうる利益相反の状況を、機関として適切にマネジメントすることによって、利益相反による弊害(公的資金研究の研究成果にバイアスが持ち込まれる等)を未然に防止して、本学における産学官連携活動等の健全な推進を図るとともに、教職員等が安心して研究活動に取り組むことができるようにすることを目的として利益相反マネジメントを実施しています。
2024年度 民間資金研究に関する利益相反マネジメントの実施について(依頼)(2024年6月3日)
2024年度 公的資金研究(厚生労働科学研究および日本医療研究開発機構研究を除く)に関する利益相反マネジメントの実施について(依頼)(2024年6月3日)
こども家庭科学研究に関する利益相反マネジメントの取扱いについて(2023年12月27日)
2024年度 厚生労働科学研究および日本医療研究開発機構研究に係る利益相反マネジメントの実施について(依頼)(2023年12月25日)
大学の教職員等が学外の企業・団体との産学官連携活動等(共同研究、受託研究、寄付金等の受入)を行う上で連携先との間に経済的な利益関係(役員就任や株式保有、あるいは多額の報酬等)が発生することも少なくありません。
しかし、真理探究を目的とした研究ならびに高等教育を行う大学と、営利追求を目的とした活動を行う企業・団体とは、その目的・役割を異にすることから、教職員等が企業・団体との関係で有する利益と、教職員等の大学における責任とが衝突する状況が生じえます。このような状況を利益相反と呼んでいます。
企業との経済的利益関係それ自体が否定的に評価されるべきものではありませんが、利益相反が具体的な弊害につながる懸念は否定できません。なお、利益相反による弊害の状態には、実際に弊害が生じている状態だけではなく、弊害が生じる可能性を想定しうる状態や、第三者から弊害が生じているかのごとく見られる状態も含まれます。
大学は知的成果の社会還元を果たすための一環として、産学官連携活動等を推進していますが、それに伴って利益相反が生じる可能性も高くなっています。利益相反は、産学官連携活動等に伴い日常的に生ずるものであり、また、法令違反とは異なり、具体的な事例や基準を決めて規制する性質のものでもありません。
しかし、大学が利益相反への対応を怠れば、利益相反による弊害を放置することとなり、大学および教職員等は社会的信頼を失い、産学官連携活動等の推進を阻害する恐れがあります。利益相反による弊害が公的資金研究に関係するものであれば、更に社会から説明責任を問われることになります。
そのため、機関として教職員等の利益相反を適切にマネジメントすることによって、利益相反による弊害を未然に防止して、本学における産学官連携活動等の健全な推進を図るとともに、教職員等が安心して産学官連携活動等に取り組むことができるようにすることが重要となります。
具体的には、まずは教職員等と産学官連携活動の相手先との経済的利益関係に関わる情報を大学としても把握・共有しておき、万が一、教職員等に対して社会から利益相反に関する疑義が提起されるような状況が生じた場合であっても、対外的な説明責任を大学が分担することで、個人としての説明責任を軽減できるようにしておくことが必要です。
また、厚生労働科学研究に関しては、当該マネジメントの実施状況を厚生労働省に報告することが求められており、また、日本医療研究開発機構研究についても、同機構への報告が求められています。
本学では、「早稲田大学産学官連携活動等に伴う利益相反に関する基本方針」「産学官連携活動等に関する利益相反倫理規範」「産学官連携活動等に関する組織としての利益相反に関する基本方針」に基づき定められた「外部資金を原資とする研究に関する利益相反マネジメント規程」に基づき、利益相反マネジメントを実施しています。
具体的には「公的資金研究に関する個人としての利益相反マネジメント」「民間資金研究に関する個人としての利益相反マネジメント」「組織としての利益相反マネジメント」の審査を行っています。また、利益相反防止アドバイザー(弁護士)が教職員等からの個別相談に応じ、必要な助言や情報提供を行っています。詳細は「外部資金を原資とする研究に関する利益相反マネジメントの手引き」を参照してください。
こちらからダウンロードいただけます。
本学は、研究開発型ベンチャーの役員兼業に関係する利益相反を対象として、「研究開発型ベンチャーの役員兼業に関する利益相反マネジメント規程」を制定し(2021年4月1日施行)、同規程に基づき設置した研究開発型ベンチャーの役員兼業に関する利益相反マネジメント委員会の下で当該マネジメントを実施しています。その概要は、以下のとおりです。
研究開発型ベンチャー(※1)に兼業しようとする本学の教員等(※2)の経済的利益関係等(※3)
(※1)中小企業であって、かつ、本学が承継した知的財産権を実施するまたは譲渡を受ける株式会社
(※2)専任教員(両高等学院の教諭を除く。)、特任教授、教授(任期付)、准教授(任期付)、講師(任期付)、 上級研究員、主任研究員、次席研究員、特任研究教授、研究助手
(※3)経済的利益関係は、本人のほか、同一生計の配偶者及び一親等の親族に関する利益関係も一部含まれます。
①当該教員等からの利益相反自己申告書受理〔兼業開始時および定期(年1回)ならびに随時(報告書内容変更時)〕
②申告書に基づく委員会による審査(報告内容の確認、助言、調査等含む)
③審査結果の通知
④審査の結果、委員会が必要と認める場合に当該教員等への改善要請(上記に対する不服申立ての受理と審議及び結果通知)
利益相反防止アドバイザー(弁護士)は、教職員等からの相談に応じ、必要な助言や情報提供を行います。
利益相反マネジメント委員会において確認している兼業事案の状況を掲載します。