9月25日、日産自動車株式会社のカルロス ゴーンCEOをお招きして「カルロス ゴーン、早大生と”人間力”を語る」が大隈講堂で開催され、約1,000名の学生が参加しました。
本講演会は、一般社団法人日本自動車工業会が若者の「クルマへの関心醸成」を目的に実施している「大学キャンパス出張授業」の一環として、また、ゴーン氏への早稲田大学名誉博士学位授与10年を記念して開催されたものです。
第一部のパネルディスカッションでは、「ゴーンCEOが考える“人間力”とは?」というテーマで、ゴーン氏ならびに登壇した早大生との間で活発な議論が行われました。
まず、「ゴーン氏が考えるリーダーシップ」について学生から質問があり、ゴーン氏は、「完璧な人間などいない。現状に満足せず課題を模索し続け、改善し続けることがリーダーには必要」と述べ、独自のリーダーシップ論を展開しました。
次に、「他人に見せている姿は本当のゴーン氏なのか、それとも自身で作ったキャラクターなのか」という質問に対して、ゴーン氏は「自分自身を偽ることは不可能であり、人々に見えている姿は常に真実である。ただし、自分のすべてを見せる必要はない。とにかく真実をどのように捉え、どのように行動するかによって、結果は変わってくるのではないか」と発言し、会場の共感を呼びました。
続いて、「日本人の人間力とは何か」という質問に対して、「環境にすぐに馴染むことや、物事を長いプロセスを経てシンプルに磨き上げる努力をする点」などを挙げました。また、「日本人が世界に比べ劣る点とは何か」という質問に対しては、「強みの反対が弱みで、弱みの反対が強みだ。日本人は環境に適応する力はあるが、いざという時に自ら旗を揚げる人が少ない」と述べ、ゴーン氏の日本人像を垣間見ることができました。
ゴーン氏は、学生との議論の中で「現状の捉え方・問題提起」がいかに重要かを熱く語りました。容易に達成できる目標を立て、努力せずに現状に甘んじてしまうのではなく、現状を客観的に捉えながら、高い目標を掲げて失敗を恐れずにチャレンジし続けること、プロセスを大切にしながら物事を好転させていくことこそ、社会で求められる “人間力”であり、ゴーン氏がこれまでの歩みの中で大切にしてきた信念を知る機会となりました。
このほかにも、第二部では来場した多数の学生から、ゴーン氏が考える経営哲学や将来の自動車の技術展開などについて質問が寄せられ、活発な質疑応答が繰り広げられ、大盛況のうちに幕を閉じました。