番外編-9 旅の相棒には「ストリート・ツイン」か「ストリート・スクランブラー」がいい 立花 啓毅さんのコラム  | バージントライアンフ

VIRGIN TRIUMPH | 番外編-9 旅の相棒には「ストリート・ツイン」か「ストリート・スクランブラー」がいい 立花 啓毅さんのコラム

番外編-9 旅の相棒には「ストリート・ツイン」か「ストリート・スクランブラー」がいい

  • 掲載日/2019年01月11日
  • 写真・文/立花 啓毅(商品開発コンサルタント)

先日(2018/12/11)、トライアンフの2019年モデルの発表会が、お洒落な東京・南青山のスタジオで行われた。いかにも野田社長らしく嗜好を凝らしたイベントで、新型車の発表と試乗会、そしてシャンパンで始まるパーティと繋がる。

立花啓毅さんのコラムの画像

試乗会には8台もの新型車が用意されたが、生憎この日は寒波が押し寄せ、小雨まじりの天候だが、皆さん元気に盛り上がっていた。

トライアンフは次々に新型車を投入し、その結果、販売台数はこの10年で1.6倍の63,000台に達した。そして世界で最も成長したブランドとなったのだ。国内の販売台数もわずか数年で御三家に割って入ることもあり、ハーレー、BMW、トライアンフ、そしてドゥカティという順の月もあった。さらに今後は月に1台のペースで新型車を投入するというのだからまさに恐るべしである。

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今回、発表された新型車は「ストリート・ツイン」と「ストリート・スクランブラー」の2機種。まずは「ストリート・ツイン」からご紹介しよう。

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「ストリート・ツイン」は2016年に発売された基幹車種で、販売台数が最も多い。今回はエンジンのパワーアップを始め、それに対応して強力なブレンボのブレーキを採用するなど各所に手を入れた。

エンジンの仕様は、従来と同じ水冷SOHC2気筒8バルブの900㏄だが、出力は55から65ps/7,500rpmへと10ps(18%)アップ。しかも低速のトルクをさほど落とさず500rpmの高回転化が行われている。因みにトルクは80Nmで変わらないが、回転数が2,850から3,800rpmとなった。

サスペンションは前後ともKYBで、ストロークは120mm(F・Rとも)と大きめに設定されている。ホイールベースは1,415mmで取り回ししやすい長さだ。乾燥重量は旧モデルの224kgから26kgも大幅に削減した198kg。

跨ると60年代に大ヒットしたT120のような細身の車体で足つき性も良く、全体に小さく感じる。最近はシート高が高く街中では扱いにくいバイクが多いが、これなら街中から高速までマルチパーパスに使え、旅の相棒にぴったりだ。因みに価格は1,050,600(税込)からと、かなりリーズナブル。これはタイ生産の恩恵だと思う。

一方、「ストリート・スクランブラー」の方は、テントや飯盒を括り付け、ノマド(遊牧民)となって自由を求める放浪の旅ができそうなバイクだ。

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スペックは前述のストリート・ツインをベースに、エンジントルクを3,800から3,200rpmに下げ、トラクションを掛けやすくしている。またフロントタイヤを18から19インチにし、フロントフォークの幅も広げ、悪路の走破性とスクランブラーとしての見栄えを良くしている。見栄えの冴えたるものは右側に2本まとめたアップマフラーで、オフの逞しさを感じる。

跨ってみると排気系が内側に収まり、従来型より幅が狭く感じた。車重はストリート・ツインと同じ198kg。ホイールベースは30mm長い1,445mmだ。恐らくスイングアームを伸ばしているものと思う。因みに価格は1,280,100円(税込)から。

話は変わるが、以前、世界的な巨匠の建築家・黒川紀章と隈研吾の3人で食事をしたことがある。黒川紀章は「ノマドの時代」という本を執筆され、その中で我々日本人は、農耕民族の定住意識が強いが、江戸期の参勤交代や仮住まいの奉公人らの生活を見ると、定住せず「流動的な人間関係」を形成していた。

今後の情報化社会を考えると、個人と個人は特定の目的で繋がるだろうから現代的「遊牧民」時代が到来する。またその行動から地縁を離れてネットワークを築く「新遊牧騎馬民族」が生まれる。そして「移動して交流することが新たな『価値』を生む」と唱えている。

彼がいう「新ノマド」には、今回の「ストリート・スクランブラー」がピッタリだ。バイクの両サイドにテントや飯盒を括って野宿しながら旅をすれば、我々の奥に眠っている動物的本能が目を覚まし、人間性を取り戻すようになると思う。

黒川紀章がいうように、移動して交流することによって新たな『価値』が生まれるわけで、これによって受動的安定志向の日本人が能動的に変われば、老人化した日本はクリエイティブな国に変れるかも知れない。

『Street Twin』(2019)
  • エンジン=水冷SOHC 8バルブ2気筒900cc(84.6×80㎜)270°クランク
  • 最大出力=65PS(48KW)/7500rpm
  • 最大トルク=80Nm/3800rpm
  • タイヤ=F:100/90-18 R:150/70-17
  • サスペンション=F:KYB製41φカートリッジ式ダンパー トラベル120mm R:KYB製ツインショック プリロード調整付 トラベル120mm
  • ブレーキ=F:310φシングルBrembo製4ピストンABS付  R:255φシングルNissin製2ピストン
  • 車重=198kg
  • 価格=1,050,600円(税込)から
『Street Scrambler』(2019)
  • エンジン=水冷SOHC 8バルブ2気筒900cc(84.6×80㎜)270°クランク
  • 最大出力=65PS(48KW)/7,500rpm
  • 最大トルク=80Nm/3,200rpm
  • タイヤ=F:100/90-19 R:150/70-17
  • サスペンション=F:KYB製 41φカートリッジ式ダンパー トラベル120mm R:KYB製ツインショック プリロード調整付 トラベル120mm
  • ブレーキ=F:310φシングルBrembo製4ピストンABS付 R:255φシングルNissin製2ピストン
  • 車重=198kg
  • 価格:1,280,100円(税込)から

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