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事務所概要・アクセス
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電化製品、自動車、化学製品、食品、衣服その他の製造メーカーの事業活動において発生する副生物・副産物やゴミ、環境有害物質の処理(再利用含む)を行うにあたり、適切な手続を経なかった場合、所管官庁、都道府県、市町村から、様々な行政処分がなされる可能性があります。また、各場面において、監督官庁等への報告が義務づけられる場合もあります。
事案によっては、業務停止処分、課徴金等の処分を受け、さらには証券取引所において上場廃止となる場合もあるなど、円滑な事業運営が困難になることも少なくありません。実際にも、ある事業会社が排出した副産物を材料として再生製品の販売に係るビジネスを展開したケースで、当該材料が廃掃法(廃棄物処理法)上の廃棄物であると判断され適切な手続きを経ていないことなどを理由として、自治体により本社および工場への立入検査が実施され、当該製品の撤去を求める措置命令がなされた例があります(約485億円の撤去工事を実施)。
さらに、法規制等に反する不適切な処理がなされたことが判明し、刑事責任が問われるケースもあります。上記の事案では、企業に対して5000万円の罰金が科されたほか、不正行為を主導した役員に懲役2年の実刑が科されています。廃掃法をはじめとする環境関連法令違反に対しては、官庁、自治体からの積極的な刑事告発が行われているということが指摘されており、企業としては、事業の存続を脅かす致命的なリスクにつながりかねません。
その他、企業の社会的評価(レピュテーション)が低下するほか、リスク発覚後の対応にも大きな非難が集まり、顧客の流出をはじめとした甚大なダメージを受ける場合もあります。
企業だけではなく、その役員についても、前述のような刑事責任を問われるケースや株主代表訴訟等によって極めて多額の賠償責任を負うケースも見られます(上記の事案では、株主代表訴訟が提起され、元役員のうち1名に対して約485億円の支払いが命じられました)。
廃棄物関連・リサイクルビジネス、環境関連ビジネスを業とする企業ではない一般の事業会社においても、製品製造工程で生じる副生物・副産物を他の事業の材料として転用・再利用する場面や、発電燃料資源として利用する場面など、事業上生じた廃棄物の再生・再利用処理について廃掃法その他の法規制が足かせとなることは少なくなく、多くの企業において頭を悩ませる問題となっています。
特に、再生・再利用のための処理も廃掃法の規制対象となる「処理」に含まれることから、同法に従い適正に処理を行おうとする場合、相当な運搬・処理費用等のコストがかかり大きな負担となるばかりか、その金額によっては当該施策・ビジネスが成立しない事態ともなり得ます。
そのため、できる限り法規制の対象とはならないようなビジネススキームの検討が重要となり、また法規制の対象となる場合であっても様々な制度が存在することから、当該制度や規制を考慮して最適なスキームを検討することができれば、むしろ新たなビジネス参入・拡大の可能性が大きく広がるのです。
もっとも、新規ビジネスの検討(特に環境・廃棄物行政が問題となるケース)においては、以下2つの側面において悩ましい問題があることから、これらを十分に踏まえた検討が必要となります。
法令上規制される廃棄物や環境汚染物質は多様であり(特定有害物質、ダイオキシン類、油汚染、アスベスト、PCB廃棄物、地下杭その他の地下埋設物・障害物など)、他の法分野と比較しても極めて多数の法令が存在します。また、規則・通知・ガイドライン等も数多く存在し、さらに後述のとおり自治体ごとに条例・規則・指導要綱などが存在するなど、理解しなければならない規制の内容(許認可・登録・届出、定期報告義務等)も多く、その範囲が極めて広範でありかつ複雑です。
特に各自治体が定める条例は、環境やまちづくりに関連するものだけでも、廃棄物対策やリサイクル、プラスチックの資源循環のほか、カーボンニュートラル(省エネルギー・温室効果ガス対策)や太陽光発電設備の規制、再生可能エネルギーの利用促進に関する条例、埋土や景観、民泊、土壌汚染、地下水、アスベストその他の大気汚染の環境基準に関する条例など、さまざまです。条例管理の難しさは、都道府県だけでなく市区町村でも独自に条例(基準)が定められており、施行規則や指導要綱等まで網羅しなければならないという点にあります。国の法令と条例とで異なる規制基準があるケース、国の法令にはない義務が条例に存在するケースなどでは、これらの見落としや理解が不十分であることによる規制違反を招くケースが多々あります。
さらにいえば、国内および子会社を有する海外での規制についての検討も必要不可欠となり、世界各国において各規制・定期報告義務の対象となるのかといったことについても把握しなければなりません。
しかも、これらの規制内容は日々改正・アップデートされていくことから、適時適切なアップデートがなされないと、少し前までは適法であった行為であっても、ある時点を境に、知らないままに法令違反を犯してしまっているということも少なくありません。たとえば、東京都の環境関連条例は、直近1年間だけを見ても実に何度も改正がなされています。
廃棄物(及び環境有害物質)の処理・再利用などの手続きに関して、法規制の対象となる廃棄物にあたるかどうか(許認可の要否)、様々な制度を利用する要件を満たすかどうか(制度利用の可否)については判断が難しいことも多くあります。
行政においては、上記のとおり条例のほか指針・ガイドライン・指導要綱その他が存在するものの、必ずしも明確な基準・解釈が設定されているわけではありません。特に、環境行政においては、自治体の裁量に委ねられている面があり、ある自治体や官庁から問題ない旨の見解が提示されたにもかかわらず、他の官庁等から当該見解に従った処理が違法であると判断されるといったケースもあります 。実際にも、廃棄物処理事業者が市から許可を得た品目以外のがれき、木くずなどと土砂の混合物を汚泥とともに固化処理した再生製品を、宅地造成地に使用していたところ、当該製品は産業廃棄物であるとして、同者社長が廃棄物処理法違反容疑で京都府警に逮捕された事案まであります。
そのため、最新のガイドライン・通知や規制動向・裁判例のほか、行政の判断傾向等も踏まえて慎重に検討したうえで、行政対応を含めた経験・実績が豊富な専門家にサポートを依頼することが必要不可欠となります。
新規ビジネスにおいて、行政による許認可・登録の要否が問題となるケースは、環境行政にとどまらず、金融商品取引法に基づく金融商品取引業者(二種業や投資助言業等)の登録や、資金決済法上の資金移動業や暗号資産交換業(仮想通貨交換業)の登録の場面においても同様です。
上記のとおり、行政の管轄下において事故等が生じた場合、法令違反が疑われる場合には、行政処分を受けるリスクがあり、その場合には指導助言、勧告、企業名の公表、措置命令を受ける可能性があります。
行政処分を免れるために、企業が自浄努力の姿勢を示して自主的に対策・改善措置を表明するケースもありますが、その内容や対応が適切でない場合には、当該自主的な対応(またはその表明)に関わらず行政から措置命令を受けることはあるのです。
その結果として、当該企業は入札の指名停止等の影響を受けるほか、ビジネスからの撤退を余儀なくされる状況にもなりえます(前述冒頭の事案では、不正が行われた企業において自主的に廃棄物を回収する旨の決定を行いましたが、その後に、撤去を求める措置命令がなされています)。
そのため、事故発生時等における行政への報告や自主的な対応の検討についても、行政対応を含めた経験・実績が豊富な専門家にサポートを依頼した上で、慎重かつ速やかに行政への報告その他の対応を進めることが必要となります。
当事務所は、国内外からの依頼に応じて、ビジネス上問題となる廃棄物処理・環境汚染(土壌汚染・水質汚染等)処理に関連する諸問題、手続きについて、全国各地での地方自治体・行政との交渉、行政処分や刑事手続の対応等(紛争手続きも含む)について数多くの実績と豊富な経験を有しております。
また、金融商品取引業者(二種業や投資助言業等)、資金決済法上の資金移動業や暗号資産交換業(仮想通貨交換業)の登録・行政からの指導への対応についても、同様に多くの実績を有しております。
単なる知識の提供ではなく、圧倒的な実績と経験に裏打ちされたサービスを提供いたします。
お問い合わせ先:猿倉健司
猿倉健司「事業会社の盲点になりやすい環境有害物質・廃棄物・温室ガス等の規制(個別規制編)」(Business & Law、2022年8月9日~)
猿倉健司「環境汚染・廃棄物のリスクと不祥事対応・予防の実務(全3回)」(FRONTEO、2022年7月31日)
猿倉健司「事業会社の盲点になりやすい環境有害物質・廃棄物・温室ガス等の規制 (導入編)」(Business & Law、2022年7月13日)
猿倉健司「条例改正対応のリスクと留意点-環境条例の管理ミス・トラブル事例を踏まえて」(ウエストロー・ジャパン、2022年5月25日)
猿倉健司「不動産取引・M&Aをめぐる環境汚染・廃棄物リスクと法務」(金融ファクシミリ新聞社、2021年11月16日)
猿倉健司「不動産取引・M&Aをめぐる環境汚染・廃棄物リスクと実務対応の最重要ポイント」(日本計画研究所、2021年10月18日)
猿倉健司「不動産取引・M&Aにおける環境・廃棄物・災害リスクの実務対応」(プロネクサス、2021年8月19日)
猿倉健司「廃棄物・環境有害物質リスクとM&A・不動産取引における実務対応の留意点」(レクシスネクシス・ジャパン/ビジネスロー・ジャーナル、2020年12月18日)(Business & Law、Webゼミ2021年3月~)
猿倉健司「土壌汚染・廃棄物・環境リスクと不動産取引の実務(民法改正対応)」(経営調査研究会、2020年3月19日)
猿倉健司「近時の不動産取引紛争と民法改正を踏まえたデューデリジェンス・契約条項改定の実務対応」(日本計画研究所、2019年9月19日)
井上治・猿倉健司「土壌汚染・地中埋設物不動産取引の最新状況と予防法務 ――売主・買主それぞれの立場から」(レクシスネクシス・ジャパン・2014年4月15日)