女性の労働市場参加率は過去25年間、50%未満で停滞(国連経済社会局プレスリリース・日本語訳) | 国連広報センター

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女性の労働市場参加率は過去25年間、50%未満で停滞(国連経済社会局プレスリリース・日本語訳)

プレスリリース 20-088-J 2020年11月11日

©Photo from UN Website

ジェンダー平等を達成した国はなく、女性と女児に対する暴力は全世界で蔓延

ニューヨーク、10月20日 – きょう発表された新たな国連報告書によると、労働市場に参加する生産年齢女性は全体の50%に満たず、しかもその割合は過去25年間、ほとんど変わってていません。女性が無給の家事とケア労働の不当に大きな部分を担い、ただでさえ経済的潜在能力の制約を受ける中で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)が重なり、女性の雇用と生計にさらに大きな影響が出ていると報告書は警告しています。

『世界の女性2020:傾向と統計(The World’s Women 2020: Trends and Statistics)』は、世界におけるジェンダー平等の現状を映し出す100のデータストーリーを取りまとめたものです。双方向型ポータルで提示されているこの報告書は、人口と家族、健康、教育、経済的エンパワーメントと資産所有権、権力と意思決定、女性と女児に対する暴力という6つの重要分野におけるジェンダーの平等と、COVID-19による影響を分析しています。

北京宣言・行動綱領の採択から25年を経た今も、女性の権力と権利の平等に向けた前進は、なかなか実現できていません。ジェンダー平等を達成した国はなく、COVID-19危機は、これまでのわずかながらの前進を帳消しにするおそれがあります」アントニオ・グテーレス国連事務総長は、このように述べています。「持続可能な開発目標の達成に向けた『行動の10年』と、パンデミックからのより良い復興を目指す取り組みは、女性と女児の今日と将来の生活を変容させていくチャンスになります」

無給の家事とケア労働が女性の社会進出の妨げに

COVID-19のパンデミックにより、無給の家事とケア労働は男女ともに増えているものの、女性は不当に大きな役割を担い続けています。平均的な1日を取れば、世界の女性は無給の家事とケア労働に男性の約3倍もの時間を費やしています(1.7時間に対し4.2時間)。北アフリカと西アジアでは、このジェンダー格差がさらに大きくなり、女性はこうした活動に男性の7倍以上の時間を割いています。

このような無給の家事とケア労働負担の偏りが、女性の労働市場への参加を阻んでいます。2020年の時点で、生産年齢女性の労働参加率は男性の74%に対し、47%にすぎませんが、このジェンダー格差は1995年以来、あまり変わっていません。南アジアと北アフリカ、西アジアでは、この割合がさらに低く、女性の労働市場参加率は30%にも達していません。しかも、パンデミックはこのようなジェンダー格差をさらに広げると見られています。多くの女性は有給の家事労働、宿泊・食品サービス、小売業など、COVID-19と都市封鎖(ロックダウン)措置による影響が最も大きい業種で働いているからです。また、女性は医療部門労働者の70%以上を占めているため、職場での感染リスクも男性より高くなっています。

ガラスの天井は崩れないまま

権力と意思決定について見ると、全世界の女性管理職の割合は2019年の時点でもわずか28%と、1995年の水準とほぼ変わりません。2020年の調査対象企業のうち、最高経営責任者(CEO)が女性である企業の割合は18%にすぎません。フォーチュン500企業に限れば、女性CEOは全体のわずか7.4%に当たる37人にとどまっています。政治分野においては、女性国会議員の数は全世界で2倍以上に増えているとはいえ、2020年の時点でも、その割合は25%に達していません。女性閣僚の数も、過去25年で4倍に増えたものの、その割合はわずか22%と、男女同数にはるかに及ばないのが現状です。

女性の就学率は全世界で上昇

普遍的初等教育の達成という点で、世界は大きな前進を遂げ、ほとんどの地域で女児と男児が平等に初等教育を受けています。COVID-19対策による学校閉鎖で、就学率の改善は後退を強いられる公算が大きいものの、エビデンスを見る限り、学校教育を受けられる女児は、男児よりも優秀な成績を上げる傾向にあります。高等教育の就学者数では、女性が男性を上回っているだけでなく、学生数の伸びでも、女性のほうが男性よりも高くなっています。

しかし、科学・技術・工学・数学(STEM)の分野を専門とする女性の比率は依然として低く、この分野の大卒者に女性が占める割合は35%よりもわずかに高くなっているだけです。女性は科学研究開発でも少数派であり、全世界の研究者に占める割合は3分の1にも達していません。

女性と女児に対する暴力は引き続きグローバルな問題に

COVID-19対策のロックダウンにより、多くの女性と女児が、親密なパートナーから暴力を受けるおそれが高い危険な環境に閉じ込められています。親密なパートナーから身体的暴力や性的暴力を受けたことがある女性の割合は、全世界で3分の1程度に達しており、最近の1年間にこのような暴力を受けた女性も18%います。最も極端な場合、女性に対する暴力が死に至ることもあります。全世界で、毎日137人にもの女性が親密なパートナーや家族によって殺されていると見られるからです。

いくつかの国では、女性器切除が減少してきてはいるものの、こうした慣行が最も広がっているアフリカと中東では、存命中の女児と女性のうち少なくとも2億人が、この特殊な形態の暴力を受けています。

意識の変化を示す兆候として、過去7年間のデータがある国のほぼ75%では、女性に対するパートナーからの暴力が容認されることが少なくなっています。しかし、家庭内暴力に取り組む法律を導入している国はまだ153カ国と、普遍的なレベルに達していません。最も取り組みが遅れている地域は北アフリカ、西アジアとサハラ以南アフリカで、それぞれ43%と35%の国がまだ対策法を制定していません。

信頼できる最新データが不可欠

特に、国際社会がCOVID-19のパンデミックに対応している今、ジェンダーの平等達成に向けた進捗状況を効果的に把握するためには、信頼できる最新の詳細な情報が不可欠です。定期的な収集とジェンダー統計の利用により、データとエビデンスのギャップを埋めることが欠かせません。

「私はすべての国に対し、女性と女児のエンパワーメントや、進捗状況を監視するエビデンス基盤の整備に向けた取り組みを加速するよう呼びかけます。主要なジェンダー・トピックに係るデータのギャップを埋める必要があります」劉振民(リュー・ジェンミン)国連経済社会問題担当事務次長はこのように述べています。「時系列的、国際的なデータの最新性と比較可能性を改善する必要があるほか、関連の不平等に取り組み、危機に対応し、2030年までにジェンダー平等の達成を確保するためには、年齢、性別、居住地その他重要な変数ごとにデータを解析、発信することを優先課題とせねばなりません」

世界の女性報告書について

国連経済社会局統計部が作成する世界の女性報告書は、1990年以来5年ごとに、全世界のジェンダー平等の現状に関する最新データを提供しています。

報告書全文と全データ:bit.ly/worldswomen2020

メディアのお問い合わせ先

UN Department of Global Communications
Sharon Birch-Jeffrey, Tel.: +1 (212) 963-0564 | E-mail: birchs@un.org

UN Department of Economic and Social Affairs
Helen Daun Rosengren, Tel.: +1 (212) 963-9492 | E-mail: rosengrenh@un.org

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原文(English)はこちらをご覧ください。