教育研究上の目的及び養成する人材像
理学部物理学科の教育研究上の目的は、大学・学部の教育目的に沿って、あらゆる物質、素粒子、宇宙、生命の謎に挑み、現象を支配する法則の解明のため、実験と理論の両面から学問を深め、現代物理の幅広い領域にわたる教育・研究を通して、「物理学への知的探究心」「物事の本質を知る習慣と能力」「自ら考え他者と協力する力」をもった人材を養成することです。
3つのポリシー
1ディプロマ・ポリシー
理学部物理学科では、以下の能力を備えたと認められる者に学位「学士(理学)」を授与します。
知識・理解
物理学への知的探究心を持ち、多種多様な自然現象の源である物理法則を理解する基礎力を有している。
汎用的技能
物事の本質を知る習慣と能力を身に付け、先端科学・技術につながる科学的かつ総合的思考力を有している。
態度・志向性
自ら考える力を持ち、他者と協力しながら地道に問題を解決していく力を有している。
2カリキュラム・ポリシー
理学部物理学科が定めるディプロマ・ポリシーに基づき、以下に示す教育課程を編成し、実施します。
教育課程・学修成果
第1~第4セメスターでは学部共通科目、専門基礎科目を通じて幅広い理学の教養を身につけることにより、広い学問の中における物理学の位置を理解することで、自然にキャリアデザインができるカリキュラムです。一方、同時並行で講義・演習・実験を通して物理学の基礎が十分に会得できるカリキュラムです。第5セメスター以降では、それまでに養った幅広い教養や基礎をさらに発展させると同時に近・現代の専門科目を学び、卒業後を意識した学生のキャリアデザインを助けると同時に、卒業研究に向けての準備が整うカリキュラムです。第6~第8セメスターの卒業研究関連科目は、自分を磨く不断の努力の姿勢を身につけ、幅広い基礎知識に支えられた考える力と問題解決力を生かし、様々な分野で活躍できる人材を育てるべくカリキュラムを編成しています。
第1~第4セメスターに開講する「力学1・2」、「電磁気学1・2」、「熱力学」で、高校で学んだ物理を復習しながら、その後大学で学ぶ物理に関する内容を概観し、数学的表現について学びます。第3セメスター以降は各論の講義科目として「解析力学」、「電磁場」、「統計力学1・2」を中心として各分野について詳しく学びます。この間、第1~第5セメスターでは「微積分1・2」、「線形代数1・2」といった数学科目および「物理数学1~4」が付随しており、講義科目の一助となるよう開講しています。また、第1、第2セメスターで開講するリメディアル科目「物理学入門A・B」、「物理学基礎A・B」で基礎を確認します。さらに「物理学概論」を通して先端分野を紹介しながら物理学の全体を見ることができるようにし、物理学における基本事項の数学的表現方法や物の見方、現象のとらえ方について学びます。一方、第3セメスター以降では、数学・物理学・化学の関連性を理解し、幅広い自然科学の知識を身に付けることを目的とした「数理科学概説・物理学概説・化学概説」を学部共通科目として開講しています。これらの一連の科目を通して物理学への知的探究心を持ち、多種多様な自然現象の源である物理法則を理解する基礎力を養成しています。
第3セメスターからは「量子論」をスタートとして「量子力学1」をはじめとする近代の物理学に関する科目を開講しています。特に第5セメスターからは「光・レーザー物理学」、「プラズマ物理学」、「素粒子物理学」、「宇宙物理学」、「生物物理学」、「原子・分子物理学」、「相対性理論」等の専門科目が開講され、現在の先端分野を視野に入れた科目を開講し、物事の本質を知る習慣と能力を身に付け、先端科学・技術につながる科学的かつ総合的思考力を養成しています。
一方、第2~第5セメスターで、現象を理解し複雑な計算をこなせるようにコンピュータ科目として、「情報処理演習」、「コンピュータ物理学1・2」が、さらに現象を実際に把握し理解することを目的として「物理学基礎実験」、「物理学実験1・2・3」といった実験科目を開講しています。講義科目とは異なり、これらの科目はあくまでも自分で取り組むことによって進んでいくものであり、今何のため、何をしているのかをよく考えて行うことが必要です。また、取り組んでいる間に自分で問題点を見出し、これを資料や書籍で調べ解決していくなど、実習の一連の過程を経験することによって問題発見・解決型の学習に取り組むことが可能となります。
第6セメスターには「卒業研究準備講座」を開講しています。これは、続く第7セメスターから始まる卒業研究の履修を効果的に行うため、「大学における研究活動とは何か、自ら学ぶとはどういう事か」という心構えについて学びます。そのため、学生は少人数のグループに分かれ、物理学科の教員のもとで週1回、模擬的な研究活動を行います。また、将来社会人になるために必要なキャリアについても学ぶ機会も設けます。
第7・第8セメスターでは「卒業研究1・2」において、各専門分野への興味を膨らませるとともに新しい技術への対応の仕方、研究結果のまとめ・討論・発表の仕方等の一貫した指導を受け、4年間の集大成としてまとめ、自ら考える力を持ち、他者と協力しながら地道に問題を解決していく力を養成しています。
学修成果の評価方法
本学科のディプロマ・ポリシーに示されている「知識・理解」「汎用的技能」「態度・志向性」に関して、ルーブリックによる観点別評価、修得単位数・GPA による分析評価、授業についてのアンケート等を用いた学生による自己評価により、学修成果の評価を行っています。その集計結果は、FD 活動等をとおして教育の質向上のための PDCA サイクルにつなげています。
3アドミッション・ポリシー
求める学生像
理学部物理学科の教育目標を理解し、この目標を達成するために自ら学ぶ意欲をもった人材。及び、ディプロマ・ポリシーで求められている能力を、身に付けられると期待できる基礎学力を十分有する人材。
入学者にもとめる知識・技能・思考力・判断力・表現力・態度
(1) 知識・技能
英語では、高校での英語の科目の履修を通して英語の文章理解力、表現力、コミュニケーション能力を 身につけておくことが望ましい。
数学及び理科では、得意分野と不得意分野があまりなく幅広く理解していることが望ましい。
(2)思考力・判断力・表現力
物理学では論理的に自然現象を理解することが重要である。1つの自然現象を様々な角度から論理的に考えることができる思考力,思考の結果として得られた答えが正しいかどうかを論理的に見極める判断力,自分の思考過程や結論を論理的にわかりやすく他者に伝える表現力が期待できること。
(3)主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度
実験などでは学生同士や学生と教員とのコミュニュケーションも大切で、多様な価値観や立場・役割を理解し、物事に対して他者と協力しながら主体的に取り組むことが期待できること。