農学部バイオサイエンス学科を目指す皆さまに向けて、先輩・卒業生からのメッセージです。彼ら、彼女らの具体的な想いや経験談を聞いて、これからの大学生活を思い描くヒントにしてみてください。
2020年度卒業
杉本 茉優さん
乳酸菌とトマトの相乗効果で生まれる機能性を見つけたい
子どもの頃から納豆が大好きで、発酵のメカニズムについて学びたいと思い本学に進学しました。現在は、栄養価の高いトマトを乳酸菌で発酵させ機能性を調べることで、高い付加価値の付いた発酵トマトの開発を目指して研究を行っています。トマトをミキサーにかけて培地をつくり、そこに選抜した13種類の乳酸菌「TOKAI菌株」を添加し、どのような機能性があるかを調べています。実際に発酵により抗酸化力が上がる菌も見つかっており、商品化が期待されます。また、昨年11月には、尚網大学とコラボして「熊本の食材」・「ヘルシー」をキーワードに、「野菜たっぷりヘルシー弁当」を企画・販売しました。1年間かけて栄養価や彩りなどを考えながら、完成、販売した経験から、将来は食品会社で繭品開発の仕事がしたいという夢も生まれました。今後は、さらに研究を進め、発酵化学の楽しさを後輩たちに伝えたいですね。
目に見えない微生物のはたらきを実験で解明する楽しさ
高校生の頃、生物の授業が好きで、ヒトの体の中で起きている現象や、目に見えない微生物が、デンプン、糖、タンパク質などの有機物を分解する発酵などに興味があり、本学科に進学しました。現在はタンパク質の解析方法を学んでいるほか、乳酸発酵やアルコール発酵などの実験で知識を深めています。乳酸菌の実験では、米のとぎ汁を発酵させ、乳酸菌の種類を同定する実験を行いました。また、日本酒の製造過程を学ぶために行った実験も忘れられない体験です。ビーカーに酵母や砂糖、水を加え、砂糖がアルコールに変化していくプロセスを観察しました。このような実験を通して体験的に学ぶことで、座学での学んだ知識に磨きをかけることができます。その他にも、スポーツドリンクに含まれているクエン酸の効能について学びました。ヒトは、体を動かすことで乳酸がたまり疲労しますが、クエン酸を服用することでクエン酸回路がまわり、乳酸の分解が促され回復する仕組みがある事を知りました。私たちが、日々の暮らしの中で体感していることの原理を学べるところに、本学科の楽しさがあります。プライベートでは、熊本から実家のある岐阜県まで自転車で帰省することにチャレンジしました。準備不足からか、途中でふらふらになり、講義で学んだ低血糖のしくみや、クエン酸の効果を思い出し「こういうことか」と身をもって実感したことも、今では良い思い出です。
4年次在籍
日比 友之さん
広島県公立中学校
山本 尚輝さん
2017年度卒業
ミステリーを解き明かすような楽しさを生徒たちに伝えたい
中学校で理科の教員をしており、中学2年生の担任と情報科学部の顧問をしています。在学中は、豆乳ヨーグルトが糖尿病に及ぼす影響について研究しました。研究で行き詰まった際は、先生が的確な助言をしてくださり、多角的な視点から研究に取り組むことができました。この経験から、生徒が困っているときに的確な助言ができる教員になりたいと思い、日々勉強を積み重ねています。本学科に進学するまでは理科の楽しさに気づけずにいました。ですが、大学での授業や研究は、まるでミステリー小説を読んでいるようなワクワク感があり「あの知識はここにつながるのか!」「結末はこう来たか!」など、一つずつ謎を解き明かしていくような楽しさがありました。この経験は、私にとって大きな財産です。本学科での経験を礎に、生徒たちにも理科の楽しさを伝えられるような教員になりたいです。
在学中に取り組んだ「糖化」の研究を礎にエイジングケアのサプリメント開発に挑む
食品部門でサプリメントの企画・開発を行っています。具体的にはマーケットのニーズ調査に始まり、新製品の企画立案、試作品のチェック、さらに販売戦略の策定やプロモーション活動や商品のアフターフォローなど多岐にわたります。在学中は、老化の一因ともいわれる「糖化」からできるAGEsについて研究し、糖化物質の特性や白内障の予防を目的とした実験などに取り組み、3つの論文を執筆しました。現在の職場では、エイジングケアのサプリメント開発を手掛けているため、大学で学んだ「糖化」の研究が大いに役立っています。学生の頃は、一つの研究に対してじっくりと考え、深く追及する時間をもつことができましたが、企業では短時間で斬新なアイデアを出すという発想力を求められています。将来は、新しい機能性表示食品を主体的にプロモーションし、効果を実感できるサプリメントを開発することによって、食を通じた疾病予防や健康寿命の増大に貢献したいと思っています。
日本新薬株式会社
木下 奨さん
大学院2017年度修了