昨年度に開設50周年を迎えた東海大学ヨーロッパ学術センターの記念式典を、9月1日に東京・デンマーク大使館と現地をオンラインでつないで挙行しました。本センターは1970年に、日本とヨーロッパ諸国との学術・文化交流を促進することなどを目的として、デンマーク政府文部省(当時)の協力を得てコペンハーゲン市郊外に開設しました。式典は昨年度に本センターで開く予定でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により延期していました。今年度は、東京オリンピック・パラリンピックの開催期間中に大使館で開かれた同国の文化などを紹介するパビリオンに本学がブースを出展したことなどから、大使館の協力を得て1年越しの式典を挙行しました。
当日は、日本では駐日デンマーク大使のピーター・タクソ・イエンセン閣下をはじめとする大使館関係者や、山田清志学長、本センター所長の吉川直人副学長(国際担当)等、学園関係者が出席。デンマークでは、本学名誉博士でもあるベアテル・ホーダー国会議員、駐デンマーク日本大使の宮川学閣下、デンマーク工科大学(DTU)のアナス・ビャクレウ学長、本センターのヤコブ・スキュット・イエンセン副所長らが参列しました。開式にあたりイェンセン副所長が参加者を紹介し、駐日大使のタクソ‐イェンセン閣下があいさつ。祝辞とともに、「ヨーロッパ学術センターは日本とデンマークの懸け橋となるべく51年前に開設され、松前博士がデンマークの教育者であるニコライ・グルントヴィの思想から得たアイデアを生かし、長年にわたり教育活動を展開されてきました。今後も両国の協力関係が続いていくことを願っています」と語りました。
続いて山田学長が登壇。関係者への感謝の言葉を述べるとともに、コロナ禍により授業や国際交流プログラムをオンラインで実施していることに触れ、「新型コロナのパンデミックにより世界各国でデジタル化が進んだことは、北欧諸国との協力の可能性を広げるきっかけにもなったと感じています。また、本学では2018年度からQOLに焦点を当てた新たな教育・研究の方針を構築しており、QOLを大切にする北欧諸国との連携をさらに深めていきたい」と話しました。また、吉川副学長が松前達郎総長によるメッセージを代読。「世の中には解決しなければならない課題がたくさんあることは明らかであり、ヨーロッパ学術センターは今後も世界平和の実現に向けて貴重な役割を担っていくと信じています」と伝えました。
デンマークから参列した出席者からも、お祝いのメッセージが送られました。ホーダー名誉博士は、付属デンマーク校開設時の様子とその際の松前博士との交流や、松前達郎総長との出会い、96年に本学の世界一周研修航海で学園の海洋調査研修船「望星丸」がデンマーク港に入港した際のエピソードを披露。「私の人生の中で特に思い出深いイベントでした。この先50年も“東海ファミリー”として、学生の交換留学など教育活動を通して北欧と東海大学の連携をさらに深めていくことを望みます」と話しました。式の最後には、デンマークからの演奏や本センターの歴史をまとめた映像を鑑賞し、参加者たちが思い出話に花を咲かせました。
※東海大学とデンマークについて
学園の創立者・松前重義博士が、デンマークの「国民高等学校」とその提唱者であるニコライ・グルントヴィの思想に感銘を受け、1936年に東海大学の母胎となる「望星学塾」を創設。67年には、日本で唯一となる文学部北欧文学科(現・文化社会学部北欧学科)を開設し、北欧諸国における福祉・環境・男女平等といった先進的な取り組みを多角的に学ぶ教育を実践してきました。ヨーロッパ学術センターでは、世界各国の大学、政府機関などとの交流協定の実行にも携わるとともに、シンポジウムやセミナー、日本の伝統文化を紹介する講演会や展覧会などを開催。長年にわたり教育・研究活動の相互協力を続けています。