このたび、大学院国際関係学研究科の長野明子教授が言語学分野の専門書 『英語と日本語における等位複合語』(開拓社、2023年)を2名の共同研究者との共著で出版しました。
「複合」とは、我々の脳内で行われると考えられる、2つの構成要素を併合して1つのより複雑な構成要素を作る操作です。例えば、「蜜(みつ)」と「蜂(はち)」はそれぞれ独立した意味内容をもつ日本語の構成要素ですが、これらを複合することによって「ミツバチ」または「ハチミツ」という新たな構成要素が作られます。複合は繰り返し適用が可能で、
「ミツ」+「ハチ」→「ミツバチ」(2つ目の語頭が濁るのは「連濁(れんだく)」による)
「ミツバチ」+「小屋」→「ミツバチ小屋」
「ミツバチ小屋」+「改造」→「ミツバチ小屋改造」
「ミツバチ小屋改造」+「計画」→「ミツバチ小屋改造計画」…
のように繰り返し適用することでより複雑な構成要素を次々に作り出していくことができます。このようにして作られる語は、内部に複雑な階層構造をもっています。同じ要素から作られた複合語でも、「ミツバチ」と「ハチミツ」のようにまったく違う意味になるのは、内部の階層構造が違うからです。
次の例も複合です。
「親」+「子」→「親子」
「善」+「悪」→「善悪」
「ハム」+「エッグ」→「ハムエッグ」 cf. 英語はham and eggsという
本書では、上のように、複合が等位関係・並列関係(A and B)にある2要素の間で行われるケースに焦点をあて、等位複合の類型、意味、形態、統語、歴史について詳しく検証しています。等位複合は、サンスクリット文法で「dvandva」という特別な名前を与えられている、由緒正しい語形成の方法です。日本語と英語を中心に、たくさんの言語の等位複合語を調べています。4つのコラムでは、料理やパンの名づけに見られる等位複合語の実例に触れながら、本書の言語分析を楽しむことができます。
本書は本学附属図書館(草薙図書館)に所蔵されていますので、ことばや言語学に興味のある方はぜひご一読ください。
詳細については以下のウェブサイトもご参照ください。
米倉綽・長野明子・島田雅晴(著)『開拓社叢書 英語と日本語における等位複合語』、開拓社、2023年3月.
ISBN978-4-7589-1833-6
http://www.kaitakusha.co.jp/book/book.php?c=1833(外部サイトへリンク)
(2023年4月17日)
「複合」とは、我々の脳内で行われると考えられる、2つの構成要素を併合して1つのより複雑な構成要素を作る操作です。例えば、「蜜(みつ)」と「蜂(はち)」はそれぞれ独立した意味内容をもつ日本語の構成要素ですが、これらを複合することによって「ミツバチ」または「ハチミツ」という新たな構成要素が作られます。複合は繰り返し適用が可能で、
「ミツ」+「ハチ」→「ミツバチ」(2つ目の語頭が濁るのは「連濁(れんだく)」による)
「ミツバチ」+「小屋」→「ミツバチ小屋」
「ミツバチ小屋」+「改造」→「ミツバチ小屋改造」
「ミツバチ小屋改造」+「計画」→「ミツバチ小屋改造計画」…
のように繰り返し適用することでより複雑な構成要素を次々に作り出していくことができます。このようにして作られる語は、内部に複雑な階層構造をもっています。同じ要素から作られた複合語でも、「ミツバチ」と「ハチミツ」のようにまったく違う意味になるのは、内部の階層構造が違うからです。
次の例も複合です。
「親」+「子」→「親子」
「善」+「悪」→「善悪」
「ハム」+「エッグ」→「ハムエッグ」 cf. 英語はham and eggsという
本書では、上のように、複合が等位関係・並列関係(A and B)にある2要素の間で行われるケースに焦点をあて、等位複合の類型、意味、形態、統語、歴史について詳しく検証しています。等位複合は、サンスクリット文法で「dvandva」という特別な名前を与えられている、由緒正しい語形成の方法です。日本語と英語を中心に、たくさんの言語の等位複合語を調べています。4つのコラムでは、料理やパンの名づけに見られる等位複合語の実例に触れながら、本書の言語分析を楽しむことができます。
本書は本学附属図書館(草薙図書館)に所蔵されていますので、ことばや言語学に興味のある方はぜひご一読ください。
詳細については以下のウェブサイトもご参照ください。
米倉綽・長野明子・島田雅晴(著)『開拓社叢書 英語と日本語における等位複合語』、開拓社、2023年3月.
ISBN978-4-7589-1833-6
http://www.kaitakusha.co.jp/book/book.php?c=1833(外部サイトへリンク)
(2023年4月17日)