大井川下流域の利水施設—リニア新幹線問題の背景にある水問題について理解を深めます― | 大学案内 | 静岡県公立大学法人 静岡県立大学

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大井川下流域の利水施設—リニア新幹線問題の背景にある水問題について理解を深めます―


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SDGs見学会

2022年9月12日

本見学会の概要

本見学会では、リニア中央新幹線問題の背景にある大井川の利水の現状を理解するため、「大井川の清流を守る研究協議会」の協力のもと、大井川下流域の複数の利水施設を見学した。大井川最下流の堰堤“塩郷堰堤”(ここまでしか鮎は遡上できないと言われている)を見学後、塩郷の吊り橋を散策し、道の駅「川根温泉」にて昼食をとった。午後は、大井川最下流の発電所“川口発電所・川口取水工”を見学し、次いで、牧之原台地に水を供給する施設である牧之原揚水機場(島田市大代)を見学し、大井川の水の利活用の現状について理解を深めた。

見学先1:塩郷堰堤

塩郷ダムと呼ばれることがあるが、堤高が15mに満たないため「ダム」ではなく「堰堤」という定義となる。静岡県森林環境教育指導員の方に、塩郷堰堤の歴史や役割に加えて、1980年代後半に起こった「水返せ運動」について詳しく説明を受けた。電力会社が設置した塩郷堰堤によって発電用水が取水されたために、川に水が流されなくなり、そこから下流域の河床が干上がった。地域住民や自治体が立ち上がり、いわゆる「水返せ運動」を起し、電力会社と交渉の結果、一定量の水(河川維持流量)を大井川に流すことで合意を取り付けたということであった。

塩郷堰堤

見学先2:川口発電所・川口取水工

川口発電所は、中部電力によって管理・運営されている。大井川の上流から導水路を用いて輸送した水を重力落下させ、タービンを回転させて発電する水力発電施設である。また、川口取水工はこの水を再取水し、大井川下流域の水道や農業・工業用水として供給する役割も持っている。中部電力の担当者から説明を受け、大井川の水が複数の段階を経て様々な用途に有効活用されていることが分かった。

川口発電所・川口取水工

見学先3:牧之原揚水機場

最後に島田市大代にある、牧之原畑地総合整備土地改良区が管理する牧之原揚水機場を見学した。ここに集められた大井川の水を、大型ポンプを用いて標高がより高い牧之原台地へ揚水する施設ということであった。主に茶栽培を中心とする農業向けの水利施設ということで、農業における大井川の水の重要性を認識できた。

牧之原揚水機場

まとめ

今回、大井川の下流域の水の利活用について、複数の施設を見学し、静岡県森林環境教育指導員や施設の管理者から説明を受けた。リニア中央新幹線問題で渦中にある大井川の水の重要性を実感できた見学会であった。参加者からは次回は中流域や上流域の見学を望む声が出ていた。

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