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ブログ「学長の部屋」(鬼頭宏・第6代学長)


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このエッセイは、鬼頭宏・第6代学長が在職中(2015年4月~2021年3月)に執筆したものです。


鬼頭宏 学長

春風

3月5日は、冬ごもりしていた虫たちが、春の気配に誘われて、地上に這い出てくるという啓蟄(けいちつ)でした。この頃になると学位授与式の準備が本格化します。昨年は中止しなければなりませんでしたが、今年は、規模を縮小して、予定通り3月19日に執り行う予定です。6府県の緊急事態宣言が解除され、医療従事者へのワクチン接種も開始されて、コロナ禍も落ち着きを取り戻しそうな気配ですが、油断は禁物。慎重な行動が求められます。
このコラム「学長の部屋」は今回が最終回になりました。任期満了となり学長も「卒業」します。教職員の皆様に支えられて2期にわたって務めてきましたが、長いようでいてあっという間の6年でした。やり残した事も多々あります。その中には、移転が計画されている県立中央図書館跡地を利用した国際交流会館(仮称)構想や、国が提唱する国公私立の枠組みを超えた連携推進法人の本県におけるあり方の検討があります。社会の変化、とりわけ18歳人口の減少に合わせたキャンパスの再編も 検討課題です。
動き出したこともあります。本学は2019年秋に「静岡県立大学SDGsイニシアティブ」を立ち上げました。各部局と事務部門それぞれに独自の取り組み方針を掲げてもらい、ホームページに掲載しました。本格的な取り組みはこれからです。学生、教職員のそれぞれが、教育、研究、運営、地域貢献においてSDGsの達成を目指すことによって、大学の発展とより良い社会の創生に寄与してください。学生の皆さんの健康と成長を祈っています。

最終回に、亡き知人が詠んだ、私の好きな句を紹介します。

  春風と思ひしよりの身の軽さ  矢部治子

草薙キャンパスで見頃を迎えている乙女椿

2021年3月9日


春を待ちつつ

今年は、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の再度の発出が議論される中で新年を迎えました。移動の自粛が求められた正月三が日でした。三が日明けの4日からすぐに仕事始めとなり、ゆっくりと正月気分に浸る間もありませんでした。なかでも、成人式が中止あるいはオンラインなどで行われることになり、張り切って人生の節目を迎えようとしていた新成人のみなさんは、寂しい思いをされたことでしょう。
いま、全国の大学で入試のまっただ中です。コロナ禍のなかで新方式の大学入学テストが初めて実施され、受験生諸君も例年以上に緊張を強いられていることでしょう。異例尽くめの新年でしたが、2月に入って毎日発表される新規感染者数は減少しており、少しばかり落ち着きを取り戻してきたようです。しかし油断は禁物。「新しい生活様式」を守りながらワクチン接種が一刻も早く始まることを期待しましょう。
今年は2月2日が節分でした。「鬼は外」に加えて、コロナ退散を願って豆まきをした人も少なくなかったと思います。人間の世の中は厳しい状況が続いていますが、季節は着実に移っています。立春の翌日、4日には、関東地方で「春一番」が吹き荒れました。12日は旧暦の正月です。春は一日一歩、着実に近づいています。
本学は学生の安全を最優先にしながら、3月19日に学位記授与式を挙行します。卒業式は規模を縮小し、謝恩会は開催しません。ご家族の参加もできませんが、学位記授与式の様子はオンラインで配信する予定です。もう少しの辛抱。困りごとや悩み事があったら、遠慮しないで大学に相談してください。大学は皆さんの力になります。コロナ禍の試練に耐えて、皆さんに本当の春が巡ってくることを祈っています。

  春立ちてまだ九日の野山哉  芭蕉

学生が管理するコミュニティガーデン「ひだまりの丘 ガルテン」で、顔を覗かせたふきのとう

2021年2月9日


ゆく年・くる年

今年は年の初めから新型コロナウイルス感染症に悩まされ続けてきました。一旦は落ち着いていましたが、今また第3波の真っ最中。海外ではワクチンが実用化され始めてはいますが、これからの動向が心配されています。
12月19日に、上食(学生ホール食堂)で「留学生交流会」が開かれました。例年は民族衣装でダンスが披露されたり、お国自慢の食事が出されたりと、とても賑やかなのですが、今年は新型コロナウイルス感染症予防のために、時間を切り詰めて、踊りも飲食も我慢して開催されました。それでも国際学友会(IFC)の学生の司会で、ゲームを楽しみ、和やかな時間を共有することができました。
日本海側の地方では大雪に悩まされているというのに、静岡から望む富士山の頂には雪がなく、まるで夏のような姿です。町のあちこちで柚子や蜜柑が金色に輝き、紅い寒椿が彩りを添えています。冬至が過ぎ、これから少しずつ日が長くなっていきます。気分も上向いていくのではないでしょうか?
クリスマス、帰省、正月、成人式と、家族や友人たちと会う機会が多い季節です。懐かしい人々と交流もできるだけ慎重に、「うつらない、うつさない」ための感染症対策をしっかりと守って、1月6日の冬季休業明けには、元気な姿で、勉強や研究をスタートしてください。
来る年が皆さんにとって明るい、幸多い年となることを願っています。

  なんといふ 空がなごやかな 柚子の二つ三つ  種田山頭火

12月19日に開催された留学生交流会

2020年12月23日


大学祭の季節に

例年なら草薙では剣祭、小鹿では橘花祭、と大学祭で賑わう季節ですが、残念ながら今年は、新型コロナウイルス感染症のために中止になってしまいました。そのかわりに学生有志によって、12月にオンラインで「県大 Stage 2020」を開くことが決まりました。21団体が参加するとのこと。映像で楽しんでください。
さてこの秋は、日米の首脳交代劇が演じられました。首脳交代は大学も同様で、静岡県では2つの国立大学、静岡大学と浜松医科大学の法人統合をめぐって、学長選挙がマスコミに大きく取り上げられました。本学には学長選挙の制度はありませんが、現在、次期学長の選考会議が進められており、意思決定の迅速化、人事や財務の合理化、効率化を目指した改革も進めています。
これからの大学改革の焦点は大学間連携です。これまで県立の高等教育機関は2大学、1短期大学でしたが、今春、県立農林環境専門職大学(磐田市)が誕生しました。来年は静岡社会健康医学大学院大学(静岡市葵区)が開設します。これらの県立の高等教育機関が今後どのように連携していくのか、それが第1の課題です。
さらに、2つの国立大学が法人統合してできる新しい大学と本学の間で、教育、研究、社会貢献において連携していくことも重要な課題となるでしょう。人口減少を背景に、地域課題の解決、ゆたかな地域づくりを目指して、県内の大学が役割を分担しながら協働することが求められています。
秋晴れの日曜に、駿府城公園内にある紅葉山庭園に足を伸ばしました。薄暗い樹林の下のあちこちに、ツワブキの黄色い花が足元を照らすように咲いていました。ツワブキの花言葉は「謙遜」、「愛よ、甦れ」とともに「困難に負けない」、「先を見通す能力」だそうです。コロナ禍で行事が中止や延期になり、未来への見通しが立ちにくい状況にあるいま、希望を与えてくれているように感じました。
全国的に流行の第3波が始まったようですが、「うつさない、うつらない」ように気をつけて行動しましょう。

  つはぶきの花の日々新たなり  高野素十

ツワブキの花

2020年11月18日


後期を迎えて

秋の彼岸が過ぎて、酷暑の夏を忘れさせるくらい涼しくなってきました。いつの間にか蝉に替わって、モズのさえずりが響くようになりました。9月28日の朝、秋晴れの空を背景に、山頂付近の白く輝く富士山がくっきりと見えました。初冠雪。去年より24日も早いそうです。
10月から後期の授業が始まります。これまで実験、実習、ゼミなどの一部を除いて、主として遠隔授業を行ってきました。ZoomやYouTubeは便利なツールで、これを利用した遠隔授業は、授業のデジタル化を否応なく推し進めたとも言えます。教員も学生も短時間の準備でよく対応してくださったと感謝しています。
しかし、学生からも多くの意見をもらっていますが、遠隔授業はいいことづくめではなく、弊害も少なくありません。大学の授業では、教師と学生が一堂に会して、自由に質疑応答や議論することから多くの学びを得ることができるからです。対面と遠隔をどのように組み合わせれば、最大の効果を引き出すことができるか、検証しなければなりません。
9月24日と25日に、大学の学部・大学院、そして短期大学部の秋季学位記授与式を行いました。この春は、コロナ禍のため、全学で学位記授与式も入学式も開くことができませんでした。学生にとっては、人生の節目となる行事です。目の前で学位記を手渡して、お祝いの言葉を伝えることができたことは、あらためて大事なことと思いました。
これからは少しずつ対面授業を回復していきます。食堂もオープンします。座席の間隔を広くとって教室の収容人数を減らす、机を消毒する、プラスティックの遮蔽板を設置するなど、学生諸君を迎える準備をしています。しかし油断は禁物。学生の皆さんも検温など毎日の健康管理、手指消毒の励行、マスクやフェイスシールドの着用、密集を作り大声で会話をしないなど、感染を避ける行動を守って安全なキャンパスの維持に心がけてください。
大学は学生諸君がキャンパスへ戻ってくるのを待っています。

  冠雪富士見えたり鳥も賑わえり  金子兜太

富士山

2020年9月28日


「コロナ後」の世界

8月になって、長いながい梅雨がようやく明けました。
一旦は収まっていた新型コロナウイルス感染症の流行が、再び拡大しています。多くの授業科目で試験ができなくなり、学生諸君は課題提出に追われているのではないかと思います。例年ならオープンキャンパスで賑わう季節ですが、今年はこれもオンライン開催になりました。友人や教員と触れ合うこともままならないうちに、夏期休暇に入ります。長い休暇ですから、帰省する人、旅行に行きたい人、それぞれに計画を立てていることでしょう。しかしこの夏は、どうぞくれぐれも慎重に行動してください。
8月1日、本学は活動指針を改定して、危険レベルを1から1.5へ引き上げました。実験・実習やクラブ・サークル活動などの一部は実施できることになっていますが、厳重に感染防御策を講じてください。3密を避ける、ソーシャルディスタンシングを守る、危険度の高い地域への往来を避けるなどの「新しい生活様式」を実践してください。感染しない、感染させないためには、毎日の行動履歴をチェックする必要があります。体温や、いつ、どこへ行ったかの記録をつけ、厚生労働省が提供しているアプリ「COCOA」(新型コロナウイルス感染症接触確認アプリ)を利用することを勧めます。自己管理、自己防御に努めましょう。
5月下旬から本学のホームページで、「コロナ後のSDGs的世界」と題するオンライン連続講義を掲載しています。本学では4月に「SDGsイニシアティブ」が発足しましたが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックと重なったことから、その収束後の世界はどうあるべきかを提案する企画です。私も含めて、すべての学部の教員が交代でWebエッセイを寄せています。感染症の理解、予防・治療法に始まり、栄養、運動、DV、メンタルケア、観光、難民、文明などさまざまなテーマを取り上げています。連載はこれからも続きます。皆さんもそれぞれに、コロナ禍収束後の世界をどのように築いたらいいのか、夏休みを利用してじっくり考えてみませんか。

  海の音ひまわり黒き瞳をひらく  木下夕爾

薬草園に咲くひまわり

2020年8月3日


コロナ禍の夏

学生の皆さん、元気に過ごしているでしょうか。新型コロナウイルス感染症に関わる緊急事態宣言が、5月25日に全面的に解除されました。本学では6月8日から危険レベルを一段階引き下げ、一部で対面授業を開始しました。サークル活動も含めて、学生諸君の入構も認められるようになり、キャンパスには活気が戻りつつあります。
感染症対策とはいえ、ステイ・ホームやオンライン講義など、学生諸君には多くの不便、負担をかけています。国、県はそれぞれに就学を支える支援策を打ってくれましたが、大学としても、生活上の悩みごとやメンタル面のサポートなど、学生生活全般の個別相談に応じるために、緊急支援プロジェクト・チームを発足させました。何ごとによらず、遠慮しないで相談していただきたいと思います。
また、大学独自に、生活費を貸し出す緊急支援奨学金を用意しました。さらに、学生の支援などを目的とする寄附金の「おおぞら基金」には教職員だけではなく、卒業生、保護者、県民、企業などから、貴重なご支援をいただいています。匿名でご寄付してくださる方もいらっしゃいます。この場を借りて、心より御礼申し上げます。
 
冬の終わりに始まったコロナ禍ですが、夏至を迎えて、ようやく落ち着いてきたように見えます。しかし油断は禁物です。第2波を防ぐために、当面、遠隔授業を中心に据えていく予定です。勉学や就活にとって困難な状況は続きますが、テレワーク、ウイズコロナなどの新しい生活様式は、SDGsの達成や多極分散型の21世紀文明に結びつくのではないでしょうか。大いなるチャレンジとして、積極的に立ち向かっていただきたいと願っています。

  梅雨晴のつづく予報を信じけり  稲畑汀子

あじさい

2020年6月24日


コロナに負けるな

あちこちで、大空に鯉幟が元気に泳いでいます。初夏の緑美しい季節なのに外出を制限され、在宅勤務を強いられて、気分が滅入ってしまいそう、という人もいるかもしれません。
緊急事態宣言が全国に拡大されてから、まる2週間が経ちました。連休明けの解除が待たれますが、おそらく、さらに延長されることでしょう。
この間、本学では入学式を中止し、かろうじて健康診断を実施しました。授業に関しては、大学でも短期大学部でも、遠隔授業を中心に開講することにしました。学生諸君も、教職員も、慣れない作業で苦労されていることと思います。しかし今は辛抱して、安全に徹し、疫病の危機を乗り越えることが第一です。
先日、近所の和菓子店で、疫病退散を願う「アマビヱ」の練りきりを見つけました。世の中、不安でいっぱいですが、案外、面白いことにも遭遇します。
また、こんな時こそ、一人暮らしの人も孤立してしまわないで、SNSで繋がってみましょう。私もガールスカウトの「おうちスカウティング」プログラムに協力してコロナ魔の格好をして、嵐の「手洗いダンス」を踊る画像を送りました。
キャンパスの学生や教職員がつながり、自由に想いを伝える場が必要です。そう思っていた矢先に、学生グループが情報交換のプラットフォーム<K-commu>を立ち上げてくれました。大学のホームページともつながっているので、皆さんが活用してくださることを期待しています。

  大空は大きな未来鯉幟  山田弘子

大空に舞う鯉幟(2019年5月撮影)

ポータルサイト<K-commu(けい・こみゅ
https://sites.google.com/view/k-commu--uos/(外部サイトへリンク)

2020年5月1日


春来たりなば

3月に入って、卒業生を送り、新入生を迎える準備が進められています。ただ、今年は「新型コロナウイルス感染症」の対応に右往左往させられています。
この度の新型コロナウイルス感染症の侵入源の一つとして、横浜港に到着したクルーズ船が挙げられます。検疫の英語”quarantine”が、疫病がオリエントから侵入するのを防ぐために、船を「40日間」(ヴェネツィア方言quaranta giorni)港外に停泊させたことに由来していることはよく知られていますが、それと同じことが行われたわけです。
現在、日本では感染の拡大を防ぐために、小中高校が休校になったり、企業ではリモートワークが推奨されたりしています。ゼミやサークルの合宿が中止になった人も多いことでしょう。就職説明会、スポーツ大会、展覧会、コンサートなどが相次いで中止に追い込まれています。
こんな時にはボッカチオの『デカメロン』のことを思い出します。この本はヨーロッパでペストが大流行した1348年から1353年にかけて書かれました。当時、疫病の原因は解明されていませんでしたが、病気が人から人にうつることは理解されていました。そこでフィレンツェ郊外の別荘に避難した10人の男女が、退屈から逃れるために10のテーマについてそれぞれが順番に物語るという設定で、この作品は作られました。
みなさんは今どのように過ごしていますか。部屋にこもってゲーム、読書、それとも新学期に備えて勉強しているでしょうか。気がつけば芝生園地の周りでも、春の訪れを告げる花々が咲きはじめました。道端に咲く瑠璃色のオオイヌノフグリやタンポポ、真っ白なモクレンの花が目を楽しませてくれます。「春来たりなば」、そう願いながら、いまは新しい季節に花開く力をそれぞれが蓄える時なのかもしれません。

  いぬふぐり星のまたたく如くなり  虚子
  木蓮のつぼみのひかり立ちそろふ  長谷川素逝

草薙キャンパスに咲くオオイヌノフグリ

2020年3月4日


「おいしい」産学連携事業

令和初めての成人式を迎えたみなさん、おめでとうございます。静岡市では3日に成人式を行いましたが、故郷で幼馴染と一緒に祝った人も多いのではないでしょうか。
今回は「おいしい」産学連携についてお話ししましょう。
丸子にある元祖丁子屋を知っていますか。とろろ汁で有名なお店です。この店がいま、「むかご羊羹」と「丁子屋焼き」を売り出し中です。どちらも、自然薯(ヤマノイモ)の茎が膨らんで大きくなった豆のような形の「むかご」を利用した菓子です。
むかご羊羹は丁子屋が企画した「自然薯むかご羊羹プロジェクト」から誕生したもので、本学食品栄養科学部三好規之准教授が有効成分の分析で協力しました。丁子屋焼きは皮の生地に自然薯、餡にむかごを使用したものです。こちらは本学経営情報学部の岩崎ゼミが静岡市と連携して実施する「大学生によるお店コンサルティング事業」、いわゆる大コン事業の成果として誕生しました。「県大コラボスイーツ」として学生ホール売店でも販売しています。おやつやお土産にいかがでしょうか。
丸子宿の丁子屋は慶長元年(1596年)に開業した老舗です。歌川広重が描いた浮世絵木版画「東海道五拾三次」(保永堂版)の「鞠子」に「名物とろろ汁」の店として描かれています。今、本学の草薙図書館では、アメリカのボストン美術館が所蔵する広重の「東海道五拾三次」を原寸大で再現し、絵巻化した作品を展示しています。これはトッパン・フォームズ株式会社が精細なデジタル印刷技術で再現したもので、昨年、同社より寄贈を受けました。ぜひご覧になってください。

  梅若菜丸子の宿のとろろ汁  芭蕉

むかご羊羹

丁子屋焼き

2020年1月14日


SDGs宣言

10月から11月にかけて、即位礼正殿の儀、大嘗祭、大饗の儀に招かれて参内しました。令和へと元号が変わって半年、いよいよ新しい時代に移ったことを実感しています。
令和はどんな時代になるのでしょうか。明治・大正・昭和は、工業化によって経済成長に邁進する時代でした。しかし1970年代になるとその負の側面があらわになり、核戦争、経済格差、エネルギー・資源の枯渇、環境悪化の懸念が、人々の意識を大きく変えました。80年代末に始まる平成は、「持続可能な開発」が模索される時代となりました。そして今、令和の時代は産業文明に代わる新しい文明を築いていく過程に入ったと言ってよいでしょう。
2015年の国連サミットでは2030年までの国際目標として、「持続可能な世界」を実現するために持続可能な開発目標(SDGs)を定めました。貧困、飢餓をなくし、健康と福祉、質の高い教育、ジェンダー平等の実現などを含む、17の目標、169のターゲットから構成され、地球上の誰一人も取り残さないことを誓っています。
静岡県立大学は、11月28日に「SDGs宣言」を発表しました。学生、教職員の一人ひとりがそれぞれに目標をもって教育、研究、大学運営に携わること、SDGsによって地域をつくり、SDGsによって地域や大学をむすび、SDGsによって未来へつなぐことを目指します。間もなく「県大SDGsイニシアティブ」を立ち上げる計画です。キャンパスのすべてのみなさんの積極的な参加を期待しています。

季節は秋から冬へ移ってきました。今年はインフルエンザの流行が早いようです。あたたかい緑茶をいただいて、抵抗力をつけましょう。

  茶の花の中行く旅や左富士  正岡子規

「静岡県立大学 SDGs宣言について」ページへ

茶の花(本学薬草園にて)

2019年11月29日


大学連携をめぐる最近の動き

暑い夏が終わって、後期を迎えました。世界中が「気候危機」と呼ばれるような異常事態に見舞われましたが、さすがに彼岸花が咲き始める頃からはほっと息をつけるようになりました。
この夏は、大学のあり方をめぐっていくつもの動きがありました。その一つに、たびたび報道でもとりあげられた大学間連携があります。18歳人口の減少、経営安定に対応するとともに、大学同士が手を組んで地域活性化人材の育成に取り組もうという趣旨で、さまざまな試みが始まっています。隣の山梨県では5月に、山梨県立大学と山梨大学が連携協力に関する協定を結びました。静岡県では、静岡大学と浜松医科大学が国立大学同士で法人統合・大学再編を目指すことが決まっています。浜松には新しい大学がつくられますが、静岡キャンパスは同じ法人のもう一つの大学として独立し、公立大学や私立大学とともに新しいタイプの連携推進法人をつくる計画と聞きます。
県内私立大学も独自に連携を模索しています。2つの大学が文部科学省の私学助成(プラットフォーム形成)を得て、それぞれに他大学、行政、産業界を含めた連携事業を展開しています。もちろん、本学も重要な構成員としていずれの事業にも参画しています。
県は農林環境専門職大学と社会健康医学大学院大学(仮称)という二つの新しい高等教育機関の開設を予定しています。県内の高等教育機関の連携に対して、地域の公立大学である本学は、責任をもち主体的に関わっていく必要があります。私は、本学でもふじのくに地域・大学コンソーシアムでもこれまで続けてきた地域創生の取組を拡張し、「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成を共通の目標に据えてはどうかと考えています。教職員、学生、卒業生のみなさんはどのようにお考えでしょうか。ご意見を聞かせてください。

  コスモスの押しよせてゐる厨口(くりやぐち) 清崎敏郎

  作者は私の高校時代の恩師です。

コスモス

2019年10月4日


続・変わる就活ルール

暦の上で二十四節気の入梅は6月11日でしたが、今年は近畿から九州北部にかけての西日本では6月26日と、平年より20日前後も遅い梅雨入りとなりました。梅雨まっただ中の季節といえば、就活の選考期間にあたります。今まさに面接などで駆け回っている学生も多いのではないでしょうか。就活ルールでは、6月1日を選考解禁日としていますが、売り手市場の今日では、実態はもっと早く動いていて、現時点で「内々定」を受けた学生も多いとのことです。
こうした実態を反映して、経団連は現行の新卒一括採用方式を改めることを提案しました。経団連と国公私立大学の代表者たちが産学協議会を設けて意見交換を行ってきましたが、4月下旬に、新卒一括採用に加えて、個々の能力を重視した通年型のジョブ型採用など、採用形態の多様化を進めることで合意しました。
産学協議会では、これからやってくるSociety 5.0を支える人材育成、グローバル化に対応した教育、職業観を養うインターンシップの方法、地域活性化人材の養成などの課題について、今後、具体的に詰めていく予定になっています。経団連は、大学教育を尊重して、成績評価は学位取得に至る全体を評価すること、卒業要件を厳格にすることなどの提案をしています。私も公立大学の代表として協議会に参加しています。教員はもとより、当事者の学生諸君から意見を承りたいと思います。

  睡蓮の池まづ梅雨に入りにけり  久保田万太郎

睡蓮

2019年7月1日


令和考

5月1日に新天皇が即位され、元号が平成から令和に替わりました。初めて、国書である『万葉集』が出典となったことをめぐって、にぎやかに議論が交わされています。しかし出典が国書なのか、それとも漢籍の影響を受けているかの詮索よりも、私は別の点から感想を述べさせていただきます。
『万葉集』巻五の該当箇所「梅花の歌三十二首 併せて序」を調べてみると、しばしば引用される「初春令月、気淑風和」の後に、「梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香」とあります。すなわち、「梅」を鏡の前で化粧をする女性に、「蘭」を着飾った衣から良い香りを漂わせる女性に擬しているのです。たしかに優雅な雰囲気が漂ってきます。これが奈良朝の美意識というものなのでしょう。
風にはらはらとこぼれる梅花の花言葉は「高潔」、「忠実」、「忍耐」。蘭(春蘭)の花言葉は「気品」、「清純」、「控えめな美」だそうです。しかしながら梅や蘭の花言葉が、そのまま令和の女性に求められる人間像だというわけではないでしょう。女性の活躍が期待され、ジェンダー平等の実現が求められている21世紀の日本にふさわしい女性像とはいったいどのようなものでしょうか。寒さに耐え、他に先駆けていち早く咲く梅の健気さと進取の精神、春蘭の気品あるたたずまい――そのようなところに、求める人間像を見出したいものです。
正月飾りに求めた鉢植えの梅の木に、青梅がいくつか育っています。梅雨入りも近いのでしょう。

  青梅に眉あつめたる美人哉  蕪村

正月飾りに求めた鉢植えの梅の木

2019年5月24日


変わる就活ルール

満開のソメイヨシノが一段と華やかに演出するなか、4月9日に平成最後の入学式が執り行われ、学部、短大部、大学院合わせて945名の新入生を迎えました。
在学生も含めて、学生諸君が卒業するのは令和の時代になります。令和になって変わるものの一つに、就活ルールが予想されています。問題の発端は、経団連の中西宏明会長が、2020年卒業生を最後に現行のルールの廃止を表明したことでした。今年1月には経団連に「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」が設置され、大学との意見交換が続けられています。私も協議会のメンバーに加わっていますが、産業界がどのような新しい就活ルールを求めてくるかはまだわかりません。
しかしルールがどのようになろうとも、学生諸君が気をつけるべきは近未来にどのような仕事が待っているかではないでしょうか。AIの普及によって、なくなる仕事のあることが指摘されています。消える仕事がある一方、新しく生まれる仕事もあるはずです。早い時期から将来の目標を定めて、どのような生き方をしたいのか考えてください。日々の勉学に励むとともに、学生生活を通じて、考え抜く力、実行力、チームワーク力など、「社会人基礎力」と呼ばれる力を身につけてください。「そなえよつねに」です。
※ボーイスカウトのモットー

  不二ひとつうづみ残して若葉かな  蕪村

本学の芝生園地からの眺め

2019年4月17日


SMOKE-FREE CAMPUS宣言

この4月から、本学敷地内が全面禁煙となります。2002年に屋内禁煙に踏み切って以来、徐々に屋外喫煙所を減らしてきましたが、小鹿キャンパスに続いて、草薙キャンパスでも全面禁煙に移行することになりました。
昨年、望まない受動喫煙を防止する目的で健康増進法が改正され、2020年4月から施行されるのが大きな理由です。学校などにはこの7月から適用されます。さらに本学では、学生が喫煙習慣をもつのを防ぐこと、健康長寿社会の実現を目指す教育研究拠点であること、医療従事者を養成する大学であることから、一足早く全面禁煙に踏み切りました。
日本人とタバコの付き合いは、最初のグローバル化が進んだ16世紀に始まりました。江戸時代にはお茶と並んで、タバコは男女、階級の上下の区別なく愛されて、独自の喫煙文化を作りました。しかし禁煙もまた平成の文化です。愛煙家の皆様には不便をかけますが、ご理解ください。なかなか禁煙に踏み切れないという方は、健康増進室に相談してください。お手伝いします。
二十四節気の雨水が過ぎて、梅園では遅咲きのピーク。雨で潤った土の匂いに乗って、花の香りが漂ってきます。彩りに溢れる季節になっていきますが、季節の移ろいを香りで楽しんではいかがでしょうか。

  古庭の古き匂ひや沈丁花  正岡子規

草薙キャンパスで春に見頃を迎えるモクレン

2019年2月27日


成人の日にあたって

成人式を迎えたみなさん、おめでとうございます。
総務省の発表によると、今年1月1日現在、20歳の新成人は125万人いるそうです。以前は小正月の1月15日に固定されていた成人の日は、2000年から1月第2月曜日となりました。今年は14日です。静岡市では幼馴染と一緒に祝えるようにと、1月3日に成人式を挙行しました。地域によっては夏のお盆の時期に行うところもあるようです。
日本では2016年に18歳から選挙権が行使できるようになりました。また昨年、民法の一部が改正されて、これまで20歳であった「成年」の規定が18歳になりました(施行は2022年)。ただし飲酒、喫煙はいままで通り20歳未満の者には認められていません。少年法の適用年齢も「20歳未満」と、いまのところ変わっていません。成年といっても、幅があるのですね。
昔からどの社会でも成年式または成人式は、子どもを一人前のおとなとして認め、社会の一員として迎え入れる大事な通過儀礼でした。「草薙の剣」で静岡との関係が深いヤマトタケルの東西平定の物語(『日本書紀』)も、成年式を終えた若き勇者の通過儀礼の試練を描いたものと解釈されているそうです。
成人となるとさまざまな権利を付与されますが、同時におとなとして責任が問われることになります。どうぞ成年として自覚をもち、行動を自重していただきたい。それと同時に、みなさんがそれぞれに人生100年の目的を掲げ、目標を達成しているかどうか、点検する機会としてはいかがでしょうか。

  水かへて水仙影を正しけり  日野草城

学長室に飾られた水仙

2019年1月9日


一年の終わりに未来を考える

この秋、一冊の本を読みました。イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの『ホモ・デウス―テクノロジーとサピエンスの未来』です。ハラリは、人類(ホモ・サピエンス)は、遺伝子工学やAIなどの技術によって高い知能と大きな力を持つようになり、創造者=神の領域に近づくだろう、それがホモ・デウスであるというのです。しかしそのような未来社会では、一握りの超人に対して、大多数の人々は機械やAIに仕事を奪われて「無用者階級」になるだろうと警告しています。
そうならないようにするには、生涯を通じて学び続けて自己を刷新し、変化を前向きに受け入れていくこと、そうして強靭な精神力と心の知能指数(EQ)を涵養(かんよう)しなければならない、とある雑誌のインタビューで答えています。
去る11月26日に、中央教育審議会は「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」と題する答申を文科大臣に提出しました。新聞報道ではもっぱら18歳人口減少と大学間の連携、統合の問題が取り上げられていましたが、もっと大事なことは、今年生まれた子供が大学を卒業する頃の2040年をどのように捉えているかという点ではないでしょうか。
そこで描かれるのは、第4次産業革命による新しい時代(Society 5.0)への移行、グローバリズムの拡大と地方創生の実現、SDGs(持続可能な開発目標)の達成、人生100年の時代とされています。ハラリの説く人類の未来図に通じるものではないでしょうか。答申では、これから起きる大きな変革を理解し、実践する能力を持った人材の育成が求められています。
2040年はずいぶん遠い先のように思えますが、学生諸君にとっては働き盛りの人生の半ばです。大学教育も大きく変わっていく必要があります。時は平成から平成後への変わり目。年末・年始の冬休みに未来のことを考えてみませんか。

  冬の日のうちかがやきて眉にあり    虚子

未来へ向かって!

2018年12月13日


本庶佑先生、ノーベル賞受賞

うれしいニュースが届きました。本学の大学法人顧問で、昨年4月まで5年間、理事長を務めてくださった本庶佑先生が、がん免疫療法の開発で今年のノーベル生理学・医学賞を受賞されることが決まりました。毎年、金木犀の香りが漂う頃になると、今年はどうだろうかと、心を躍らせてきました。今年も、10月1日の夕方になると、テレビに釘付けになって、吉報を待っていました。受賞が伝えられると、胸をなでおろすとともに、我が事のようにうれしく、県立大学の一員として誇りに思いました。
本学の2年生以上の学生諸君は、入学式で本庶先生から祝辞をいただいており、創立30周年記念事業の講演を聴いた人もいるでしょう。平易な言葉で語られるにもかかわらず、いつも深い洞察に富む内容です。「教科書に書いてあることを信じてはいけない」という言葉はよく知られていますが、わかりきったと思われることにも、自分の頭で、納得がいくまで考えなさいというメッセージが込められています。
本庶先生は、時代を変える研究には6つの「C」が必要だと説いています。好奇心(Curiosity)、勇気(Courage)、挑戦(Challenge)、確信(Confidence)、集中(Concentration)、そして継続(Continuity)です。これからの時代を切り開く学生諸君には、どの分野に進もうとも、しっかりとこれら6つの「C」を身につけてもらいたいと願っています。

2016年11月10日
京都賞授賞式のパーティーにて
(転載禁止)

2018年10月18日


天災の文明学

9月8日は二十四節季の「白露」でした。日の入りが早くなり、朝夕、だいぶしのぎやすくなったように感じられます。初秋を彩った白や赤紫のムクゲの花も、そろそろ主役交代の時期のようです。
それにしてもこの夏は暑かったですね。日本中が記録的な猛暑に見舞われました。その上、次々と台風が発生し、各地に洪水と暴風の被害をもたらしました。追い打ちをかけるように、9月6日の未明には最大震度7を記録する「北海道胆振東部地震」が発生、大停電が起き、北海道全体が「ブラックアウト」の状態となりました。ほぼ同時に、関西空港と新千歳空港が機能停止に追い込まれましたが、インバウンドの増加によって観光立国を目指す日本にとって、なんとも心細い話です。
「天災は忘れた頃にやってくる」――物理学者で随筆の名手であった寺田寅彦の言葉です。弟子であった中谷(なかや)宇吉郎によって広く知られるようになった言葉ですが、今年、天災は忘れる暇もないうちに繰り返し、追い打ちをかけてやって来ました。
台風や地震など自然界の変動は人がいてもいなくても起きるもので、いわば生命体としての地球の呼吸、鼓動、身ぶるいのようなもの。人がいるからそれが「災害」となると考えるべきでしょう。土木技術に依存する工学的適応だけで対応しきれるものではありません。災害が起きにくい地形を居住地として選ぶ、安全な避難行動をとるなど、生態学的な適応が求められているのです。
地殻変動が盛んでモンスーン気候の日本列島にとって、「天災」である噴火、地滑り、洪水は、本来豊かな大地を育み、恵みをもたらしてくれるものでもありました。9月は防災月間です。自然との付き合い方を文明の観点から見直してはどうでしょうか。
結びに、この度の自然災害等により被災された方々に、心よりお見舞い申し上げますとともに、被災された皆さまの生活が、1日も早く復旧することをお祈り申し上げます。

お見舞い申し上げます

2018年9月12日


地球科学から見る働き方改革

  日本海は若き海なり夏薊(なつあざみ)  尾池和夫

去る7月11日、尾池理事長の「日本列島の自然〜地球科学から見る静岡〜」と題する特別講演が行われました。
地球科学者の立場から「2038年巨大地震説」について説明がありましたが、この講演で目を開かされたのは、日本に四季があり、緯度が低いにもかかわらず豪雪に見舞われるという気候の特徴が、地殻変動によって日本海が生まれたためだという指摘でした。微妙な季節の移ろいを、季語に託して十七文字で表現する俳句文学が成立した背景には、かくも壮大な地球の歴史があったのですね。
私がその通り、と心の中で拍手したのは、明治になって太陽太陰暦、いわゆる旧暦と不定時法を捨てたことを嘆かれたことです。確かに近代化にとって、年により閏月(うるうづき)がある旧暦や、毎日、1時間の長さが変わる不定時法は不便かもしれません。しかし月の満ち欠けを重んじる旧暦は、大潮の日がすぐわかるので釣り人には便利ですし、女性の間でルナ・カレンダーは人気があります。日の出と日の入りを基準とする不定時法は不便なようですが、人の生理には合っているように思えます。
すったもんだの末、6月の国会で一連の「働き方改革法案」が可決されました。国会ではもっぱら労働時間規制が問題とされたのですが、季節によって働き方を自由に変えることができるような改革こそ、季節の移ろいを楽しみ、自然と親しむ日本文化の伝統を重んじる施策なのではないでしょうか。

7月11日に開催された尾池理事長特別講演

2018年7月20日


ジェンダー・ギャップ

去る5月23日に「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」が公布・施行されました。国政、地方議会における選挙で、できる限り男女の候補者数が均等になることを目指して、政治分野における男女共同参画を推進しようというものです。
世界経済フォーラムの調査によると、2017年に日本の男女平等ランキングは144カ国中、114位と非常に低いものでした。さまざまな項目の中で一番低かったのが国会議員数。このたび公布された法律は、その解消を目指すものです。教育面では、読み書き能力や、初等・中等教育で男女間の不平等は見られませんが、高等教育、教授・専門職、経営管理職で日本の評価は低くなっています。
本学では日本科学技術振興財団(JST)の資金を得て、2年にわたり「女子中高生の理系進路支援選択支援プログラム 夏の体験実験 in 県大」に取り組んできました。中1から高1までを対象にしたものなので、成果が現れるのはこれからですが、「リケジョ」の入学を大いに期待しています。
男女雇用機会均等法の公布(1985年6月1日)にちなんで、6月は男女雇用機会均等月間として、さまざまな啓蒙活動が実施されています。進路の選択、雇用や賃金格差、労働と家庭生活のバランス、ハラスメントなど、ジェンダー・ギャップの解消に向けて、身近な問題から意識や制度の改革を進めましょう。

静岡市の花、タチアオイ(立葵)が沿道に美しいこの頃です。タチアオイの花言葉に「気高く威厳に満ちた美」があります。天に向かって花を咲かせていくその凜としたたたずまいに、古人は理想を目指す高い志を見たといいます。

  咲きのぼる梅雨の晴れ間の葵かな   夏目成美(江戸時代の俳人)

本格的な夏の訪れも、もうすぐですね。

タチアオイ

2018年6月14日


五月の風

ゴールデン・ウィークに群馬県の浅間高原を訪ねました。山の遅い春は桜、林檎、石楠花、山吹、水仙と賑やかな花の饗宴です。新緑の森を吹きわたる風に癒されて下界に戻りました。
ところが連休明けとともに、奄美で、続いて沖縄で梅雨入りです。静岡の空も、どんよりと雲が垂れ込めて鬱陶しい気分です。思わず「五月病」ということばを思い浮かべました。
体がだるく、なんとなく気分が滅入る、人と会うのが億劫(おっくう)だ、などの症状が感じられたら、それは五月病かもしれません。新しい環境で勉強や仕事を始めてひと月たった頃に、それまでの緊張が緩み、疲れがどっと吹き出すようです。梅雨寒の天気や、反対に夏のような日差しに交互に見舞われるのも、原因かもしれません。
そんな時は、健康支援センター相談室を利用してください。私にも経験がありますが、人に話すことで心の重荷が軽くなるものです。また自分に厳しくなりすぎず、真面目になりすぎないことも秘訣のように思います。
五月の風は薫風。晴れた日には芝生園地につづく緑の中を歩くのもよいかも知れません。季節の変わり目を乗り切って、元気に夏を迎えましょう。

北軽井沢から望む浅間山

春祭り風景

2018年5月10日


欅若葉の季節

あっという間に桜の季節も過ぎ、学長室の窓から見えるケヤキの梢が、若緑色に輝くようになりました。
入学式に臨んだ新入生諸君、大学生になった気分はいかがですか? いよいよ自分のやりたい勉強に熱中できると、これからはじまる授業に胸を躍らせていることと思います。
在校生諸君は、それぞれ本格的な専門教育に進み、研究室やゼミナールで研究を深めようと張り切っていることでしょう。来年、卒業を予定している諸君は、進路に迷ったり、「シューカツ」に忙しかったりしているかもしれません。
4月はこれからはじまる大学暦の出発点です。一旦立ち止まって大きく息を吸いましょう。そしてこれからの1年の過ごし方、大学での過ごし方について、しっかりと計画を立ててください。何か一つでもいいから、1年の目標を決めてはどうでしょうか。
私の目標は、できるだけ多くの学生諸君と話をすることです。学内で見かけたら気軽に声をかけてください。一緒に力を合わせて、よりよいキャンパスをつくっていきましょう。

けやき

2018年4月9日

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