お気に入り度★★★★(お薦め度★★★★)
前々から読みたいと思っていた作品。
4/4まで実施しているDLSite講談社半額セールを利用して購入。
くっっそ面白かった!
ちなみに、Amazon Kindleで1巻が無料で読めるのだが、1巻だけでこの作品の凄さは十分わかると思うのでぜひ試しに読んでほしい。
capetaやたいようのマキバオーが好きな人なら絶対面白い作品
本作は、後発の人間が逆転して勝利をつかむための「圧倒的成長」を描いた作品である。
そういう意味で、私が大好きな骨しゃぶり(id:honeshabri)さんにぜひぜひ読んでもらいたいと思う。
本作品の主人公「いのり」ちゃんは劣等感の塊である。
物語スタート地点では何にもできない子として扱われている。
もの覚えが悪く、クラスでもバカにされている。
いつもできる姉と比べられ、親からも否定され続け、自分に自信が持てないままだった。
そんな彼女が唯一自信をもって好きと言えるのがスケートであった。
しかし、できる姉でさえスケートで挫折したのを見た親は、
「できない妹」であるいのりには絶対無理だといって最初からスカートをやることを認めようとしなかった
圧倒的成長のための要素① 自分にはこれしかないという強い強い動機
スケートは厳しい世界なので、5歳くらいから始めている子が多い。
いのりは家庭の事情で小学五年生になるまでスケートを始められなかった。
後発のスタートで、周りと比べてものすごく出遅れスタートしていることもあり何度も周りとの差に愕然として自信を何度も失う。
それでもうまくなりたい、スケートをやりたいという気持ちだけは全く衰えない
圧倒的成長のための要素② 高い目標とそれを支えてくれるコーチ
いのりはとことん弱気で、周りから嫌味を言われても反論することすらできないのだが
どれだけバカにされてもスケートのことだけは譲れない。
誰よりもうまくなりたい、とコーチに打ち明ける。
このコーチ、実はアイスダンスで日本選手権のファイナリストになった人物であり、経済的事情で挫折したという経緯がある。
そのため、自分の体験から、彼女に真摯なアドバイスをしてくれる。
とはいえ、この2つまでであれば、他の人たちも同じ条件である。ここまではトッププレイヤー間では最低条件だ。
圧倒的成長のための条件③ 必要なもの以外をそぎ落とす「選択」
他の人と違って出遅れたスタート。
じかんをかけてゆっくりと成長していくでは間に合わない。
彼女に必要なのは圧倒的成長である。
ここからが本作品の面白いところで、いのりは「どういう練習をするか」で常に選択を求められることになる。
まんべんなく成長という悠長なことをしていられない以上
本当に自分にとって必要なものを選び、特化していく必要がある。
そして、コーチはあえてその選択を主人公にさせる。
練習段階から遊び(冗長)要素を切り捨てて勝利に特化した選択を行い勝利をもぎ取っていく。
研ぎ澄まされたような印象を与える物語になっている。
大会に参加するようになると、ライバルが出てくるが
ライバルは王道を行くまっすぐな性格でこれまたすごく魅力的である。
この二人が真剣に競い合ってる光景を読んでると自然と心が盛り上がってくる。
冒頭でも述べたように、自然と私が大好きな「capeta」や「たいようのマキバオー」を思い出す内容となっているので
ここら辺の作品が好きな人は、絶対に読んで損はしないと思う。
フィギュアスケートの演技の描写もすごく美しくてとても読みごたえがある作品
物語がどこまで進むかわからないのでまだ★4ですが、完結までいけば★5クラスの作品だと思ってるのでこの先も期待してます!
めちゃくちゃ面白いのでぜひ読んでみてください。