「進撃の巨人」29巻まで読んだのでざっくり感想 - 頭の上にミカンをのせる

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「進撃の巨人」29巻まで読んだのでざっくり感想

shingeki.net
当然読んだし29巻も買いました。
私は25巻で読むの止まってたから、この企画は大変ありがたかったです。

以下は読んだ人にしかわからないざっくり感想を書きます。皆もまず自分でこの作品を読んでみてください

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進撃の巨人 26巻



エレンという中空構造について

進撃の巨人は部隊設計からして中空構造になっているが、人間関係においてもエレンという中心人物が考えが定まらなかったり、何を考えているのかわからなくて中空構造になっていると感じる。

essa.hatenablog.com

「社会のOSとしての神話」という話ですね。OSは起動時にしか自分の存在をアピールするメッセージを出しませんが、マシンが動いている間中、常に裏で稼動しています。同じように、神話は建国というはるかな過去の話のようで、現代の社会の背後で動いていて、アプリケーションプログラムのような今動いている目に見えるシステムの制約となっている

エレンはもともとは英雄志願の少年だった。実際6巻くらいまでは物語の主人公として頑張ってた。

しかしそのあとは完全に「中空構造の真ん中」にいて、己はひたすら迷い続け、その迷いが周りを振り回すという非常に厄介な存在になっている。特に14巻~21巻まではそれが顕著で、物語のカギではあるもののどちらかというととらわれのヒロイン。ピーチ姫とかゼルダ姫みたいな存在だよね。しょっちゅう攫われては調査兵団がかなりの犠牲を払って助けるということをやってた。

あくまでエレンは「構造の中心」であり、実際の主人公はエレン以外の調査兵団。特にエルヴィンでありアルミンなんだよね。エレンはあくまでキーパーソンであって主人公とは言えない状態だった。

21巻からはマーレ国編が始まる。エレンはむしろ悪役として扱われた。タイバー家によって露骨に悪の象徴として世界に紹介されている。

25巻からパラディ島編に部隊が戻ると、間違いなく物語の中心にはいるのだが、読者からはエレンが何を考えてるのかよくわからない。むしろジークと調査兵団のにらみ合いがメインとなって話が進む。エレンは長い自身は間牢に閉じ込められているし、牢から脱出した後も単独行動をとっている。世界の中心となる存在でありながら、どこかメインのシナリオから外れたところを歩いている印象だ。


私は一読者として、いまだにエレンという存在自体をつかみかねている。

世界の謎はだいたいすべて明らかになってきた。「始祖の巨人」と「王家の血」の両方を合わせて「地鳴らし」を発動させる条件も整った。もはや「エレンの意思次第で世界の行く末がかわる」という状態である。にも関わらず、むしろだからこそ、エレンという存在の胸の内は誰にも分らないように物語はいよいよ終盤を迎えている。


グリシャはジークくんにひどいことをしたよね。おかげでジークくんは「12人の死にたい子供たち」みたいなことになってしまった

ジーク…君は…両親からひどいことをされた。
君の両親は自分たちの向こう見ずな計画のために君を利用した。
7歳の君と、おじいちゃんとおばあちゃんを命の危険にさらし
勝手に期待し、勝手に見放し、ちっとも君のことを気にかけなかった…
君を……愛さなかった

…君は悪くない。君は賢くて……いい子だ。

なんだこのグッドウィルハンティング……
おかげでジーク……お前、「12人の死にたい子供たち」のアンリさんみたいになっちまったじゃねえか。
www.tyoshiki.com


ジークの目的は「エルディア人総安楽死計画」

・「地鳴らし」の能力を利用可能な状態にし、各国をけん制

・「始祖の巨人の力」を制御し、巨人の力を完全に統制した上でエルディア人が子孫を作れない状態にすることで、平和を維持しながら苦しみから解放することを目的とする。
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どうもこれが、ユミルの意志に沿っているようだ。

イレェナという人物がジークに同調し、フロックたち若手をそそのかしてパラディ島でクーデターを起こす

こいつらは、非常に有能で勤勉だが、まさに「凡庸な悪」である。
その「凡庸な悪」ぶりが非常によく描かれていて素晴らしい。


やっぱり「神」に依存してしまうようなやつはダメだな……。
「とりあえずジークやエレンに任せればすべてがうまくいく」という発想のもとで己の行為の責任もすべてエレンやジークにゆだねて、それでいて自分たちは特権的な存在であるという自覚の元非道な行為も平気で行う。まさに屑。ネットでもこういう感じのネトウヨネトサヨを見かけるけどあの人たちが無能で本当によかったと思う。

ただ、フロックはともかくとしてイレェナがここまでおいつめられたのは、それだけマーレ国でのエルディア人の扱いが地獄そのものだったからなんだろうなと。

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イレェナやフロックとの対比として、ガビは逆にパラディ島の人を理解していく

29巻では、いろんな勢力がそれぞれの思惑で一堂に会して戦っており、非常にテンションが上がる。


進撃の巨人(29) (講談社コミックス)

進撃の巨人(29) (講談社コミックス)


現状の巨人保有者

・王家の血    =ジーク(グリシャとダイナの娘)またはヒストリア(レイスがメイドに産ませた)
・グリシャの息子 =ジークとエレン

「進撃の巨人」 グリシャ→エレン
「始祖の巨人」 レイス家→エレン
「戦槌の巨人」 タイバー家→エレン
「獣の巨人」  クサヴァー→ジーク
「超大型巨人」 ベルトルド→アルミン
「鎧の巨人」  ライナー
「顎の巨人」  マルセル→ユミル→ガリア―ド
「車力の巨人」 ピーク
「女型の巨人」 アニ(凍結中)

ミカサ=アッカーマンはヒィズル国の将軍家の末裔


29巻の局面ではヒストリアやガビがまだ動いてないけれどこいつらはどう絡んでくるんだろう?