テレビCMというと大金がかかりそう…というイメージがありますよね。 実際、テレビCMを制作するのに発生する費用のことを“制作費”といいますが、具体的にどういったコストが発生するのかご存知でしょうか? そこで今回は、テレビCMの制作費について、さらに費用相場やコストダウンするためのコツについても解説していきます!
◆テレビCM制作費とは?
テレビCMを放送するには、制作費と放映料の2種類がかかります。
制作費とは、テレビCMの動画自体をつくる際にかかる費用のことを指します。費用の内訳は、企画、撮影、編集で発生する人件費と機材費、さらにテレビCMに出演するタレントの出演料などです。
どのような内容にするか、またどういったタレントを起用するかによって変動します。
たとえば、すでに撮影済みの静止画を組み合わせて作成したアニメCMや、タレントは起用せず社員が演者となって出演して作成した場合は、コストは抑えられるでしょう。
一方、海外で撮影を行ったり、有名タレントを起用したりすると費用は大きく跳ね上がります。
◆CM制作費の内訳&費用相場は?
制作費の内訳は、主に企画・プランニング費、出演料、撮影料、編集費の4つがあげられます。
テレビ費用の内訳 |
費用相場 |
企画、プランニング費 |
10万円から30万円 |
出演料 |
タレントや契約期間によって変動 |
撮影料 |
20万円~ |
編集費 |
15万円から40万円 |
それぞれいったいどのような内容なのか、詳しく見ていきましょう。
・企画、プランニング費
テレビCMを制作する際には、詳細なプランニングが必要です。
ターゲット層や予算配分などはもちろん、テレビCMを通してアピールしたいこと、そして競合他社とどのように差別化を図っていくか…などを考慮しながら細かく計画を立て、CM全体の構成を決めていきます。
CMの構成が決まり次第、撮影場所を決めてスケジュールを作成します。さらに出演者のアサインや、音源などの準備も行います。
なお、費用の相場は10万円から30万円です。
・出演料
タレントを起用する場合、出演料がかかります。出演料は期限を設けて契約し、決定されることが多いです。基本は1クール(3か月)ごとの契約と言われています。
起用するタレントや契約期間によって費用は異なります。
著名なタレントを起用するともちろんコストはあがりますが、その分商品が広く認知されるきっかけになったり、イメージアップにつながったりするでしょう。予算や商品のイメージを考慮しながら慎重に選ぶことをおすすめします。
・撮影料
撮影料は、CMの素材を撮影する際にかかる費用のことです。
費用の相場は20万円~で、費用の内訳はスタジオ代や撮影クルーの人件費、使用する機材の料金などです。
内容によってはさらにコストが発生します。たとえば高スペックのカメラや撮影用ドローンを使うとクオリティの高い映像が撮れますが、その分コストはかさみます。また海外で撮影をするなど、撮影のロケーション次第でも費用は変動します。
アニメーションやCG、イラストを用いたCMを作成する場合は出演料や撮影費はかかりませんが、その代わりに素材をつくるのに必要なコストが発生しますので注意しましょう。
・編集費
撮影した映像はそのまま放送するのではなく、編集が必要です。
この編集を行う際にかかる費用を、編集費といいます。費用の相場は15万円から40万円です。
編集とは、撮影した素材の中から不要な部分をカットし、つなぎ合わせていく作業です。このときテロップや字幕も追加します。
編集が終わると、映像にナレーションや効果音、BGMなどをつけていきます。
さらにJASRAC(日本音楽著作権協会)が管理する楽曲などを使用すると、その利用料も発生することを覚えておきましょう。
では、制作費全体の費用相場はどのくらいなのでしょうか?
テレビCMの制作は、その内容によって金額が変動します。有名なタレントを起用したり、撮影機材にこだわったりして高額になることもあれば、必要最低限のコストだけで制作することもできます。
それでは、制作費の相場についてパターン別にチェックしていきましょう。
・スタンダードなCM
スタンダードなCM制作でかかる費用の相場は100万~500万円です。撮影から制作会社に依頼して制作します。
すでに撮影済みの素材を活用したり、タレントではなく社員が出演し出演料をカットしたりすると、100万円台で納まることも。
・ハイクオリティなCM
一方、制作に3か月以上かかるようなハイクオリティなCM制作の相場は500万円以上と言われています。
また撮影のロケーションにこだわる、高性能の機材を使用する、CGを利用した場合の制作費は1,000万円を超えるケースも。さらに、知名度がある有名タレントを起用すると出演料は5,000万円を超えることもあり、かなりの高額になります。
ハイクオリティなCMは、インパクトが大きく商品の認知度拡大や売り上げ増加につながるというメリットはあります。しかし、その分莫大なコストがかかりますので、予算を考慮して内容を決定するようにしましょう。
・アニメーションを使ったCM
アニメーションを活用したCMも増えていますよね。その場合にかかる制作費の相場は50万円~と言われています。
ここでもクオリティを追求するとコストは跳ね上がります。内容に応じて費用や工数が変動しますので、予算や納期と相談しながら決めましょう。
写真やイラストなどの静止画をスライドショーのように構成して、CM制作することも可能です。そこに簡単なナレーションとBGMをつけた場合、制作費は30万円~ほどとなっています。
◆制作費を安く抑えるコツ
費用をかければかけるほど、ハイクオリティのCMが完成します。しかし、予算が少ないなかでもよりクオリティの高いテレビCMを作るにはどうすればいいのでしょうか?
テレビCMの制作には企画・撮影・編集の3つの工程があります。それぞれにかかる工数が少なければ少ないほどコストダウンは可能です。
それではコストを削減しやすいポイントについてご紹介します。
・タレントを起用しない
出演料はそのタレントの知名度、契約期間などさまざまな要素を考慮して決定されます。もちろん有名なタレントを起用することで高い宣伝効果が期待できますが、その分高額な費用が発生します。
予算が少ない場合、タレントを起用せずに制作することも可能です。
たとえば、商品画像などの静止画を用いたアニメーションCMなら、出演料はもちろん撮影費も削減できます。さらに、撮影時の天候不順などもないので、制作期間がズレずにスムーズに進められるというメリットもありますよ。
しかし、なかにはアニメーションCMでは商品の訴求が難しいケースもありますよね。その場合は自社の役員や社員が出演することで、出演料をカットできます。
また、どうしてもタレントを起用したい場合は、無名のタレントをアサインすることで費用が抑えられる場合も。
タレントを起用する際は、基本的に1クール(3か月)ごとに契約します。契約期間が長ければ長いほど費用がかかりますので、契約期間を短く設定するというのも一つの手です。
・屋外でなくスタジオで撮影する
撮影時の悪天候など、予想外のトラブルによって撮影の費用がかさむこともあります。
たとえば、屋外での撮影を予定していたものの当日雨で実施できなくなってしまった場合、タレントの出演料や撮影場所の費用がかさんでしまうでしょう。
さらに再度撮影のスケジュールの調整や、撮影場所の許可を得る必要があったりと、いろいろと手間もかかります。
しかし、撮影をスタジオで行うなど天候などに左右されない撮影形態にすれば、余分な費用を使わずに済む可能性があります。
◆テレビCMの制作期間は?
最後に、テレビCMの制作手順について確認しましょう。
テレビCMは以下のステップで作成が行われます。
① オリエンテーション
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② 広告代理店が企画・プランニングを行い、制作会社とコンテをつくる
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③ PPM(Pre Production Meeting)
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④ 撮影
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⑤ 編集
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⑥ 納品
オリエンテーションの段階では、クライアントがマーケティング上の課題と、テレビCMの目的や狙いを広告代理店に共有します。
また、PPMとは映像撮影前に実施される最終的なミーティングのことです。クライアントはより詳細な演出コンテを確認し、撮影に向けて話し合いを行います。
編集では、クライアントは制作側が簡単に編集した仮編集の状態で一度チェックし、確認後、本編集作業に移ります。
CM制作の期間は、オリエンテーションから納品まででおよそ2か月です。ただし制作内容によって期間は異なります。
◆まとめ
今回は、テレビCMの制作費について解説してきました。最後に、重要なポイントをおさらいしましょう!
- テレビCMを放送するのに必要な費用は、制作費と放映料。
- 制作費の内訳は、主に企画・プランニング費、出演料、撮影料、編集費。
- スタンダードなCMの制作費の費用相場は100万円~。有名タレントを起用した場合は5,000万円を超える場合もある。
- アニメーションCMの制作費の相場は50万円から。
- 「タレントを起用しない」「屋外でなくスタジオで撮影する」などを行うことで、コストを削減することもできる。