本紙で紹介した「禁止看板だらけの公園」をはじめ各地の公園や保育園などで近年、「子どもがうるさい」との苦情が相次ぐ。共通するのは、子どもの声を騒音とする考え方だ。一方、のびのび遊べる環境が狭まることには懸念も強い。先日、国会では「子どもの声を騒音ではないとする法律」の必要性が話題になった。これも岸田文雄政権の掲げる異次元の少子化対策なのか。(中山岳)
◆岸田首相「考えを改めないといけない」
「例えばドイツは保育園や公園を造るとき、子どもの声は騒音だという理由で頓挫することがないよう、騒音ではないとする法律もあるそうです」。12日の衆院厚生労働委員会で、小泉進次郎氏(自民)がこう切り出した。3歳の長男を育てていることもあり、法律を評価。日本でも「子どもや育児中の人が肩身の狭い思いをしない環境」の整備を求めた。
答弁に立った岸田首相は「問題意識を共有し、子どもの声が騒音だという声に対してもわれわれは考えを改めないといけない」と歩調を合わせた。
小泉氏が挙げたドイツの法制化は、環境汚染防止を目的にした法律を指す。この法律に詳しい近畿大の石上敬子准教授(民法)は「2011年の法改正で、子どもが出す騒音を特権化したことが特徴だ」と話す。法改正では、14歳未満が出す声や音は原則として有害ではないと規定。児童保育施設や遊技施設などの騒音規制は、数値基準だけをよりどころにして判断しないとも定めた。
◆こども家庭庁「対応している事実はない」
石上氏によると、ドイツでは1970年代から、児童保育施設の騒音を巡って住民が損害賠償などを求める訴訟をたびたび起こした。施設側に寛大な判決が続いていたものの、2005年に施設の廃止につながる判決が出るなどし、社会問題に。法改正までにはこうし...
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