声優として活躍し、SFをテーマにしたエッセーや書評でも存在感を発揮する池澤春菜さん(47)。二〇二〇年から二年間は、第二十代日本SF作家クラブ会長を務め、ジャンルを盛り上げてきた。新刊『SFのSは、ステキのS+』が出たばかり。会長としての奮闘の日々を振り返りつつ、SF愛を熱く叫ぶ。
新刊の版元である早川書房(東京都)で待ち合わせた。「ご無沙汰してます」と、マスク越しでもよく通る声。三十代の記者が会うのは昨年四月のイベント以来二度目、だが声は子どもの頃から聞いていた。アニメ『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』の主人公「星馬豪」、格闘ゲームの人気キャラ「麻宮アテナ」…。声優としての芸歴は三十年近い。
SFを偏愛し、二〇一〇年から専門誌「SFマガジン」にエッセーを連載する。作家やファンが集うSF大会への参加など、主に自身の体験をつづり、新刊は書籍化第二弾。一四年から二二年までのエッセーを収録している。「連載が始まった頃は、ジャンルの外側にいる野良読者だった。SF大会に行ったこともなく、語る友達もいなかった」。SF好きの一心で飛び込み、書き続けてきた今、名実ともにSFの「中の人」となった。
新刊には作家クラブ会長に抜てきされた時の驚きや、二年間の任期の悪戦苦闘も記した。クラブはSFやファンタジーに関わる作家、翻訳家、漫画家らでつくる団体。星新一が初代会長を務め、六十年の歴史がある。二〇一七年に一般社団法人化、現在は二百人超の会員がいる。池澤さんは一代前の会長の作家林譲治さん(60)に会長就任を打診されて承諾。女性会長は歴代三人目だった。
就任当初、声優としてのイメージが先行していること、若さ、性別などを理由に侮る声もあったという。クラブ内外で<客寄せパンダ>と言われたと明かす。「パンダがいるから他の動物のえさ代を稼げるのに。それに(ジャイアント)パンダはクマ科。いざとなったら…」と腕組みをして、にやり。冗談め...
残り 812/1623 文字
「東京新聞デジタル」スタート
この記事は会員限定です。
- 有料会員に登録すると
- 会員向け記事が読み放題
- 記事にコメントが書ける
- 紙面ビューアーが読める(プレミアム会員)
※宅配(紙)をご購読されている方は、お得な宅配プレミアムプラン(紙の購読料+300円)がオススメです。
おすすめ情報
コメントを書く
有料デジタル会員に登録してコメントを書く。(既に会員の方)ログインする。