高校進路ご担当先生・保護者様向け情報
新型コロナウイルスの影響により、高校生の民間企業募集開始が9月から10月スタートに変更となり、就職をご担当される先生におかれましては、10月にピークを迎える「公務員の面接試験対策」と「民間企業募集開始」の対応にお忙しくなる最中と存じます。
生徒様の中には、民間企業の「採用人数の減少」や「給料減少(または失業)」などのニュースが流れ、また厚生労働省からは「一般職業紹介状況(5月分)」についてのリリース(2020年6月30日公表)で、公共職業安定所(ハローワーク)における5月の新規求人が前年同月と比較すると32.1%減となるなど、就職に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。このような時代背景において、「安定」を求める方が「公務員」に注目することは必然と言えるでしょう。つまり、公務員の合格を目指すライバルは例年以上になり、競争が激しくなる傾向にあるということです。近年の公務員試験においては『人物重視』の時代であることは間違いなく、2次試験の出来次第で逆転合格(または逆転不合格…)となるケースもあり得ます。
そこで今までに弊社HPでご紹介してまいりました2次試験対策に関する資料を基に、面接試験対策に必ず役立つ対策法をおまとめいたしました。公務員を目指す生徒様にご活用していただける内容になっておりますので、ご一読いただき、ご指導にお役立ていただければ幸いです。(新型コロナウイルスの影響により集団面接や集団討論を中止する公務員試験が出てきているため、今回は個別面接をメインにご紹介させていただきます。)
弊社HPにおいて、2次試験対策に関わる様々なタイトルをご紹介してまいりました。その数は12タイトル!
面接試験においては、すべての動作が評価対象となりますが、最終合格を勝ちとるためには、面接マナーをしっかり身に付けること、そして、自信を持って堂々と受け答えをすることが一番大切だと考えます。また今年は、新型コロナウイルスの影響から“オンライン面接”が導入される可能性もあるため、好印象を与える表情の作り方の練習をする必要があります。
【お辞儀の仕方】
お辞儀には3種類あり、場面に応じて使い分けます。お辞儀は腰から上体を倒すようにします。
お辞儀の際の角度や姿勢はもちろん、身体を倒すスピードや身体を戻すスピード、目線、表情にもその人らしさが表れます。高校生らしい爽やかな印象が与えられるよう、細かいところまで、しっかりとご指導ください。
【姿勢と歩き方・立ち方】
姿勢や歩き方・立ち方は、面接官に対する敬意や自分のやる気の有無を感じさせます。はつらつとした美しい姿勢と歩き方・立ち方が大切です。背筋・首筋を伸ばし、胸を張り、真っ直ぐに立ちます。顔はうつむかずに前を向き、腕の付け根から腕を軽く動かしながら歩きます。歩幅や歩くスピードにも気を配るようご指導ください。
警察官などの公安職関係の面接試験では、事務職関係の面接試験より、動作の機敏性が見られます。きびきびとした動作、直立したときや歩くときに指先までしっかり伸びているか注意してください。
【座った姿勢】
但し、座った時の手の位置については、絶対的な正解はなく、例えば公安職の女性の場合、男性同様の位置(軽くにぎりこぶしを作り膝頭の付け根の中間に置くこと)が望ましいといったケースもあります。面接中はもちろん、控室でも気をつけるようご指導ください。また、椅子から立つ際に椅子がずれてしまった場合は、きちんと直してからドアの方へ進みましょう。次の受験者への気配りが好印象を与えます。
これらは読むと“あたり前”と思われる方もいらっしゃるかもしませんが、“あたり前”が一番重要です。これまでの話は、いわば「第一印象」といえます。その「第一印象」の大半は【視覚(見た目)】で決まってしまい、これに【聴覚(声のトーンや話し方)】が加わることで印象の90%以上が決まってしまいます。きちんとした面接マナーで、笑顔で元気よく清潔感、爽やかさ(「視覚」「聴覚」から与える印象)があれば、実際の面接回答への期待感が高まります。
「もっと聞いてみたい」と、第一印象でどう思わせるかどうかで、結果にも大きく影響します。面接マナーの徹底は合格には必要不可欠ですので、生徒様には改めて徹底練習をしていただければと思います。
ここで言う“表情”とは、爽やかな挨拶や面接官の質問に一生懸命に答える時に受験者が見せる雰囲気やオーラのことを指します。ですが今年は新型コロナウイルス感染予防の観点から、対面(教室や個室で行う)での面接試験ではマスク着用が義務付けられる場合がほとんどで、顔の半分はマスクで覆われてしまいます。本人確認のため、一度マスクを外す場面を設けることはあり得ますが、面接官が受験生の表情を確認(どのような笑顔を見せるのか等)できるのは、ほんの一瞬です。
また、新型コロナウイルス感染予防のために対面での面接試験ではなく、“オンライン面接”を利用する(マスクは着用せず)可能性もあります。生徒様の中には、Instagramなどを利用していて、“インスタ(画像)映え”になれている方もいるかもしれません。ですが採用面接ですので、面接官に“好印象を与える表情の作り方”を練習していただく必要があると言えるでしょう。
前述の通り、顔の半分はマスクに覆われ、面接官には受験者の“目”だけしか見えない状況となります。緊張のあまり、目の大きさや形が一定の受験者は“表情の豊かさ”が伝わらず、合格が難しくなるかもしれません。「目は口程に物を言う」とあるように、目は相手に気持ちを伝えるうえで重要な部分です。目だけが出ている表情の作り方を練習して、面接官に好印象を与えられるようにしましょう。
【“目”の様子で伝わる気持ちと作り方】
目の様子 | 伝わる気持ち | 目だけが出ている表情の作り方 |
---|---|---|
三日月型(目を細める) | 笑顔・楽しい | 口角を上げて、目を細く三日月形にする。 併せて声のトーンも高くすると、 より楽しい話をしているように見える。 |
目に力が入る | 一生懸命・熱意 | 目を程よく見開き、正面を見ながら話す。 (眉の内側が少しだけ下向きになる) |
目を見開く | まじめに聞いている | 目を程よく見開き、うなづきながら話を聞く。 (眉の内側が少しだけ上向きになる) |
また“好印象を与える表情”は、良い発音から作られます。発声を行うと顔全体の筋肉が使われていることが分かります。発声を繰り返すことで、顔の緊張がほぐれ、柔らかい表情・なめらかな表情の変化が出来るようになります。また、口角を上げて笑顔で「よろしくお願いいたします。」や「ありがとうございます。」を言うのと、真面目な顔で言うのとでは、受ける印象がかなり違います。口角を上げて笑顔で言うと、見た目だけではなく声の印象も明るくなるのです。普段から口角を上げて笑顔で話すことを意識し実践すると良いでしょう。
【口角を上げるトレーニング】
口角を上げるには、口周りの筋肉を鍛えることが大切です。そのためには、割りばしや少しの水を入れたペットボトルを利用したトレーニング方法があります。
初めは重さのない、割りばしで取り組んでみてください。
動作について自宅で練習する場合は、スマートフォンなどで動画撮影をして、きちんとできているか確認しながら行うよう、ご指導ください。
面接官に熱意を伝えるのは“口”で!これは毎年変わらないことですが、自信を持って堂々と受け答えをするために、伝わりやすい(わかりやすい)回答を意識させましょう。面接の回答には“構成”が必要です。試験官に「この受験生の話は分かりやすく、かつ、納得できる、そして、オリジナリティ溢れている」と思わせる“構成”が肝心です。そのような観点から、よりよい回答をしていくにあたって、3部構成で考えると組み立てていきやすいかと思います。
☆第1部 ~ 回答は結論から ~
やはり結論から述べることが好ましいと言えます。
結論を言わずに、そこに至る経緯や考えなどをクドクド続けると、いったい何が言いたいのか分からなくなってきます。また、自信のない人や答えを探している人の殆どが、結論を言わずに、頭の中で答えを探しながら、あれこれと理屈を並べたり、本題からずれている内容の話をしたりします。
見ている側からすると、自信の無さや準備不足を露呈しているようなものです。質問には、真っ先に結論から述べて、その後、補足説明、具体例を述べるべきです。
☆第2部 ~ 体験談やエピソードを述べる ~
結論を述べた後、肝心なことは、具体的な経験談、エピソードを交えながら、説明することです。
例えば、「高校時代にいちばん打ち込んだことは何ですか」という質問に対しては、
このように、結論の後に、具体例(体験談、エピソード)を盛り込むことで、話の真実味が増し、オリジナリティ溢れる、分かりやすい内容になります。この回答を更にパンチを効かせたものにするためには、第3部をご覧ください。
☆第3部 ~ 意欲、決意を述べる ~
最後のまとめとして、第2部で述べた具体例(体験談、エピソード)を受けた内容で、採用後の再現性や意欲を付け足せば、申し分ない回答の出来上がりです。
上記の例(第2部参照)であれば、「クラブ活動を通じて身に着けた、全体のために個人が果たす役割をさらに意識し、採用後も、組織全体のために頑張っていく決意です」と締めくくることで、より面接官に生徒様の意欲を納得していただくことができます。
☆回答時間の長さで構成を考える ~回答時間もメリハリを~
10項目質問されたとすれば、何割かの質問には、15秒程度で簡潔に回答し、自身をよりアピールできると思える何割かの質問には、「結論⇒具体例⇒今後への決意」の3部構成を回答の柱として1分程度でしっかりと説明する。この回答の長さをコントロールする構成力を身につければ、メリハリの効いた、納得できる面接受け答えとなります。長すぎる回答ばかりではダメです。簡潔すぎる回答ばかりでもダメです。すべては、バランスのとれた構成です。
生徒様が面接の回答に深く悩みすぎて、“伝えたいこと”を伝えきれていないなどを見受けられた際には、ぜひ3部構成で回答をまとめるよう、ご指導いただければと思います。
『え!?そんなことまで聞かれるの?』や『それを聞かれても困る…』というものでも、事前に知っておけば対策することができます。弊社受講生への聞き取り調査において判明したもの中から、ごく一部ですが2019年都道府県職員の採用面接試験で聞かれた「面接で聞かれて困った質問集」をご紹介いたしますので、面接練習の際にお役立てください。
(弊社受講生への調査は、国家公務員や政令指定都市、市町村職員、警察職員、消防職員を受験された方にも同様に実施しており、膨大な情報のストックがございます。質問例などがご入用の場合は、お近くの東京アカデミーへご相談いただければと思います。)
【職業に関する質問】
・地方公務員の義務とは何か。(京都府)
・なぜ民間企業ではなく、公務員を志望したのか。(広島県)
これらの質問に対しては、以下を参考に知識を身に付けさせ、回答を考えていただくのが良いでしょう。
【ご当地質問・時事質問】
・東京オリンピックのマラソンと競歩が札幌市で開催されることについて思うことを述べよ。(北海道)
・時事問題について、「もんじゅ」について自分の意見を述べよ。(東京都)
・今年は災害があったが、あなたの住んでいる地域はどうだったか。(岡山県)
日頃から地域の話題やニュースにアンテナを張らせましょう。また、意見を求められる場合もあるため、先生(大人)との意見交換をしていただくことも重要です。同年齢ではなく、先生(大人)と練習することで“言葉遣い”を見直すことや、先生(大人)の意見を聞くことで知識の吸収をしていただくこともできます。
【想定質問】
・年代が上の人と接することが多くなるが大丈夫か。(青森県)
・どのようなタイプの人が苦手か。(千葉県)
異年齢とのコミュニケーション経験や、苦手なタイプを答えさせたうえで「その(タイプの)人が上司だったらどのように接するのか」という質問につなげてきます。私生活や学校生活、部活動において経験してきた“協働”のエピソードで対処法を説明していただくと良いでしょう。
余談になりますが、ある高校の進路指導部の先生とお話しさせていただいた際に、面接練習で「私のことをどう思いますか?」という質問をしたことがあるということをお聞きしました。生徒様を困らすこと(答えに詰まらせること)はできますが、“上司になる前提”で質問(私が上司であったらどう対応しますか?など)していただければ、より効果的かと思います。
「困らせる質問」で練習することも必要ですが、“練習=本番”を意識して練習していただくことで、生徒様が面接試験で慌てない適応力を身に付けられるようにサポートしていただければと思います。
今回は『面接試験対策に必ず役立つ対策法』をテーマに、弊社HPでご紹介してまいりました面接対策資料の基に合格に必要な面接マナーやオンライン面接対策についてご紹介いたしました。「面接質問集」につきましては、上記の通り弊社受講生への調査にて、膨大なデータがございますので、ぜひ東京アカデミーを頼りにしていただければと思います。高等学校の先生方におかれましても、オリエンテーリングや相談対応の際のご参考にして、公務員のご指導に当たられる場合にも活用できる内容に編集しておりますので、是非ともご活用いただければ幸いです。
次回は新3年生(2021年4月の高校3年生)になられる生徒様向けに、『進路決定に役立つ“公務員の話”』をテーマに、生徒様の気を引く「公務員の仕事」や「やりがい」をご紹介し、生徒様への進路決定に役立つ使用をご用意いたします。ぜひ、次回にもご期待ください。