義父のお墓は宇佐(大分県)のお寺にあるのですが、それをわが家の近所にある横浜の樹木葬に改葬することになりました。
そんなわけで、博多からソニックに乗り、宇佐まで来ました。
「駅の看板が星条旗みたい」と、妻。
「宇佐だからUSAだよ」と、息子。
義父のお墓に行くまえに、「宇佐神宮」に立ち寄りました。天気が良くて、良かった。
上宮は小高い山の上にあります。義母はやや足腰が弱く、モノレールと名付けられたゴンドラで登りました。これは重宝します。
こちらは、山の麓にある下宮です。上宮と同様に八幡大神、比売大神、神功皇后の三柱が祀られており、宇佐地方では「下宮参らにゃ片参り」といわれ親しまれてきたとのことです。
お昼は仲見世にある食事処で、宇佐名物の唐揚げを食べました。大きくて味がしっかりとしみつき、カラッと揚げられてとても美味しかった。
唐揚げというと、宇佐のとなり町、中津がもっと有名です。両町は唐揚げ論争になりそうですが、宇佐は唐揚げ専門店の発祥の地、中津は唐揚げの聖地として、棲み分けしてます。
その後、レンタカーで「お寺」へ行きました。義父のお墓から骨壺を取り出し、しばし、住職さん夫婦と話をしました。
わたしは典型的な核家族の家庭で育ちました。両親より上の世代は、大分や広島に住んでいました。
関東に根付いてない、わたしの家系は「お寺」との関係は希薄です。
ですので、わたしにとって「お寺」とは、庭にある紫陽花を鑑賞するために行く目的や、住職さんに御朱印帳に書いてもらう場所のイメージでしかありません。
お寺を運営するのに必要な収益源は「檀家制度」です。
わたしにはなじみのない制度です。
檀家制度は、特定の寺院に属する檀家が、その寺院の経済的な支援を行います。年会費や寄付、行事の際の供出などです。檀家はお金やモノを出すだけではなく、宗教行事への積極的な参加も求められます。
この制度は、江戸時代の二代目将軍、徳川秀忠以降、広まりました。
徳川幕府は、キリスト教の広がりを抑えるため、家単位で特定の寺院の信者になることを義務付けました。
檀家制度は江戸幕府の崩壊により、廃止となります。ただ、制度自体は崩壊しながら、いまも続いてます。
檀家制度に縁のないわたしには、高額な負担を求められる制度のイメージがあるのですが、実際はそこまで高額ではないようです。檀家制度に組み込まれている友人は「墓地の管理と会費で年間、22,000円くらい」と、言ってます。
少子化や、住民の都市部への移転により、檀家の数は減少してます。寺院の経済的基盤は弱体化しています。
また、日本人は全体として宗教への関心が薄く、ライフスタイルも多様です。伝統的な宗教行事への参加をしない人が増えてます。
信仰は個人の自由であるべきです。檀家制度が崩壊することに対して、それを問題だと思うことはありません。
ただ「お寺」は、宗教的な役割を果たすだけではありません。特に地方に於いては、地域コミュニティを強める役割を果たしてます。
檀家制度が崩壊することで、築かれたコミュニティが欠如し、相互扶助の精神が薄れるならば、社会は良くない方向に向かうと思います。
象徴的なのが「オレオレ詐欺」です。
「オレオレ詐欺」は、老人をターゲットとした詐欺です。息子や孫を装って、親に電話をかけ、事故や借金などのトラブルに巻き込まれたと偽ります。そこから、詐欺師の口座に現金を振り込ませます。
老人が孤独で家族との連絡が少ない場合、効果的です。
地域のコミュニティが密であれば、このような詐欺は減るんだろうと思います。