スタバやタリーズに代表されるアメリカ産のカフェチェーンが浸透している街が多くあります。
わたしの住む街(港北ニュータウン/横浜市)も例外ではありません。
スタバもタリーズもいいお店なのは分かるのですが、どの街に行っても同じ光景を目にしても、街としての魅力は感じません。
そんな平凡な街にも、センスのいい個店のカフェはあります。
近所にあるカフェサロンソンジンがそのひとつです。
このお店の目玉は厚みのあるホットケーキです。この料理を目当てに遠方からも客が来るみたいです。注文してから商品が提供されるまで30分待ちます。
ただ、わたしがここで食べたいのはカレーです。ランチ系(カレーや雑炊など)はホットケーキほどは時間がかかりません。写真はコーヒーがセットで1,700円です。ぐつぐつしたカレーは、辛すぎず、適度なとろみでシチューのような感覚で食べれます。サラダのシャキシャキ感とよく合います。もちろん、コーヒーとカレーの相性の良さは言うまでもありません。
ソンジンは大型ショッピングセンターから離れているので、ふわっ~と、通りがかりで来る人はまずいないと思います。お店の外観は目立たないの画廊のようで、気軽に入りにくい雰囲気を醸し出しています。
ソンジンの人気を伝えるのが食べログの評価です。3.64 という高得点を獲得し、カフェ100名店(2022年)に選出されています。
店の入り口は入店を待つ客がたむろしています。
わたしとしては、せっかく近所にある最高のカフェなのになかなか入ることが出来ず、ちょっと残念です。今年はお店のすぐ近くにボッシュの本社が出来るので、より人が押し寄せるのではないかと、そこも不安です。
ところで、食べログと同じようなサービスを提供しているホットペーパーグルメでは、ソンジンの存在は目立ちません。美味しさを伝える写真も掲載がなく、多数の飲食店情報に埋もれています。
リボンと呼ばれるビジネスモデルがあります。これは、サービスを提供する相手をカスタマーとクライアントに分け、集めて動かす役割をサービスを提供する企業が先導することで、需要と供給をマッチさせるビジネスモデルをさします。下図のような蝶ネクタイをイメージしていることから、リボンと呼ばれます。
リボンモデルという呼び方は新鮮な感じがしますが、むかしからあるビジネスの形態です。仲介とか斡旋がその類でしょう。不動産の仲介や人材派遣などが属します。
よく会社経営の3大資源は、ヒト・モノ・カネと言われます。ただ、仲介や斡旋の仕事でいちばん重要な経営資源はそれらより「情報」でしょう。かっては、情報ブローカー的な人が電話一本で采配する属人的なビジネスでした。
情報ブローカーが動かすビジネスを一般化させたのがリクルートです。「情報」を第4の経営資源として、リボンを中核に据えたリクルートのビジネスモデルは、日本に於ける情報産業の立役者だと思います。
食べログもホットペーパーグルメも、リボンモデルのレストラン検索サービスとして知られていますが、両者には違いがあります。
多くのリボンモデルを運営する企業は、クライアント(法人)からの収益をメインにしています。ホットペーパーグルメもそうです。ホットペーパーグルメのカスタマー(個人)には、レストランを予約できる会員登録機能の提供がありますが、会員登録をしたことでお金を取られることはありません。
ですので、ホットペーパーグルメは、お金を払ってくれるクライアントの味方です。お店の魅力を最大限にアピールすべく、店舗ページの掲載にあたって、お店とサイト運営側が一緒に考えます。お金を払って登録したお店は、無料で登録したお店より、検索順位が上位で表示されます。
先駆者のぐるなびもホットペーパーグルメと同じような収益構造です。
一方、食べログの主な収益源は、有料のプレミアムサービスと呼ばれる個人の利用者です(お店からの収益モデルもあります)。プレミアムサービスに登録すると、外出先でスマホから独自のランキング順位によるレストラン検索ができます。知らない土地でもすぐにおすすめの店(高得点のお店)を見つけられるのが、このサービスの最大のメリットです。
ちなみパソコンで見れば、プレミアムサービスに登録してなくとも、ランキング順位を確認できます。ちょっと手間がかかりますが、事前に行く場所が分かっていれば、自宅のパソコンで高評価のお店をチェックします。
食べログの検索サービスは、類似サービスに比べて、より実際にお店を利用する側にたった情報を提供しようとしていると思います。
ただ、万人が評価するランキングは、実際にお店を利用する客の期待と必ずしも一致しません。
ソンジンの場合、落ち着いた空間でゆったり過ごす雰囲気を演出していることから、そもそも小学生以下の子どもは入店が出来ません。そういう家庭にとっては、いくら高評価でも価値がないお店になります。
食べログの評価は、お店を選ぶ参考にはなりますが、鵜呑みにしてはいけないということですね。