第1セット、ブロックを試みる李(奥左)と高橋=有明アリーナ
「どんな結果になっても、毎日を全力で過ごせば後悔しない」
相手の一球への執念が、これまでに出場した国際大会とは違った。「これが本当の勝負か」。ミドルブロッカー李博(東レ、宮崎市出身)は、初の五輪を終え「いい刺激を受けた。これからも日本代表で活躍できるよう、一から頑張りたい」と、早くも気持ちを新たにした。
30歳。地道な努力を重ねてきた。東レ入団時の2013年は控えにもなれず、スタンドから試合を見守った。翌年、セッター藤井直伸の入団が一つの転機になる。2人に求められたのは速攻。「生き残るため」全体練習後もひたすら動きを合わせ、後に全日本の中垣内祐一監督も「日本一」と評する速さを身に付けた。今大会、出場時間こそ少なかったものの、李がマークした4得点はすべて藤井との速攻。「信頼の力。頑張ってきた成果」と胸を張った。
もう一つの武器、フローターサーブも自主練習で打ち続け「自分でもどう変化するか分からない回転」を習得。さらに18年秋に右手首を骨折したときも「成長の糧」にした。リハビリ期間に下半身をいじめ抜き、20代後半でジャンプ力を5センチも上げた。このポジションでは小柄な193センチで、五輪切符をつかみ取った。
「どんな結果になっても、毎日を全力で過ごせば後悔しない」。元中国代表のバレー選手で母・小茹さんの言葉を信条にしている。「五輪でも速さは通用した。もっとブロック力を磨きたい」。9月のアジア選手権で進化した姿を披露する。
(2020年05月23日付紙面より)